小林よしのりがAKB総選挙のスピーチに激怒!「横山由依は総監督辞退しろ!」「指原もダメ」

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小林よしのりオフィシャルwebサイトより

【本と雑誌のニュースサイトリテラより】

 6月6日、福岡のヤフオクドームにて行なわれたAKB48選抜総選挙。世代交代に苦慮している点などなんだかんだ言われつつも、フジテレビ系で放送された中継の平均視聴率は18.8%、瞬間最高視聴率は23.4%を記録し、盛況のなか幕を閉じた。

 毎年恒例の総選挙で“華”と言えるのが、選ばれたメンバーによるスピーチだ。これまで「私のことは嫌いでもAKBのことは嫌いにならないでください」(前田敦子)、「潰すつもりで来てください」(篠田麻里子)、「票数は皆さんの愛です」(大島優子)、「努力は必ず報われる」(高橋みなみ)など、社会現象となる名言が多数生まれているのはご存知の通り。

 そんななか、熱狂的なAKBのファンとして知られる小林よしのり氏は、今回のスピーチに不満を持っているようで、「BUBKA」(白夜書房)2015年8月号掲載のインタビューでは、特に不甲斐ない出来だった次期総監督の横山由依に対し「これから総監督になるっていうのに……。もうね、辞退してほしい!」とまで言い放ち、話題となっている。

 これからのAKBグループを引っ張る人間として、今年の総選挙では、今後の展望を熱く語るスピーチが期待された横山由依だが、自身最高順位である10位という数字に動転したのか、周囲からの「がんばれー!」という声も虚しく、話はグダグダ。業を煮やした司会の徳光和夫により強制終了させられる有り様だった。その様子に大多数のファンが落胆。小林氏がそこまで言うのも分からなくはないが……。

 そして、小林がジキソーと比較して激賞したのは、高橋みなみのスピーチだった。

〈たかみな(高橋みなみ)が残留! 卒業取りやめ! あんなにスピーチが上手な人が卒業なんて、秋元康の方針が間違ってる。やっぱりね、「公」と「私」というのがあってね、たかみなは「私」を殺して、「公」を取るわけ。メンバー全体のこと、ランクインできなかったコのことも考えてる。しかも、視聴者のことも考えている。なおかつ、「努力は必ず報われる」っていうフレーズが嘘だなんだって言われているから、それに対する回答も示しているわけ。それと比べたら、指原のスピーチもまだ「私」だから〉

 まるで、横山由依がグループのことを一切考えていないと言わんばかりの批判である。

 しかし、スピーチライターとして多数のビジネスマンのスピーチコンサルティングにも携わる、陰山洋介氏による著書『スピーチライター 言葉で世界を変える仕事』(KADOKAWA)によると、一対一の商談や会議では抜群のコミュニケーション能力を発揮する優秀な人が、スピーチとなると途端に話せなくなってしまう例は珍しくないと言う。

 横山由依も、次期総監督に指名されるほどであるから、普段は若手メンバーに対して抜群のリーダーシップを発揮している。しかし、総選挙のスピーチとなると、いつもグダグダになってしまう。生まれたての子鹿のように体を震わせながらヨロヨロと壇上に近づき、マイクを手にしても泣き、まともに喋れなくなる姿が毎年繰り返されるので、ファンから「伝統芸」「バイブ芸」と揶揄されているほどだ。

 まさに、彼女も、典型的なスピーチになると途端に話せなくなるタイプといえる。

 そんな人の最大の問題点は、「スピーチを特殊な話し方だと思っていて、スピーチだと思うと変に構えてしまう」というところにある。苦手意識が先行すると、自己紹介すらまともにできなくなってしまう信じがたい状況に陥ることもあるそうだが、確かに彼女も自分の名前すらまともに声に出せていなかった。

 こういう症例には、まずスピーチの内容云々の前に、苦手意識を払拭させ、やればできると認識してもらうため「みなさん、はじめまして。○○です。本日取締役に就任しました。まだ、会社についてわからないことばかりなので、みなさんいろいろ教えてください」といった簡単な挨拶をスピーチコンサルタントの後を追ってオウム返しのように復唱させる、「口立て」の練習方式をとるという。

 バカにしているのか?と思わず考え込んでしまうような練習だが、これによってスピーチに対する変な構えがなくなり、克服への一歩を踏み出せるのだという。

 来年は、彼女にとって、総監督として迎える初めての選挙となる。自己流での改善は難しそうなので、スピーチライター・スピーチコンサルタントの助言を受けてみてはどうだろうか。

