「サイゾー」の記事一覧(2 / 6ページ)

ワンダフル【禁】雑誌ガイド/悪法の研究――正義と法の歴史学/片岡沙耶と考える下着デザイン事情

【第1特集】
ワンダフル【禁】雑誌ガイド

雑誌業界が不況だって!? そう言われて久しいが、ウェブや電子書籍にも本腰を入れて底力を見せている。最先端の写真で勝負する海外ファッション誌や、アイドル誌のおバカ企画だって、編集者の努力の賜物。そんな業界の内部を覗きながら、清水富美加出家騒動で揺れるレプロの内実を探ってみたりと、本誌も“ならでは”のあるべき姿、本特集で発揮します。

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【目次】
■業界の勢力図を塗り替える【雑誌電子書籍化】の正体
■ほぼヌード写真集!?海外【ファッション誌】の最先端
■独立騒動とファッション誌で読み解く芸能事務所【レプロ】
■なぜタブーに切り込めなくなったのか?雑誌の【新宗教】報道
■【「JUNON」】の言いたい放題連載など、隠れた雑誌連載
■【Hey!Say!JUMP】ほか、アイドルが挑む奇天烈雑誌企画
■「BRUTUS」「POPEYE」ほか【マガジンハウス】はダサい!?
■名物書店員が語る【イマドキの子ども】が本当に読む雑誌
■雑誌取材発言から考察する【LDH】ダンスビジネス
■ネコ専門書店など【マニアック書店】が語る売れ筋雑誌
■【「ムー」】だけが生き残った……オカルト雑誌の興亡

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グラビア写真学/ジリ貧ラジオが今背負うもの/AVと女性の性欲、ポルノグラフィ

【第1特集】
グラビア写真学

初めてのグラビアに挑戦した“モグラ女子”のあられもない姿。筋肉アイドル・才木玲佳ちゃんには衣装、脱いでもらいました。そして、決して脱ぐことはなくても、撮られることを意識する女性政治家の写真から考察する“美”。そんな政治家のお宝写真が発掘されるかもしれない、高値で取り引きされているプレミア写真集の条件など――みんなが気になる写真のあれこれ、現像しました。

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【目次】
■ZARD・坂井泉水は10万円!【プレミア写真集】市場
■アイドルやモデルの【初脱ぎ】を撮りおろし!
■【筋肉アイドル】が脱いだ!筋肉と女子のカンケイ
■【長澤まさみ】も出した合法ロリ写真集
■【下乳】など撮影タブーはなぜ発生する?
■【政治家】のポスターは究極のグラビアだ!
■【篠山紀信】はすごいのか!?グラビアカメラマンの評価
■名作、迷作勢ぞろい【グラビアポエム】傑作選
■【キャンギャル】の歴史で考える広告としてのグラビア
■みな宣伝写真を工夫せよ!【アー写】の内情
■イケメン俳優との違いは?【ジャニーズ】グラビアを考察
■光と影を自在に操る!【グラビア写真】の視覚効果
■戦中の【アイドル】幻の慰問雑誌の中身

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過激な「マンガ」読本/経済予測記事はなぜハズれるのか?/カルチャー化する“メンヘラ”の謎

【第1特集】
過激な「マンガ」読本

発行部数が落ち込んでいるものの、いまだ多くの読者を抱える「ジャンプ」「マガジン」「サンデー」の三大誌。その一方で、ウェブマンガが新たな金脈になっているという。そんな業界の内情から、熱狂的ファンによって神格化される『AKIRA』の寿命計測、少女マンガの“キスシーン”実態調査、「刃牙」シリーズの筋肉研究まで、他誌では読めないマンガの秘密を一挙大公開。

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【目次】
■【三大少年誌】大爆死でマンガアプリ戦国時代へ
■【ウェブ発エッセイマンガ】の必勝ネタは?
■連載終了後も人気な【『AKIRA』】が死ぬ日
■『この世界の片隅に』人気で【戦争マンガ】は何を伝えるのか?
■【しりあがり寿】が激白する4コママンガのタブー
■『逃げ恥』は童貞の極地!?【キス】で読み解く少女マンガ
■女子の欲望が大爆発する【ティーンズラブ】の世界
■気鋭のエロマンガ家・【チンズリーナ】が提言!
■【『ブラックジャック』】も!「お蔵入り作」の歴史
■【『刃牙』】の肉体は現実で手に入るのか?
■経済評論家が読み解く【闇金マンガ】
■ギャグマンガは無理……!【マンガ翻訳】の限界
■フランスのマンガ市場を【変態マンガ】が席巻!?
■ホームレス販売に見る【『マンガ雑誌』】の危機的状況

