「12プレミア」の記事一覧(15 / 16ページ)

ゲイ雑誌「Badi」を「週刊プレイボーイ」のようにしたかった…テレビタレントになる前のマツコ・デラックスはいかに生きてきたのか?

「月刊サイゾー」を無料で立ち読み!

――マツコ・デラックスが、一体どんな道のりを経て今のポジションにいたったのか、テレビを見ているだけではあまりわからない。女装家・コラムニストとして世にデビューした直後から現在までのインタビューや執筆原稿から、彼女の人物像を分析し、今後の展開を予想する。

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 ある人は「新世代のバラエティスター」と呼び、ある人は「毒舌オカマ」と呼ぶ。「再び芸能人批評をやってほしい」と願う人あれば、「テレビに魂を売った」と言う人あり――。

 マツコ・デラックス。42歳、千葉県生まれ。数年前のプロフィールによれば、B180・W180・H180の体重140キロの巨漢、そして女装家である。現在、テレビのレギュラー番組は9本、雑誌連載は2本、CMは9本。押しも押されもしない、人気タレントだ。

 しかし、彼女がどのような道のりを経て現在のポジションにたどりついたのかは、テレビだけではあまりわからない。本人の口から断片的に語られることはあるが、毎回すべて観ている人でもない限り、それをつなぎあわせるのは至難の業だ。そこで今回、マツコ・デラックスを解体する本特集冒頭の本稿では、これまでのインタビューや著書など、紙媒体における発言をくまなく見ていくことで、その経歴と内面を探ってみようと思う。

 彼女が自身のセクシャリティに気づいたのは、小学生の時だと語られている。母親の口紅をこっそり塗ったり、学芸会で女装してワンマンショーを披露したりする中で、当時は「女性歌手になりたい」と思っていたという。だがむろんなれるわけもなく、そうした存在に憧れながら、高校3年生で初めての完全女装を経験した。

 彼女がメディアに関する仕事についたのは22歳の時だ。エロだけでなくカルチャーや社会的側面にも重きを置いたゲイ雑誌「Badi」(テラ出版)の編集者として働き出したのがきっかけになっている。ここで本名と男の姿を脱ぎ捨てて、マツコ・デラックスとしての自分を形成し始めた。最初は1年間も続かずに退社したが、ブランクを経て再び編集部に舞い戻る。「Badi」を黄金期の「週刊プレイボーイ」(集英社)のようにしたいという理想のもと、しゃかりきに働く日々が続いた。だが29歳の頃、自身の仕事に行き詰まりを感じ始め、同時に職場の人間関係に疲弊し、編集部を去る。ひとり暮らし先で半年引きこもった後、千葉の実家に出戻り。3年間、実家暮らしを続けた。だがこの期間に、現在に至るきっかけが生まれている。それが、作家・中村うさぎとの出会いだ。

 中村うさぎといえば、買い物依存にホスト通い、整形にデリヘル体験と、自身の欲望をグロテスクなまでに見つめて実行し、そのさまをつづる女性作家だ。その彼女が、ゲイである夫が読んでいた「Badi」で「面白い文章を書く人がいる」と目に留めて、新宿二丁目でマツコと邂逅。数日後、自身の対談本に出演してくれるようにオファーを出す。そこから“マツコ・デラックス”としてのメディアでの活動はスタートした。その後「週刊女性」に、芸能人批評を行うコメンテーターとして露出を重ねるようになり、コラムニストとしての風格が備わってゆく。

 この時期、彼女の人生に再び転機が訪れる。実家を追い出されたのだ。

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【加藤ミリヤ×峯田和伸】映画『ピース オブ ケイク』の主題歌は、黒と白が溶け合った絶妙なハーモニー。

「サイゾーpremium」より

――デビュー10周年を迎えた加藤ミリヤと、銀杏BOYZのメンバーとしても活動する峯田和伸が初共演で見せた〈愛〉の形。

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(写真/cherry chill will)

 ジョージ朝倉の原作マンガ『ピース オブ ケイク』(祥伝社)の実写版映画が9月5日から封切りとなる。ヒロイン役を多部未華子が演じ、恋人役は綾野剛。友人役には松坂桃李と木村文乃が配役ときたら、ありがちな純愛ラブロマンス……かと思いきや、主人公が劇中でに泥酔し、迫られた男性とは気の趣くままに情事に及ぶ――。そんなリアルな描写も含まれる、決して一筋縄ではいかない愛の形をテーマにした映画の主題歌を担当した、加藤ミリヤと峯田和伸による制作秘話をお届けしよう。

