「AKBはビジネス、ファンは可哀想」…石破茂がこのタイミングでまさかのAKB批判! 秋元康と癒着の安倍への対抗心か
石破茂オフィシャルブログより
【本と雑誌のニュースサイトリテラより】
安保法制強行採決の結果、各メディアの世論調査で内閣不支持率が支持率よりも上回るという、第二次安倍政権はじまって以来のピンチに陥っている自民党。ふだんは芸能人ゴシップが溢れる女性週刊誌でさえ安保法制への不安が大々的に特集され、無関心層からも「さらなる議論を」と政治に注目が集まる、そんな状況のなか、あの石破茂・地方創生担当相が「文藝春秋」(文藝春秋)8月号に論文を発表した。
こんな時勢なのだから、元防衛大臣として戦争法案という意見に反論しているのか。それとも国防の重要性でも説いているのか──。果たしてどんな論を展開しているのかと気になりページをめくると、そこにはこんなタイトルが躍っていた。
《石破茂・地方創生担当相『キャンディーズでアイドルは終わった』》
え? キャンディーズ? アイドルは終わった......? いま? いま、このときに?
あまりに衝撃が大きすぎて「?」だらけになってしまったが、しかし、一行目から石破氏は本気だった。
〈既に多くの指摘があるように、戦後日本における最初の「アイドル」は南沙織である、と私も考える〉
だから、いまそれかよ! と言わずにはおれないこの緊張感のなさ。知ってるよ、アンタが熱狂的なキャンディーズファンだったってことは。でも、いまその話する? 与党の政治家なら、もっと書かなきゃいけないことあるだろうよ......と誌面に投げかけること数分。だが、もしかすると安倍首相よろしく、キャンディーズを武力行使の新3要件に喩えちゃったりしてるかもしれない可能性もあると気を取り直し、さらに読んでみた。
〈(南沙織の)この系譜は天地真理、麻丘めぐみ、アグネス・チャン、浅田美代子と、連綿と続いていくのだが、七二年にデビューしたキャンディーズこそが、「アイドル」の一つの完成形であったと私は思っている〉
〈部屋に彼女たちのポスターを貼り、定期入れにブロマイドを入れ、日がな一日キャンディーズのことを考えていた男の子たちが大勢いた。キャンディーズが解散した七八年が、アイドル文化のひとつの頂点であった〉
ああ、石破クンは日がな一日考えていたのね、キャンディーズのことを。でも、はっきり言ってその話、どうでもいいんですけど......。そう思っていたら、唐突にピンク・レディーを〈何か違う〉〈誰かが冷静に計算して作り出したスター〉とディスりはじめた石破氏。男性ファンがターゲットだったキャンディーズとは違い、ピンク・レディーが女性ファン層を取り込んだことに、〈男の子としては、どこか水を薄めたような物足りなさを感じた〉らしい。そして、〈"女性の生き方"を提示する存在〉となった小泉今日子の登場をもって、〈私の知っていた「アイドル」は消えた〉という。
アイドルという存在は男の慰めものであって、女はこっちくんな、ってことか。うっかり自分のマッチョさやセクシズムを露呈させてしまっているところには失笑を禁じ得ないが、しかし、本題はここからだ。石破氏は〈今日、人気を誇っているAKB48も、ビジネス化の発展した先にあるような気がする〉と、今度はAKBに矛先を向けるのだ。
〈「会いに行けるアイドル」というコンセプトは、つまるところ、お金を出してアイドルと会って握手することができるということだ。(中略)しかし、それが社会現象化し、人気投票にすぎないはずの"総選挙"なるものがNHKニュースで報道されるようになると、もはや私の目には、「巨大ビジネス」としての仕組みしか見えなくなってしまう〉
ここまで読んでようやく、石破氏のこの論文の目的がわかってきた。この論文、たんに精神童貞アイドル観をこじらせているだけではなく、あの人への批判として書かれているのだろう。ほかでもない、宿敵である安倍首相だ。
いわずもがな、安倍首相は"組閣ごっこ写真"流出騒動が裏付けるように、AKBの総合プロデューサーである秋元康とはベッタリの関係。ASEAN首脳との夕食会でもAKBに踊らせるなど、さまざまな場面でAKBを政治利用してきた。AKBを批判するということは、暗に安倍首相を批判することにも繋がるのだ。
石破氏といえば、3年前の総裁選で安倍に惨敗した過去をもち、内閣人事でも主要閣僚から外されてきた。一応、安倍支持を口にしてはいるが、今月15日の強行採決前日には「国民の理解が進んでいるとは言えない」と発言。また、同月2日には自分のグループの勉強会で、「『なんか自民、感じ悪いよね』と国民の意識が高まっていったときに危機を迎えるのが私の経験だ」と安倍首相を牽制している。いまではその「なんか自民党、感じ悪いよね」が安保法制反対運動のシュプレヒコールになっているほどで、石破氏は安倍首相の独裁にストップをかけられるかもしれない、そういった注目も集めていた。
が、こんな肝心なときに繰り出したのが、まさかのAKB批判。国防論に一家言あるのなら正々堂々と真正面から安保法制に反論したらいいのに、それもしないとは。挙げ句、論文の最後はこう締めくくっている。
〈私たちのアイドルは、今でも心の中で、まぶしい光を放っている。今の若い人たちが二十年後、三十年後、同じような思いになるのだろうか。大きなお世話だろうが、彼らが少しかわいそうな気もするのである〉
安倍政治のせいで、戦争したくなくてふるえてる若者が増えているというのに、この「平和ボケ」っぷり。生肉で説明できたと思っている総理に、政策で闘わない次期総裁候補......。「感じ悪い」を通り越して、「自民党って、頭悪いよね」である。
(大方 草)