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謹賀新年

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緊褌一番

旧年中は格別のご愛顧を賜り厚く御礼申し上げます。
2017年、株式会社サイゾーでは、激化するウェブメディア乱立期の中、また出口のない出版不況の中での自社の存在価値を“白紙”に戻すつもりでラディカルに見つめ直し、“緊褌一番”、今一度、褌を締め直して、失敗を恐れることなく新たな挑戦を続けてまいる所存です。
変わらず危なっかしい存在かもしれませんが、倍旧のご支援、ご指導のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

平成29年 元旦 株式会社サイゾー スタッフ一同

SEX、ドラッグ&医療のタブー/再始動で見えたハイスタの“失敗”/「看護婦」はなぜ“エロい”のか?

【第1特集】
SEX、ドラッグ&医療のタブー

医療ドラマ『ドクターX~大門未知子~』高視聴率の謎。日本と海外では解釈が変わる包茎文化。やめたくてもやめられない危険なドラッグ事情。そんなドラッグを実際にキメるよりも読んでキメるドラッグ文学の金字塔あれこれ。人間の生き死ににかかわる分野にスポットをあて、本誌初の医療総特集で、大手メディアが報じない闇に鋭きメスを――。

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【目次】
■米投資家が合法化を推進する【医療用大麻】
■【『ドクターX』】で描写される現代医療の功罪
■日本を滅ぼす【童貞】の数を数えている厚生労働省
■【ASKA】に贈りたい!ドラッグ文学の数々
■【大麻】よりもキマる世界の薬草大図鑑
■【「WELQ」】閉鎖!医療コンテンツが抱える病み
■包皮革命、むきむき体操!?日本の【包茎学】
■【ドラッグ女子】のハードな日常座談会
■相模原障害者施設殺傷事件に見る【措置入院】
■待遇がいいのはどこ?【現役ナース覆面座談会】

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【求人】グラフィックデザイナーを募集中

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ヒット映画の裏話/“アスペ・バブル”の危ない真相/春画、1世紀半の“不幸なる”近代史

【第1特集】
ヒット映画の裏話

『シン・ゴジラ』『君の名は。』『ズートピア』『聲の形』─2016年は映画が豊作だった。本誌が約2年半ぶりに行う映画大特集は、そんなヒット映画が作られる裏側に潜入し、つぶさに分析。そのほか、巨匠・堤幸彦監督が語った映画製作の本音、ディズニー映画に隠れる人種差別、そして映画製作委員会の謎の仕組みまで解体しちゃうぞ!

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【目次】
■『君の名は。』『シン・ゴジラ』の影に隠れた【映画業界の闇】
■【堤幸彦】が激白!なぜ低視聴率ドラマは映画化されたのか?
■【山崎賢人】がゴリ押しされるギョーカイの謎
■『ズートピア』がヒット!【ディズニー映画】と人種差別
■【『君の名は。』】は宗教学的にも優秀!?
■【『君の名は。』】を映画館ハシゴで徹底レビュー
■【自衛隊協力拒否】映画に見る現場の本音
■【製作委員会】が邦画を殺した、は大嘘!?
■【地下アイドル】主演・インディペンデント映画の謎
■禁忌に挑む【黒人映画】最新事情
■【独裁国家】のプロパガンダ映画の正体
■巨匠・コッポラも!【学問】としての映画

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日本のSEX学/最高にエロいアイドル衣装/松本愛、美巨乳の天真爛漫

【第1特集】
日本のSEX学

テレビをつければ画面にオネエ、ニュースを見れば性犯罪─。男女、ひいては人間のごくごく自然な欲望である“性”に対する意識。メディアが作り上げてきた「性と呼称」の歴史から、読者諸氏の年齢からも気にとめておきたいED治療薬事情、話題をかっさらった春画問題、そして宗教画で描かれてきた聖母マリアのおっぱい格付けランキングまで、いざ性のタブーに突撃せん!