加藤ミリヤ 「監督を務めた田口トモロヲさんからご指名をいただいて、峯田さんと共演するのはどうか? とオファーされたことがきっかけでした。私はGOING STEADY時代から峯田さんのファンだったので、運命すら感じちゃいました」

峯田和伸 「ミリヤさんとはまったく接点がなかったんですけど、音楽以外の分野でも活躍していて、若い子たちへの影響力もハンパないじゃないですか。なので、もう、一緒に歌ったら絶対面白いと確信したわけですよ」

加藤ミリヤ 「私みたいな歌手、峯田さんは嫌いなんだろうなと思ってましたよ(笑)」

峯田和伸「そんなことないですよ。漠然とうまくいくって信じてましたから、僕。実際、一緒にレコーディングして、アイスコーヒーとミルクが溶け合うような色気、いやらしさが曲に出せたんじゃないかなって。でも、よくよく考えてみると、僕、ミリヤさんのこと、いまだになんにも知らないや」

加藤ミリヤ 「曲を作ることへのエネルギーを互いに放ち合いすぎちゃって……ほとんど普通の会話って、してませんね(笑)」

峯田和伸 「最近観た映画がウディ・アレンの『ブルージャスミン』って言ってたのは覚えてるけど……それくらいだな。でもね、それで十分なんですよ。情報は不必要で、互いの声を聞きつつ、曲として素晴らしい作品が出来上がれば、それ以上のぜいたくはありませんよ」

 余計な情報は不要で、互いに惹かれ合うという感覚は、多部未華子と綾野剛が恋に落ちていく映画本編にも通じる。それぞれ映画に対してはどのような感想を持ったのだろうか。

峯田和伸 「僕は映画にも出演させてもらっているんですが、とにかく原作がすごく面白かったので、『ピース オブ ケイク』の世界観を生身の人間が演じたら、いったいどうなるんだろうと思いましたけど、原作とはまた違う良さが出せたのかな、と思っています」

加藤ミリヤ 「多部さんが居酒屋で酔っ払っているシーンがあって、『本当に酔っているのかな』と思って観ていたんですけど、実際に飲みながらの撮影だったようで、そういったありのままの姿が印象的に残る映画。ほかにも、多部さんが男風呂に殴り込むシーンとか、実際はできないけど、本当はやってやりたい! という女子の願望を叶えているシーンは、見ていて気持ちがよかったですね(笑)」

峯田和伸 「綾野くんと多部さんが仕事先から帰るシーンがあるんですけど、その後ろ姿が心に残ってるなあ。ささやかなんだけど、映画で久しぶりにああいう素朴で普遍的なシーンを観たなって」

加藤ミリヤ 「どんな状況でもフィットする面白さがある映画ですよね。『私は今、誰と一緒にいたいのかな』って思わせてくれる」

峯田和伸 「好きな人と一緒に観に行くと心が痛くなる部分もあると思うけど。ひとりで観に行っても楽しいと思うんで」

加藤ミリヤ 「映画の主題歌って、本編のおまけみたいな感じになることが多いんですけど、今回の主題歌に関しては“蚊帳の外”という感覚はまったくなくって、私も一緒に映画を作り上げられた一員として参加できたように感じています。ひとりでも多くの方に観ていただきたい映画ですね」

(文/編集部)

加藤ミリヤ(かとう・みりや)
1988年、愛知県生まれ。04年に「Never let go/夜空」でデビュー。BUDDHA BRANDやUAなどの名作をサンプリングした楽曲で注目を集める。音楽活動のほかにも、自身のアパレルブランド「KAWI JAMELE」のデザイナーとしても活躍。

峯田和伸(みねた・かずのぶ)
1977年、山形県生まれ。96年にGOING STEADYとして音楽活動をスタート。03年の解散後、銀杏BOYZを結成。ミュージシャンとして活躍しながら、俳優業も並行している。

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「ピース オブ ケイク─愛を叫ぼう─feat.峯田和伸」
発売/ソニー 価格/1300円(税込) 9月2日発売


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『ピース オブ ケイク』
男性に言い寄られたら簡単に付き合う梅宮志乃(多部未華子)が、引っ越し先で新しいバイト先の店長・菅原京志郎(綾野剛)に出会い、恋人がいると知りながらも京志郎に惹かれていく──。監督:田口トモロヲ 脚本:向井康介 配給:ショウゲート 公開:9月5日(土)公式サイト:http://pieceofcake-movie.jp

天使もえは常にTバック!「女子として意識を高く保つためには、パンツにも気を使わなきゃいけないんです!」

──ナイスバディなグラビアタレントさんの下着や水着へのこだわりを拝聴し、げに理解しがたきオンナゴコロに迫りませう!!

