西川史子の新恋人募集は「遺産目的」? 男のカネを当てにする女たちと、女の奉仕を求める男たちのマッチング
10日に放送された『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)に出演したタレントの西川史子が、番組内で恋人を募集した。石橋貴明が女性芸能人の悩み相談に真剣に答える『石橋温泉』のコーナーで、西川は、14年に離婚した後に一人で億ションを購入し、現在、月々20~30万円払いで35年のローンを抱え、将来に不安を感じていることを告白。そこで、石橋が、番組で恋人募集することを提案すると、西川は「できたら(ローンを)払ってくれる人を見つけたいんです」という前置きをしてから、「年収は3000万円以上。年齢は80歳まで」という条件を提示した。
視聴者はweb上にて「何様のつもりか?」「相当ずうずうしいね!」「80歳までって……完全に遺産目的」など辛辣な意見を交わし、さらに先日、タレント医師の脇坂英理子が診療報酬詐欺の疑いで逮捕されたこともあり、「西川先生もお金に困って変な事件起こさないか心配」と指摘する声まで上がる始末だ。
傲慢で高飛車なキャラクターはタレントとしての彼女の持ち味だった。結婚と離婚を経て、そのキャラにブレが生じていたが、ここへきて「年収3000万以上、または資産家の、80歳までの男性」を「ローンを一緒に払ってほしいから」というあからさまなカネ目当てで募集したのは、テレビでウケるためのネタだとしても西川史子の面目躍如かもしれない。結婚以前は、「年収4000万以上」を恋愛対象になる男性の絶対条件としていただけに、その頃より1000万値下げしているが。
ただ、もしもこれがネタではなく彼女の本音まじりだとするならば、結婚に「ローンの肩代わり」を求めるのはおかしい。「よし、君のことを愛しているから、一緒にローンを返そう!」と誓ってくれる男性もいるのかもしれないが、自分で払いきれないようなローンを組むことがまず浅はかだった。
そもそも40代で35年ローンを組み億ションを購入、月々30万前後の借金を負うこと自体がどうかしているが、離婚後に出演した『ごきげんよう』(フジテレビ系)で、「離婚してから買い物をする時に自分で決められなくなった」「(学校や職業などを全て親に決められていたので)初めて(自分で)決断したのが結婚だった。それを失敗して、もう自分の決断に自信がなくなった」「買い物などでも全部マネージャーの意見をきいて決めている」と話していた西川。このマンションも、自分でじっくり検討を経ての購入ではなかったのかもしれない。
この離婚については今もなおショックを引きずっているようで、『とんねるず~』では、現在住む部屋がマンションの5階であり、エレベーターに乗るたびに、「5階です」と響く機械アナウンスの声が「誤解です」に聞こえ、「彼のことを誤解してたかもしれない」と元夫のことを思い出し、苦しくなることを告白。また、先月22日に放送された『私の何がイケないの?』(TBS系)に出演した際にも、「物忘れがひどい」「番組共演者にイライラする」と、更年期障害が疑われる症状が出ていることを告白しており、自律神経系統も弱っていそうである。
ローン返済に追われ、過去の後悔に苛まれ、体調も優れない。この状況を打破し彼女に幸せを与えてくれるのが、「年収3000万男性との結婚」であるとは思えない。ひとつひとつの問題に彼女自身が向き合っていくしか乗り越えるすべはないのではないか。西川もそんなことくらいとっくにわかっているはずである。それに、こちらが男のカネを当てにして結婚すれば、相手からも相応の見返りを求められる。無償ではない愛の契約は、ただでさえ弱りきった状態の彼女をいっそう疲弊させるように思われてならない。
西川の『とんねるず~』出演シーンを見て、同じくフジテレビ系でかつて放送された『ザ・ノンフィクション』を想起した。2年前の4月20日、日曜の真昼間に放送されたそれは、『ザ・ノンフィクション ロシア娘へ愛を込めて~国際結婚に走る男たち~』。国際結婚をテーマに、日本での豊かな生活を求めるロシア人女性が、資産家の男性宅を訪問しお見合いをする内容だった。ここに登場した65歳(当時)の会社社長・小野さんが強烈で、放送日は視聴者たちがTwitterで盛り上がったものだった。
小野さんは熟年離婚を経た独身で、茨城県在住。約9000万の豪邸に暮らしており、現役の会社経営者で、不動産収入もある。事故で右足がないが、歩くのに不自由はない。再婚を望む理由は、「男の子を産んで、財産を継いで欲しい」からだと言う。離婚した元妻とのあいだに3人の娘がいるが、「女の子は結婚してしまうと、相手の男にも財産が渡る」のが気に入らない。小野さんは「ロシアンビューティーの会」という国際結婚相談所に入会金20万で登録。2歳の息子をもつシングルマザーのロシア人女性・ディナーラさん28歳とメールでやりとりをし、160万円を相談所に払って彼女を日本での見合いに招いた。「この年になると、女性が男性を判断する全てがお金ではないかと思いますよ」と小野さんは話していた。
しかし、ディナーラさんを自宅に招いても小野さんはまったく彼女を客人扱いしない。嫁候補として迎え入れているのだから、チヤホヤともてなす義理はないと言わんばかりだった。特に驚きだったのが、異常に汚れて散らかり放題の台所。ディナーラさんは唖然として「ロシアではお客を迎えるときは掃除をします」とスタッフに衝撃を伝えていたが、日本でも普通は掃除してから客人を通す。基本的には「奥様」が。小野さんとしては、一人暮らしで掃除をしてくれる「奥様」がいないのだから汚くても仕方がない、だからその役割をディナーラさんに担ってほしい、いや、担ってくれるよね? お金欲しいんでしょ? という意図だったようだ。
ディナーラさんは数日間、小野さんの豪邸に滞在する予定だったため、夜は布団を敷く。この敷き方もさっぱりわからないディナーラさんに、小野さんはイライラしながら日本語で敷き方を教える。コミュニケーション以前の問題で、やっぱり小野さんは彼女をお客としてもてなすつもりがないのだ。なぜなら「嫁候補」だから……。結局、ディナーラさんは求婚を断り、小野さんは「次がんばる」と言って番組は終わった。
資産家の男性はみんな小野さんだ、ということは絶対ない。そんな乱暴に「男は全員●●だ」と言い切ることは誰もしてはいけない。けれど資産の多寡にかかわらず、妻となる女性に若さや美貌、でなければ奉仕を求めている男性がいるということは伺える。それはたとえば、加藤茶が40歳以上も年下の妻と再婚し、妻の容貌や人脈が派手で胡散臭いことから「絶対に加トちゃんは介護してもらえない!」「カネだけ絞られて悲惨な老後」と外野があれこれうるさいことにも表れる。一方で若く美しい妻をめとったのだから、奉仕されなくとも加藤は幸せ者である、と擁護する声もあって、いずれにしろ「若さや美しさ」or「奉仕」のどちらかだけ(または全部)を、女性との結婚(=カネを配分すること)の対価として得たいのだろう。小倉千加子は「結婚とはカオとカネの等価交換」と定義づけたが、売れるものはカオだけではない。
さて、筆者はそのようにカネと引き換えに何かを売り渡す結婚を望まないが、西川医師は果たしてどうなのだろうか。ローンの返済に協力してもらう代わりに、何かを捧げなければならないとしたら。そんなものを望むより、彼女はメディアで活躍して繰越返済するほうがよほど合理的で精神的負担も新たな後悔も負わずに済むように思うのだが。
(清水美早紀)