同人誌は敷居が上がりすぎ? 多忙な消費の陰で、文化が衰退期に向かう可能性
「togetter」より。
出版業界が年々市場を減らしている一方で、活況が止まるところを知らないと見られている同人誌市場。しかし、その同人誌も今や「敷居が上がりすぎて、新規では参入しにくくなっている」という問題提起が注目を集めている。
いったい、いつの間にそんなことになったのか……?
togetterでも、まとめられているこの話題(https://togetter.com/li/1084709)。
敷居が高いと感じる人々が主張するのは、本気度の高い人が増えたということ。かつて、地方や中小のイベントではラミカやシール、便せん程度で気軽に参加している人が多かった。今では、そうしたサークル参加者が減っていることは確かなことのようだ。ある即売会関係者は語る。
「今ではpixivなどで作品を公開することもできますから、実際に本を出すことは、一段ステージの高いものだと認識されているのでしょう。とはいえ、グッズは小ロットでも作りやすくなりました。昔みたいな手作りのラミカは減りましたけどね」
かつては、交流目的でグッズを制作してサークル参加する人も多かった。しかし現在では、わざわざ出会いを探さなくても、ネットで気軽に交流することができる。結果、同人誌というものが、敷居が高い存在に見えているということのようだ。
これに加えて、敷居が高いもののように見えている要因は、同人誌即売会が都市部で開催される大規模なものに集約されつつあること。とりわけ地方の即売会は、どこも縮小傾向にある。わざわざ地方の即売会に足を運ばなくても、都市部のそれで十分と考える人が多数派になっているからだ。
つまり、様々な即売会をめぐって、新しい発見をしようとする意識を持っている人自体が減っているらしい。
「今や同人でなくても、公式でグッズは至れり尽くせりです。それに、ネットで見られる作品……たとえばpixivなどでも、とてもすべてを見ることが難しいくらいの量があふれています。わざわざ“もっと、すごいもの”を探そうという意識は起きないんじゃないでしょうか」(前述関係者)
あらゆるコンテンツが豊かになったことで、消費することだけでも処理しきれない。結果、新しいものを探そうとか、作ろうという意識は鈍化しているということか。
新しいものを生み出すことの楽しさを知る人が減ってしまえば、同人誌文化も衰退してしまう。けれども、それはわざわざ教えることができるものではない……。
(文=昼間たかし)