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(写真/三浦太輔・go relax E more)

 初めてオトナの下着を身に着けるようになったのは、周りの友達よりもちょっと遅くて高校生の頃。当時付き合っていた彼氏と初めてそういう関係になったので、その直前に空気を察して下着も用意したんです。いざという時に、スポーツブラだとさすがにヤバイぞ! って焦ってました(笑)。その時に選んだのはベーシックな白い下着。まだ高校生だったし、あんまり積極的なものを買うのが恥ずかしかったので、純白の生地にちょっと花柄がついた下着を買ったんです。周到に準備をしたおかげで、彼氏との初エッチも無事に成功して一安心しました。

 ただ、その時に気づいたのが、男の人ってエッチするときにあんまり女性の下着を見ていないっていうこと。その人以外でも、今まで出会った男性のほとんどはすぐに脱がせようとするから、一生懸命下着選びを頑張った女子としてはすごく悲しいんです(笑)。

 だからその後からは、男の子が喜びそうな真っ白なものだけじゃなくて、もっと自分が好きな下着を着けるようになりましたね。以前は、黒い下着ばっかり愛用していたけれど、最近は女の子らしい服装に目覚めて、かわいらしいパステルカラーを選ぶようにしています。

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(写真/三浦太輔・go relax E more)

 今プライベートで持っている下着は20着くらいかな? 2カ月くらい前からエステサロンに通っていて、カップ数が上がったので総入れ替えをしたばかりなんです。筋肉のこりをほぐすと、おっぱいを前に寄せやすくなって、CやDだったカップ数がサイズアップするんですよ! そのサロンの先生から「自分が思っているよりもワンサイズ大きい下着を身に着けなさい」っていわれて。ピッタリとしたサイズのブラジャーを着けていると、おっぱいがそれ以上大きくなろうとしないみたい。現在、「天使もえEカップ化計画」を進行中なので、意識的にちょっと大きめの下着を着けるようにしています。

 早くおっぱいを大きくしてDカップを卒業したい!! まだサイズが変わっている最中なので、あまり値段の高い下着は買えないんです……。

 購入する下着は、だいたい5000~6000円のものが多いですね。そもそも、私にとって下着は消耗品。いつどこで見られても大丈夫なように、ほつれたら取り替えるようにしています。お店に行くと1万円を超える値段の下着もありますが、20歳になったばかりのコドモには、まだまだ着こなせない……。年齢を重ねるにつれて下着の好みも変わってきてるので、高い下着も着こなせるようになるのかな?

 デビューしてから今月でちょうど一年なんですが、本当にキレイな女優さんばっかりですよね。身の回りにいる女性を見ながらカラダのことやメイクのことをいっぱい勉強しています。それに伴って、普段から身に着ける下着も変化してきて、今では基本的にTバックしか着けないようになりました。Tバックは、気持ちもおしりも引き締まります。私自身、どんなことにも全力投球をしたいので、女子としての意識を高く保つためには、パンツもTバックじゃないといけないんです!

(構成/萩原雄太・かもめマシーン)
(ヘア&メイク/ISINO)

天使もえ(あまつか・もえ)
1994年、東京都出身。エスワン専属のAV女優。 「スカパー!アダルト放送大賞2015」新人女優賞および、 「DMMアダルトアワード2015」最優秀新人女優賞を受賞。また、佐倉絆・松岡ちなと共に「AVOPEN2015」のサポートガールを務める。

AV OPEN
日本に数あるAVメーカーが出品して、ナンバー1作 品を決める最大規模のAVの祭典。今回登場してくれた天使もえが佐倉絆・松岡ちなとともにイメージガールを務めている。昨年は、総勢75メーカー78作品が エントリーした。今年は、6月8日にすでに開催が宣言され、7月1日から全エントリー作品が公開された。9月1日から 全作品が発売となり、WEB投票が開始される。結果発表は11月中旬というロングスパンでの開催となる。まずは、公式サイトで動向をチェックだ!<http://www.av-open.jp/

日本最大規模のアダルトの祭典「AV OPEN」の開催でエロの伝道師【ケンドーコバヤシ】が、苦悩を語る!

