アイドル戦国時代に大量生産された「少しカワイイ女の子」たちの末路

 女性アイドルが求められるものの多さと矛盾には、しばしば驚かされる。ぶりっ子でも、生意気でもいけない。活動歴や年齢に応じて、キャラクターの柔軟な変化を求められる。

 NMB48の市川美織(21)21が11日、自身のTwitterに「あたま痛いの痛いの飛んでけー」というコメントと共に、手で頬を挟んだ画像を投稿したのだが、これには「もう21だろ? いつまでぶりっ子続けるつもりなの?」「自分大好きっ子ちゃんだね」など、市川の“ぶりっ子ぶり”を揶揄する声が上がっている。

 市川は幼少時から子役として芸能界で活動してきたという。16歳の時にAKBオーディションに合格して研究生となり、現在5年め。148cmの小柄で華奢な体躯(ちなみに矢口真里は145cm、谷亮子は146cm)に驚くほどの小顔。加入当初は「ものすごい美少女がきた!」という印象をファンに与えたが、そのキャラクターは正統派ではなく、『フレッシュレモンになりたいの~』というキャッチフレーズの奇天烈な“ぶりっ子不思議ちゃん”キャラを前面に打ち出してきた。バラエティを中心にメディア出演の機会を与えられてはきたものの、しかし、特に「売れた」メンバーではない。AKBグループのファン以外からの認知度は向上しないまま。選抜総選挙の順位も年々下げている。次から次へと若いメンバーが加わる大所帯・AKBグループの中では、安定した人気を保つことすら困難だ。

 2月生まれの彼女は、今年22歳になる学年であり、ネット上では「10代の後輩たちがひしめくNMB48内では、もはや高齢者の部類」とまで言われている。あくまでも「ぶりっ子キャラのアイドルにしては」「NMB内では」高齢、ということだが……。将来の目標は、“男女問わず愛される”桐谷美玲のような女優になることと語っている市川であるが、おそらくこのまま活動を継続しても、埋もれていくだけだろう。実に厳しい立ち位置である。

 AKBグループを筆頭に、大量のアイドルグループがぼこぼこ誕生した2010年前後は「アイドル戦国時代」と呼ばれており、大きなムーヴメントとなったが、結果として、路頭に迷う「少しカワイイ」20代女性を大量生産しただけだった。冒頭で記したように、女性アイドルという商品が消費者から求められる構成要素は多岐にわたるうえそれぞれが矛盾するもので、たとえば「清純でいてほしい」けれども、「男ぎらい」ではならず、「握手会での良対応」を渇望するわりに、「誰とでも握手できるなんてビッチだ」と罵倒もする。そこにわざわざ身を置きたいと願い、飛び込んでいった無謀な少女たちは、20代以降の長い人生をどうプランニングしているのか、はたまた何も考えていないのか、自分だけは大丈夫と思える根拠があるのか。爆発的に売れることのできなかった数多のアイドルたちは、爆発的に売れることがなかったゆえに、存在すらほとんどの人に知られないままひっそりと去っていく。

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