 小林よしのり氏の「BUBKA」での発言に戻ると、スピーチに関してもうひとつ気になったことがあるそうだ。どの程度まで話すことを事前に準備しておくべきかという問題である。

〈よかったのは、まゆゆ(渡辺麻衣)。あらかじめ考えてあるスピーチじゃなかった。そこがよかったな。あれは、その場の反応で話していて、口語体だったんだよ。あらかじめ考えていると、文語体になるんだよ。文語体なのがさくらたん(宮脇咲良)ね。そうなると、わざとらしくなるのよ。去年のスピーチとかぐぐたすで文章の上手さを褒められすぎたんじゃない? それで話し言葉まで文語体になってしまった。さくらたんが読書家なのは結構なことだけど、書いてある文章と話し言葉は違うから。そこを考えないと。その点、まゆゆは自分の感情のままに話していた〉

 小林氏がここで指摘している問題は、前掲の『スピーチライター~』でも語られている。

 スピーチに不安を持っている人は書き起こした原稿を暗記して本番に臨もうとするが、実はそれは逆効果。聴衆に話す内容を暗記していることが伝わってしまい不自然な印象を感じさせてしまう。小林が「文語体」と表現したのは、まさにこの不自然さのことだ。

 スピーチ内容の“アウトライン(あらすじ)”のみ決めて、あとはその場で言葉を考えながら話すのが正しいやり方。そうすれば、言葉の勢いを殺さずに力強くいきいきと話すことができる。話題のつなぎ方など不安な部分があったとしても、それは書き起こし原稿丸暗記ではなく、練習を繰り返すことでその不安を解消していくべきなのである。

 昨年の総選挙では、雨が降りしきるなかオーディエンスが着ていたピンク色の雨がっぱを指し、「味の素スタジアムがさくら色に染まりました」とアドリブで叫んだことが絶賛された宮脇咲良。来年は変に気負わず、即興で話すスタイルのスピーチに戻せば良い評価が得られるのではないだろうか。

 ここまで、小林よしのり氏の発言を軸に今年の総選挙スピーチを振り返ってきたが、今年の総選挙でしばしば指摘されるまずかった点として、「私のことは嫌いでもAKBのことは嫌いにならないでください」のような名言が生まれなかったことがあげられている。

 前述の「BUBKA」のなかでも、『ザ・トップ5』(TBSラジオ)のパーソナリティーや、『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』(TBSラジオ)へのゲスト出演でお馴染みのコンバットREC氏がこう指摘している。

〈何が問題ってメンバー自身も長くしゃべることがサービスだと思ってるフシがあるってことと、なによりも翌日の見出しになるようなパンチラインが今年はひとつもなかったっていうね。篠田の「潰すつもりで来てください」なんかは、その一言が1年間のテーマにまでなったわけじゃん。世代闘争の幕開けになったっていう。しかもあのスピーチってそんな長くないんですよね。言葉は短いほうがいいんですよ〉

〈キャッチコピーというのは、言えることがたくさんあるなかで、本質をひと言で捉えて、さらに新たな価値観を提供するものじゃないですか。スピーチもそういうつもりでやったほうがいいと思うんですよ。そういう言葉だからこそ、強いし、見出しにもなるわけで。「私たちにとって票数は愛です」とか「私のことは嫌いでも、AKBのことは嫌いにならないでください」とか、やっぱり見出しになるじゃないです〉

 コンバットREC氏が「パンチライン」と表現している見出しになるような強い言葉は、スピーチの用語では「サウンドバイト」と呼ばれている。

 サウンドバイトは、聴衆の心を揺り動かし、スピーチのことを記憶にとどめてもらうために大事なもの。

「人民の、人民による、人民のための政治」「国家が自分のために何をしてくれるかではない。自分が国家のために何ができるかだ」など、名スピーチには、必ず素晴らしいサウンドバイトがある。

 人々の記憶に刻まれるサウンドバイトをつくるのは簡単なことではないが、スピーチをエンターテインメントにするのではあれば、翌日の新聞の見出しになるようなサウンドバイトをつくることは必須なのである。

 AKB48が現在の地位を築くうえで最も爆発力のあったコンテンツは、間違いなく選抜総選挙だ。その“華”であるスピーチが今のような体たらくでは、AKBの未来は暗い。

 来年は、スキャンダルなどを利用した炎上商法で世間の目を引くのではなく、メンバー全員にスピーチライター、スピーチコンサルタントをつけ、スピーチの質の向上に尽力してみてはいかがだろうか。
(新田 樹)

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