――ユーザー投票により日本一のアダルトビデオを決める「AV OPEN」。メインサポーターに就任したケンドーコバヤシに、その見どころを聞いたところ、人間ドラマがあふれる祭典が繰り広げられるようだ。

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(写真/若原瑞昌・D-CORD)

「正直、痛しかゆしではあるんですよ……」

 苦い第一声だった。AV界における最大規模の祭典「AV OPEN」。本年度メインサポーターに任命されたのが、エロをこよなく愛する芸人、ケンドーコバヤシだ。名誉ある就任かと思いきや、なぜ?

「オフィシャルな仕事に携わることで、個人的に肩入れできない立場になりますからね。しばらくはジャンルも女優もばらけさせてDVDを買わないといけない。最近、咽喉カラカラにして汗だく系の企画見るのが好きなんです。その楽しみも封印と思うと……」

 悩めるケンコバは、昨年の「DMMアダルトアワード2014」にもプレゼンターとして参加。面白おかしく場をかき回す気持ちで挑んだところ、ファンも受賞者も涙を流す真剣さに衝撃を受け、襟を正したという。
「そう言いながらも、なんとか女優さんと出会えないかとケータリングの場所をうろついたり、1%の望みをかけてガラケーの赤外線を送りながら廊下歩いたんです。でも出番終わった出演者をスタッフがタクシーまで案内するぐらい導線がしっかりしていて、チャンスは皆無でしたね。そこでまた悟りましたよ、運営は本気だって。

 今年の展開? AVって女優さんの見た目、キャラ、ファイト内容、レーベルの色、監督の味、かなり細分化されているじゃないですか。だから正直、まったく読めません……僕がひそかに好きな“心機一転とまではいかない程度のプロ感が漂う、レーベル移籍したての女優の1本目”系作品が健闘するとうれしいですけど」

 かつて、エロネタに特化する芸人は「汚れ」と呼ばれ、メディアの中心からはじかれた。しかしケンコバは下ネタや猥談を朗々と語り、ただただスケベなローカル番組に出演しているにもかかわらず、全国区のゴールデンでも引っ張りだこ。好感度が下がらないばかりか、CMに起用されることも少なくない。エロに対する自主規制がきびしくなり、無頼の存在が駆逐されやすい中で、特異なタレントといえよう。

「スタンスは変わりませんね。若手の頃から、普通にコンパして生まれるエピソードよりも破壊力があるんで、風俗行った話も平気でしてました。でも風俗行くことや煙草吸う姿が世の中でタブー視されても、別に悪いことはしてませんから。法律の中で暴れさせたら、俺は一番ですよ!」

 かように順法闘争を主張するケンコバ。「実家はノーパンうどん屋」「本名は小林卍丸」など滔々とウソをつく印象も強いが、エロという一点においてまなざしは清らかだ。それは「いかがわしい場所をちゃんと取材してるのは、成田アキラさんと俺だけ」と豪語するように、労力と愛情を注いできた誇りがあるのだろう。

「こないだ海外ロケ行った時、『アダルトなエリアには行くな』と注意されても、『自己責任じゃい!』とスタッフ振り切って、ひとりでぶらついてきました。もちろん誰も見てませんよ。ただ、ここで引き下がったら、数少ない僕の支持者が『なんじゃい!』と落胆するかなと。ちっぽけなプライドですけどね」

 視線があろうと、己の“法”を貫き続ける。この侠気が人々を魅了し、エロを超えた奇跡の好感度を実現しているのだ。しかしその代償は小さくないよう。

「どうしても私生活は終わりますよね。たまに彼女ができると、最初は仕事だと納得してくれるんです。でも僕がテレビでスケベな話したり、周囲から『ケンコバの彼女=変態』という目で見られるうち、『やっぱりムリ』と去っていく。まさにエロ版『男はつらいよ』。くだらない世間ですよ……誰ですかこんな国にしたのは!」

 ひとしきり叫んだ後、「すいません。俺は結局ヌキたいだけなんです」。そう言い残すと煙草をもみ消し、AV女優と対談する現場へ颯爽と向かっていった。

(文/鈴木 工)