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【目次】
■日本のテレビは【LGBT】に優しいのか?
■【浮世絵春画】における獣姦表現の功罪
■宗教画の【マリア様】は何カップ!?
■法から見る【高畑事件】と性犯罪
■マンガ家が【ヤリマン女子会】に潜入!
■『火花』は性差別的!?【性愛文学大賞】
■【性と社会の関係】を探る名作シリーズ
■三大宗教は女性を抑圧!?【宗教】と女性
■【バイアグラ】はお役御免!ED治療薬の現在
■【ホモフォビア】が跋扈していた米ヒップホップ界
■奇想天外、思わず笑ってしまう【バカAV】の世界


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【磯部涼/川崎】ヒップホップが止めた川崎南北戦争

日本有数の工業都市・川崎はさまざまな顔を持っている。ギラつく繁華街、多文化コミュニティ、ラップ・シーン――。俊鋭の音楽ライター・磯部涼が、その地の知られざる風景をレポートし、ひいては現代ニッポンのダークサイドとその中の光を描出するルポルタージュ。

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全身をタトゥーで埋め尽くしたラッパーのK-YO。

 川崎は2つの顔を持っている。そして、それらの表情は変わりつつある。シンガーソングライターの小沢健二が自身の根底となっている空虚さを“川崎ノーザン・ソウル”と呼んだ、その背景としてのニュータウンの北部。ラッパーのA-THUGが、治安が悪く、だからこそラップ・ミュージックのメッカと化した、ニューヨークのサウス・ブロンクスやシカゴのサウスサイドに重ね合わせて“サウスサイド川崎”と呼ぶ、工場地帯の南部。一方、最近では、映画『シン・ゴジラ』において、南部・武蔵小杉のタワーマンションが建ち並ぶ多摩川沿いで戦いが繰り広げられた。ゴジラがやって来るのはそれだけ注目されているということで、実際、同地は不動産情報サイト・SUUMOが認定する「住みたい街ランキング2016」関東版でも4位に入っており、その点では、今や“ニュー”タウンの座は南部が奪ったともいえる。こういった発展の仕方の違いを、川崎市民は冗談めかして川崎南北問題と呼ぶが、その対立は、かつて、不良少年の間では血なまぐさい“戦争”という形で現れたのだ。

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南武線・武蔵溝の口駅前に立つ〈FLY BOY RECORDS〉の面々。左よりDJ TY-KOH、KOWICHI、YOUNG HASTLE。

 神奈川 川崎 東京と横浜の間
 挟まれてるこの街 住んでるのはオレ達
 昔はバラバラだった 奴らも今じゃ仲間
 まとまりねーのもスタイルかな
 思ったけどひとつになった
  ――KOWICHI「Rep My City」より

 グローバルなモードとローカルなテーマを掛け合わせる上手さに定評のある、〈FLY BOY RECORDS〉とその仲間たちがMVに揃って登場する地元讃歌「Rep My City」は、2パック「カリフォルニア・ラヴ」のメロディを引用した耳心地の良いラップ・ミュージックだが、そこで歌われていることは、川崎の不良文化の歴史を知る者ほど身に沁みるだろう。

 同地では、各区から鉄道を使って容易に東京や横浜に出られることで、市としてのアイデンティティに欠けてきた。市内を縦貫する尻手黒川道路という幹線道路は存在するものの、ただ、それが持つ越境性こそが、南北の暴走族を中心に、不良による縄張り争いを生んだ側面があるという。例えば、「Rep My City」において、北部・多摩区出身のKOWICHIから“昔なじみの仲間”と紹介される、やはり、多摩区出身で81年生まれのラッパー・K-YOも、かつてはアウトロー・バイカーだった。彼は、同い年だが南部・中原区出身の〈FLY BOY RECORDS〉主宰・DJ TY-KOHと、その中学の同級生でKOWICHIのライヴDJも務めるSPACEKIDを横目に、「昔に知り合ってたら、ぶっ飛ばしてたかもしれない」と笑う。「僕はいつも溝の口(取材場所となった北部・高津区のターミナル)の通称“モンブラン”ってゲーセンに溜まってたんですけど、ここより向こう(以南)はみんな敵でしたもん」

