武豊「超絶リップサービス」に見る競馬界の”不安”

 競馬界は今、ここ数年で最高の注目を集めていると考えて間違いない。

 それは、世界制覇を狙うドゥラメンテの復活や、今年の3歳クラシック(皐月賞、日本ダービーなどに出走する)世代に大物が揃い盛り上がっているというのもある。しかし、それ以上に世間の耳目を集めているが、16年ぶりのJRA女性騎手・藤田菜七子の登場だろう。

 中央競馬に女性騎手が入ったのは7人目だが、そのフィーバーぶりは過去の比ではない模様。真面目な受け答えや純朴で愛らしいルックスも世間が反応する一因に違いない。

 藤田騎手は3月3日、ひな祭りに地方・川崎競馬でデビューを果たした。多数の報道陣やファンがごった返し、各民放キー局でも大きく取り上げられるなどその注目度は空前絶後。異様な雰囲気の中で6鞍に騎乗した藤田騎手だったが、5Rであわやの2着に入るなど実力の片鱗を見せつけた。さらに5日の中央(中山競馬場)デビュー戦ではいきなり2着に食い込んでファンを驚かせ、単なる「イロモノ」ではないことを証明してみせた。

 そんな藤田騎手は6日後の最終レース後の共同会見で、多数の報道陣の前に登場。2日間を通しての感想などを聞かれていたのだが、そこに現れたのが、藤田騎手が「雲の上の存在」とあがめる競馬界の"顔"武豊騎手だ。

 武騎手は登場するなり「2日間乗って、いかがでしたか?」と藤田騎手に"インタビュー"。彼女は「とても緊張しましたが、ホッとしています」と頬を真っ赤にしながら回答した。

 さらに競馬界の生けるレジェンドは、「僕のデビュー時より、うまいんじゃないか」、記念撮影でも「あまり近づくと、手つないじゃうよ」など軽妙な"ユタカ節"を連発。口を出せば出すほどに藤田騎手は赤らんで、報道陣からは笑いが漏れた。

 実は武騎手、藤田騎手デビュー前日の2日、川崎競馬のレースに騎乗しており、交流重賞のエンプレス杯をアームルブリエで勝利。勝利インタビューの最後に「明日の藤田菜七子ちゃんもよろしくお願いします」とも発言している。

「客を呼べる騎手」というのはこれまで武騎手本人しかいない状況だっただけに、藤田騎手の登場は彼としてもうれしいのだろう。リップサービスも普段の3倍増しの様子。

「武さんは『騎手会長』でもありますし、競馬界の盛り上がりに貢献しようという強い気持ちが感じられます。藤田騎手とツーショットした共同会見も、武さんが来ると場が一際華やかになりました。そしてコメントも"粋"とくれば、もういうことナシです。逆に不安になりますよ。武豊がいない競馬界はどうなるんだよと......」(競馬記者)

 武の代わりなどいるわけがないが、作らなければ競馬界の未来は......。それは武騎手自身が一番わかっているのかもしれない。藤田騎手にはぜひ順調に勝ち星を積み重ねて、競馬人気の一翼を担ってほしい。社台グループの傘下「キャロットクラブ」が彼女に協力するなんて話もあるが、果たして。

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