ケンドーコバヤシ
1972年、大阪府生まれ。ピンで活動するお笑い芸人。明らかにネタとわかる話を真剣に話したり、普通の話から強引に下ネタオチに持っていくといったトークで人気を博す。数々のテレビ番組に出演し、DVD作品も多数。

『AV OPEN』
日本に数あるAVメーカーが出品して、ナンバー1作品を決める最大規模のAVの祭典。昨年は、総勢75メーカー78作品がエントリーした。今年は、6月8日にすでに開催が宣言され、7月1日から全エントリー作品が公開、9月1日から全作品が発売となり、ウェブ投票が開始される。結果発表は11月中旬というロングスパンでの開催となる。まずは、公式サイトで動向をチェックだ!〈http://www.av-open.jp/

ラーメンズ・片桐仁と妄想工作家・乙幡啓子がオトナ版『できるかな』で本気の工作あそび!

「サイゾーpremium」より

――粘土作家としても活躍するラーメンズ片桐仁が妄想工作家・乙幡啓子とタッグを組んで仕掛ける「今まで見たことない工作番組」とは?

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(写真/永峰拓也)

 片桐仁といえば、“ラーメンズのモジャモジャのほう”としてお馴染みだ。一方で粘土作家としても活躍していることは、ファンの間ではよく知られている。そんな片桐仁が、妄想工作家・乙幡啓子とタッグを組んで送る異色の工作番組『また、つまらぬ物を作ってしまった』がDVD化された。本人いわく、大人版の『できるかな』。いったいどんないきさつで、企画が持ち上がったのだろうか?

片桐「粘土作品を作る番組をやりたいという気持ちはずっとあって、知人の放送作家と話をしていました。ただ、ひとりじゃ動きがない……ってことになって、一緒にできる人を探してたら、乙幡さんの名前が挙がったんです」

 妄想工作家・乙幡啓子。ニュースサイト「デイリーポータルZ」などでライター業をしながら、独自に発表していたアート雑貨が話題となり、現在は雑貨企画・制作プロジェクト「妄想工作所」の活動にも力を入れている。

乙幡「片桐さんがそんなにしっかりした考えで、この番組の企画を立ち上げたことを今初めて知りました。私は行きつけの飲み屋の常連が番組のプロデューサーの知り合いだったので、“飲み”の縁で声がかかっただけだと思ってた」

 番組は、視聴者から募った共通の「お題」が毎回2人に出され、作品を持ち寄るという大喜利スタイルで進められる。ユニークなのが、定点観測カメラで制作工程がすべて包み隠さず見られるところ。膨大な数の工具や塗料、聞いたこともない素材が次々に登場し、結構マジで勉強になる。

片桐「昔から、(粘土作品を)どういうふうに作ってるんですか? とよく聞かれていたんで、どうせなら見せちゃおう! って。失敗して機嫌が悪くなったり、子どもが僕の部屋に邪魔しに来たりする様子も全部映ってます。こんな工作ドキュメント番組、今まで絶対ないと思いますね」

 お題は、「冷蔵庫のプリンを自分以外に食べられなくする機械」「食べるのも畏れ多い『おにぎりケース』」など、ひとクセあるものばかり。さらに、それを打ち返す2人の“怪作”が妄想の迷宮に視聴者を誘う。

乙幡「片桐さんの作品は、とにかく作り込みがスゴイ。そして、絶対片桐さんにしかできないモノに仕上がってしまう(笑)。『プリン食べちゃダメイデン』とか『おにぎり型土偶』とか……」

片桐「いやいや、乙幡さんの作品もよく考えられてますよ。『御握携す大名』なんて、商品化されて、店頭に並んでるのが目に浮かびますもん。これ使ったら楽しいだろうなって。そこは市販の雑貨を作っているプロですよね」

 会話に紛れ込む脱力系の作品タイトルも気になるところ。その正体は、ぜひDVDで確かめていただきたい。また、作品に心地よい“毒”を添える、2人の息の合ったかけ合いも見逃せない。

片桐「乙幡さんはスナックのママみたいな雰囲気ですけど、もとは会社勤めしてたんでしたっけ?」

乙幡「そうです。バブル直後にマーケティング会社に就職して、夢もなく地味に働いていたんですけど30歳で辞めて、いろいろ仕事を転々として、今に至ります」

片桐「初めて聞きましたよ! この前の打ち上げでも、そんな話まったくしませんでしたよね」

 互いの素性なんて知らなくても、作品でつながり合えるのがアーティスト。最後に、今回のDVDの見どころを教えてください!