 そして、そのように、いわゆる川崎南北戦争が悪化した要因に、1件の殺人があった。K-YOは続ける。「毎年、お盆になると北部の人間で集まって、ガス橋(多摩川の中原区上平間部分にかかる橋)に追悼に行ってました。僕が不良になった中1の頃、そこで、北部の人が南部のヤツらに殺されたんです」。また、TY-KOHもその事件について年上から聞かされたと語る。「タチバナボウル(高津区のボウリング場)でリンチされて、瀕死の状態でガス橋に連行、さらにバーナーで顔を焼いて殺され、死体が多摩川の河川敷に捨てられたとか。だから、先輩には『北部の報復には気をつけろよ』って言われてました。実際、中学の頃から渋谷には行ってたけど、溝の口には行きませんでしたね」

 当時、TY-KOHとSPACEKIDが通っていた井田中学校は、中原区と高津区の区境の前者側にあったことから“南の門番”と呼ばれ、1キロほどしか離れていない後者側の東橘中学校と喧嘩を繰り返していたという。しかし、彼らはそんな日常に嫌気が差していた。「SPACEKIDはオレらの学年のリーダーだったんですけど、あるとき、東橘中のヤツらにちょっと引くぐらいボコボコにされちゃったんです」(TY)「頭を金属バットでフルスイングで殴られて。歯も折れまくって」(SK)「でも、それがきっかけで、『別に不良として成り上がりたいわけじゃないし、別の遊びをしよう』って感じになった」(TY)。そして、彼らはターンテーブルを購入し、ヒップホップDJを始める。「ヒップホップはその前から聴いてたので」(TY)「先輩たちに拉致られたときに車の中でかかってたのも、クーリオだったし(笑)。シャコタンのマークIIで、ひとりはトランクに入れられて、オレらはブラック・ライトがピカピカの後部座席で『おめーら、じっとしてろよ!』って脅されて」(SK)「で、『ギャングスタズ・パラダイス』が延々とループ(笑)。悪夢かと思ったよ。でも、不良と違って、ヒップホップに関しては地元で先輩にあたる人がいなかったんで、自由にできたんですよね」(TY)

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TY-KOHとは中学時代からの友人であるDJ SPACEKID。

 ただ、2人は次第に地元の不良の伝統も変えていく。例えば、“カンパ”と呼ばれる、南部特有のいわゆる上納金制度を廃止したとTY-KOHは言う。「オレらもカンパには苦しめられたんですけど、『この忌まわしい文化は自分らの世代でやめよう』って話し合って。『年下も一緒に、みんなでもっと楽しくやったほうがいいでしょ』って」。やがて、高校生になると、SPACEKIDはパーティを主催し始める。「パー券を売るのは川崎で、会場は六本木の〈ジオイド〉ってハコで。川崎の人ばっかり、400人ぐらい入りましたよ。パラパラとハードコア・パンクとヒップホップがごちゃ混ぜになったパーティでしたけど」。また、TY-KOHの興味は海を越え、アメリカへと向かった。「ヒップホップをちゃんと聴き出したら、やっぱり、USのものがカッコいいなって。正直、当時の日本語ラップはピンとこなかった。さらに、ニューヨークへ行っては向こうのDJのテクニックを吸収して、日本で披露して……っていうことを始めたので、ますます、USのほうしか見なくなった」。しかし、そんな彼の視線を、改めて地元・川崎へと向かわせたのが、川崎区を拠点に活動するハスリング(薬物売買)・チームからラップ・グループへと発展した、A-THUG率いるSCARSの存在だ。「ファースト(『THE ALBUM』、06年)をたまたま耳にしたときに、『日本にもこんなに面白いラップがあるんだ』って衝撃を受けて」。それにはSPACEKIDも同感する。「日本にはストリートのヤツらが感じてることを、ストレートにリリックに落とし込んで歌っているヤツがいなかったんですよね。そこにSCARSが出てきた。しかも、『川崎なんだ!』っていう」。そうやって、川崎区のライヴハウス〈セルビアンナイト〉で「K’$ Up」というパーティを開催していた彼らは、SCARSとはまた違うベクトルで、オール川崎を代表することに自覚的になっていくのだった。

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多摩区出身のK-YOは、かつてアウトローなバイカーだったという。

 一方、北部のK-YOはヒップホップに関しては少し後れを取った。彼の場合、アウトロー・ライフが長引いたのだ。「17歳のとき、地元のデニーズで幹部会をやってたら、外をよそ者の暴走族が100台ぐらい走り抜けていったんですね。僕はリーダー格でしたし、当然、追っかけたら、何台かがガソリンスタンドで給油してたんで、ボッコボコに。でも、そこにほかの族車が戻ってきて、そのときの喧嘩で地元の先輩が殺されちゃうんです。後日、僕も含めて一斉に逮捕」。そして、1年半がたって少年院を出ると、彼が生きてきた世界はすっかり様変わりしていた。「バイクに乗ってた人たちがローライダーになって、車でウェストコースト・ヒップホップを流してた。それで、僕も先輩に直訴してグループを抜け、そういうパーティで遊び始め、その流れでラップをする。ほんと、あのままいかなくてよかった。きれいごとに聞こえるかもしれないけど、音楽に救われたんです」