片桐「やはり最後のお題ですよね。作品がカブるという!」

乙幡「それ言っちゃダメじゃないですか?」

片桐「いや、いいですよ。僕が作品を出した瞬間の、現場の不穏な空気をお楽しみください!」

乙幡「このDVD、ヴィレッジ・ヴァンガードの店頭で流したらウケると思うんですけど」

片桐「確かに。ヴィレヴァンで何枚売れるかが勝負です!」

(文/丸茂アンテナ)

片桐 仁(かたぎり・じん)
1973年11月27日、埼玉県生まれ。多摩美術大学在学中に小林賢太郎とお笑いコントユニット「ラーメンズ」を結成。以降、舞台を中心に活躍。俳優、芸術家としてもマルチな才能を発揮している。99年からスタートした粘土作家としての活動は特に有名で、数々の個展も開催した。

乙幡啓子(おつはた・けいこ)
1970年9月21日、群馬県生まれ。妄想工作家。ライター。ニュースサイト「デイリーポータルZ」などで発表していた雑貨作品が話題に。雑貨企画・製作プロジェクト「妄想工作所」の代表として、自ら手がけた雑貨の販売も行っている。ホッケの開きを模したペンケース『ホッケース』などが有名。

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DVD-BOX『また、つまらぬ物を作ってしまった』
昨年9月よりNOTTVで放送していた工作バラエティが、未公開映像も盛り込んだDVD-BOXとしてパッケージ化。「大喜利+工作」という難題に苦戦しながらも、次々と画期的かつ斬新な作品を生み出していく。
発売/ポニーキャニオン 価格/6480円(税込)/発売中

女は自分の商品価値を定量的に確認したい生き物で、男はそれがわからない。髪を失ったラプンツェルの存在価値とは?

【「月刊サイゾー」立ち読みサイト「サイゾーpremium」より】

――サブカルを中心に社会問題までを幅広く分析するライター・稲田豊史が、映画、小説、マンガ、アニメなどフィクションをテキストに、超絶難解な乙女心を分析。

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『塔の上のラプンツェル』(DVD)

 今回は、特殊な能力のために塔の中に囚われてしまったお姫さまの物語、ディズニー・アニメ『塔の上のラプンツェル』をピックアップ!

※本文中にはネタバレがあります。

「美しすぎるプリンセス」こと、秋篠宮家の次女・佳子さまフィーバーが止まらない。この4月に撮影されたICU(国際基督教大学)入学式の際の一枚は、橋本環奈の“奇跡の一枚”を軽く超えていた。橋本が「千年に一人の逸材」なら、佳子さまはさしずめ「(神武天皇から数えれば)二千年に一人の逸材」。写真には「代表撮影」としかクレジットされていなかった、このカメラマンこそ紫綬褒章候補になっていただきたい。

 佳子さまがなぜそこまで愛されるのか。その魅力について、各紙・各誌はこぞって記事を作っている。たとえば、目下別件で話題沸騰中の香山リカ先生は、沸騰前にこんな分析をされていた。

「(略)ちょっとセクシーでやんちゃ、でも『安全圏内』。これが親世代に好まれるだけでなく、若年層の共感を得ている。今の若者は個性的すぎたり、主張が強すぎる人を敬遠します。与えられた環境に反発せず、その範囲で『ありのままの自分』をエンジョイするのが彼らの価値観だから」(毎日新聞 2015年4月7日)
 
「ありのままが最高に美しいプリンセス」が佳子さまなら、「ありのままの自分になりたいと歌ったプリンセス」はディズニーアニメ『アナと雪の女王』(14年公開)のエルサ(声:松たか子)である。が、今回あえて取り上げたいプリンセスは、その3年前に公開された、同じくディズニーアニメ『塔の上のラプンツェル』のラプンツェルだ。

『塔の上のラプンツェル』のあらすじはこんな感じだ。

育ての親である美魔女なゴーテルに騙されて塔の上に軟禁されている髪の長~い少女ラプンツェルは、実は王国のプリンセス。ある時、泥棒の青年フリンの手引きで塔の外に出て、自由を謳歌する。ラプンツェルの髪に宿る不思議な力で若さを保っていたゴーテルは激怒、ラプンツェルを追跡するが……。

綾野剛の股間はモザイク多め…山岸舞彩はあわやカーセックス!?【秘】張り込み現場舞台裏

【「月刊サイゾー」立ち読みサイト「サイゾーpremium」より】

――売り上げ落ち込む紙メディアだが、「週刊文春」「FRIDAY」をはじめとした写真を押さえたスクープはいまだ健在。日夜、張り込み班のたゆまぬ努力によって、それらは生み出されているのだ。ここでは、そんな各種週刊誌の張り込み班記者が集まり、スクープ写真の現場について語った。

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『張り込み日記』(ナナロク社)

[参加者]
A…元週刊誌編集者
B…大手女性誌記者
C…写真誌カメラマン

A タレントや有名人の張り込みをして、スクープ写真をものにする「張り込み写真業界」なんて、数十人しかいない狭い世界だから……バレないかな?

B 身元がバレないように、お互い言葉を濁しつつやりましょう(苦笑)。

A まずは、苦労話からかな。普通の人は張り込み班の実態なんて全然知らないよね。俺らはタレントが出てくるまで30時間車の中で待っているなんていうこともザラだし、飲み会の最中でも、夜中に寝ていても、ネタ元からの電話は絶対に逃せない。その電話を取れるか取れないかだけで、1週間の仕事が決まるからね。

C 最近は張り込み班の「高齢化問題」が深刻になってきている。記者でもカメラマンでも30代ならまだ若手扱い。読者の年齢層も上がっているし、みんな老体に鞭を打って頑張ってるね。

B 彼らはスクープ写真が花盛りだったころからの人も多いから、イケイケだよ。普通、張り込みしているときは記者とカメラマンが2人でずっと一緒に動いているから、男女のペアだと、現場でデキちゃうこともあるよね。僕は残念ながら、そういうのはないけど……。

C あるカメラマンは、張り込みの現場でカーセックスするって有名(笑)。素行はひどいんだけれども、腕がいいから仕事がくるんだ。

B でも、張り込み写真の世界でも、うまいカメラマンと下手なカメラマンには大きな差があるね。うまい人は、しっかりとポジションを取って、芸能人がここを歩くだろうという読みを働かせつつ、誌面に載せたときのイメージも考えて写真を撮れる。熱愛スクープだからといって、写真ならどんなものでもいいわけじゃないんだ。しっかり顔が撮れているか、カメラに顔が向いているかは重要だから、タレントの行動が捉えられないカメラマンは話にならない。

A 張り込みは体力勝負だからね。熱愛写真も撮るのが大変だよね。みんなネタがないネタがないって、ぼやいてるよ。

C 特に最近は芸能事務所の教育が行き届いているせいか、タレントもなかなか隙を見せなくなってしまい、写真を撮るのも大変な世の中になった。彼らが住んでいるのも、セキュリティがガッチガチのタワーマンションばかりだから、ますますやりにくいよね。駐車場が地下にあったりすると、車から降りるところをキャッチするのも至難の業だ。

B かつては、車のナンバーさえわかれば、陸運局で照会して持ち主の名前を割り出せたけど、プライバシー保護の関係で6年くらい前からできなくなったのも、張り込み班にとっては痛い。別の取材とかでテレビ局に入ったら、誰かいないかできるだけチェックするし、街中でも芸能人が乗っていそうな車があれば観察をしてるよ。スモークを張った上にカーテンを引いている車は、ほぼ間違いなく何かあると思って見ている。

C 熱愛スクープだったら、とにかくツー(ツーショット)を撮らないと話にならなかった。ツーだったらすぐに載せられるけど、ピン(1人)なら、もう一週間様子を見てから、ということもしばしば。大物だったらピンの写真を集めただけでも記事にできるけど、タレントのバリューがないとピンでは厳しい。カメラマンとしては、ツーの写真が撮れた時の爽快感はたまらないね。

B そういう意味では、最近だと、北川景子とDAIGOが六本木の書店でキスをしている写真【1】はよかったね。あの書店は芸能人御用達として有名で、過去にも浅野忠信をはじめいろいろな人が写真を押さえられているから、必ずどこかの媒体が張り込んでいるんだ。写真を見たけど、あんなところでイチャイチャしてるなんて「撮ってください」と言っているようなものだよ。