 その後、TY-KOH、SPACEKID、K-YO、KOWICHIは行動を共にし始める。「TY-KOH君を知ったとき、クラったっすね。川崎を鬼のようにレップ(代表)してて。『いるんだ? こういう人……っていうか、オレと同じ考えのヤツ、いたー!』みたいな」(KO)。ヒップホップを通して、彼らは彼らなりに南北戦争に終止符を打ったのだ。溜まり場は中間地点の溝の口になる。「今思うと、『南部のヤツは敵だ』っていう考えは先輩から刷り込まれたものでしたからね。完全な縦割り社会に生きてたんで」(KY)「そうそう。K-YOと仲良くなり始めたとき、一緒に、南部の先輩がやってるバーに遊びに行ったんです。その人にK-YOが地元を聞かれて答えたら、『え、北部?』みたいにピリッとして。『今もその対立、あるの?』ってなったもん」(TY)「川崎が南北で分かれてた歴史は、前の世代が背負ってたものだから。カンパじゃないけどオレたちの世代で克服して、ひとつの“K-TOWN”として全国にアピールしていきたいよね」(SK)

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左:再開発で商業施設やタワーマンションが建ち並ぶようになった武蔵小杉。
右:K-YOの楽曲「ストロングゼロ」には、YOUNG HASTLEとTY-KOHも客演。

 また、調布市出身のラッパー・YOUNG HASTLEや、宇都宮市出身のプロデューサー・ZOT on the WAVEも合流、“K-TOWN”は成長していく。「昔は“川崎=ヤンキー”っていう印象で、ダサいと思ってたんですよ。でも、TY-KOHたちは超イケてたんで、仲良くなりたいなって。そこから、毎晩、みんなで溝の口でメシ食って、当時、住んでた駒沢までチャリンコで20分くらいかけて帰るっていうライフスタイルに。しまいには引っ越してきましたからね。今は川崎っていうと、ブルックリンとかニュージャージーみたいな、中心から離れてるからこそアンテナが発達してる、センスの良いサバーブの街って印象です」(YH)。〈FLY BOY RECORDS〉周辺は、精力的に、挑戦的かつ普遍的なラップ・ミュージックをリリースしている。彼らは目標を以下のように語る。「以前の川崎はほんとブロックごとにハスラーがいるような感じで。みんな、アルバイト感覚でやってた」(SK)「それをラッパーとかDJが兼業してたケースも多いし、日本ではヒップホップがいかんせん金にならないからそうなるんですよね。下手したら、ヒップホップをやるためにハスリングで経費を賄ってるレベル。だからこそ、ちゃんとヒップホップで稼げるようにしたい」(TY)。果たして、川崎はディストピアからユートピアへと生まれ変わることができるのだろうか。(つづく)

(写真/細倉真弓)

【第一回】
【第二回】
【第三回】
【第四回】
【第五回】
【第六回】
【番外編】
【第七回】
【第八回】

磯部涼(いそべ・りょう)
1978年生まれ。音楽ライター。主にマイナー音楽や、それらと社会とのかかわりについて執筆。著書に『音楽が終わって、人生が始まる』(アスペクト)、 編著に『踊ってはいけない国、日本』(河出書房新社)、『新しい音楽とことば』(スペースシャワーネットワーク)などがある。

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【第1特集】
タブー(禁)動画大全

動画を観ない日なんて、1日たりともない今日日。YouTubeの有料サービス〈YouTube Red〉も年内には日本で開始されるといわれ、HuluやNetflixは会員数を増やしている。一方でひっそりと死にゆく動画サービスもある。じゃあ儲かるサービスの仕組みって?国内外の動画サイトの検証から、MVのお値段、過激なエログロまで、動画のいろんなヒミツ、暴いちゃいます。

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【目次】
■【Netflix】はAmazonに勝てない!?動画サービス勢力図
■【素人ポルノスター】の過激ナマ配信
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