夏フェス出演、フジ音楽番組司会抜擢……高まる森高千里・再評価!音楽的実力を今問い直す

【「月刊サイゾー」立ち読みサイト「サイゾーpremium」より】

――今春の番組改編で、フジテレビが21年ぶりに生放送の新音楽番組を始めることが発表された。司会のひとりは森高千里。この数年、本格的に歌手としての活動に復帰した彼女は、いま再び“旬”なアーティストとしてスポットを浴びているのだ。2010年代半ばの今、森高千里はなぜ再評価されているのか? その原因に、さまざまな角度から迫ってみた。

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『STEP BY STEP―森高千里写真集』(アップフロントブックス)

 森高千里再評価の熱が高まっている。

 40代後半になっても衰えの見えないルックスもさることながら、その音楽活動、アーティストとしての存在感に、あらためてスポットライトが当たりつつある。そして、当時からのファンだけでなく、デビュー当時を知らない若い世代にもその魅力が届き始めているのだ。

 きっかけは2012年。00年に第一子を出産し子育てを生活の中心としてきた彼女が、この年、デビュー25周年を記念して本格的に再始動を果たす。シングル集のリリースやライブだけでなく、YouTubeに公式チャンネルを開設し、99年までに発表したシングルやアルバムのほぼ全曲をセルフカバーしていくという「200曲セルフカバー企画」もスタートさせている(15年4月上旬段階で計165曲を公開)。

 さらに13年には、若手DJ・トラックメイカーであるtofubeatsのメジャーデビュー曲「Don’t Stop The Music」にフィーチャリングで参加。翌14年には「森高千里 with tofubeats」名義でサマーソニックのステージに立ち、入場規制の盛況に。互いの曲をノンストップで披露するその内容は、コラボレーション・アルバム『森高豆腐』としてもリリースされている。

 もともと森高千里の大ファンだったというtofubeatsに、彼女のどういうところが好きだったのか、話を聞いたことがある。まず印象的だったのは「僕からしたら音楽しか残ってない」という一言。90年生まれの彼にとって、森高千里がブレイクした頃のことは当然リアルタイムではない。当時のブームを知る人はミニスカのビジュアルやアイドルとしてのキャラクターを記憶しているが、音源だけを聴いている世代にとってはそういうイメージが一切ない。だから、純粋にいい音楽として憧れる、ということだった。

男は女の求めるものが理解できない! 観れば結婚したくなくなる夫婦鬱映画はコレだ!

【「月刊サイゾー」立ち読みサイト「サイゾーpremium」より】

――サブカルを中心に社会問題までを幅広く分析するライター・稲田豊史が、映画、小説、マンガ、アニメなどフィクションをテキストに、超絶難解な乙女心を分析。

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ゴーン・ガール(初回生産限定) [DVD]

 今回は、妻に失踪された夫の苦悩と絶望を描く『ゴーン・ガール』をピックアップ! ※本文中にはネタバレがあります。

 春は出会いと別れと心療内科の季節。そんな新年度のはじまりに、我が国の晩婚化と不仲夫婦の鬱を加速度的に推し進めるA級戦犯映画がめでたくDVD化された。

 その名は『ゴーン・ガール』。超ド級の夫婦鬱映画である。

(※「夫婦鬱映画」とは、独身者が観ると結婚に対する夢と希望がすべて破壊され、夫婦が一緒に観ると、長らく見ないフリをしていた家庭内問題をムリヤリ自覚させられる恐ろしい映画のこと。「寝た子叩き起こし映画」とも呼ぶ)

 ストーリーはこうだ。ニックとエイミーの夫婦は冷え込んだ結婚生活を送っていたが、5年目の結婚記念日の朝、エイミーが失踪。ニックにはまったく心当たりがないばかりか、残された状況証拠から「ニックがエイミーを殺したのではないか?」という嫌疑までかけられてしまう。

 映画の中盤で、この失踪劇はエイミーの狂言であることが判明する。エイミーは怠慢な結婚生活を送って若い女と浮気を続けていたニックに「罰」を与えるべく、巧妙に証拠を捏造して警察を欺いた。ニックに罪をかぶせて死刑にし、自らも命を絶つ予定だったのだ。

 ここまでなら、「あ、メンヘラ異常妻のサイコパス映画、乙」で片付けられて終わりのところ、話はそう簡単ではない。エイミーは、テレビ番組で「妻に対して誠実ではなかった」と謝罪するニックの姿を見て、思い切り心変わりするのだ。失踪中にかくまってもらっていた元カレの喉を掻き切って殺し、狂言だったことを隠して「誘拐犯から命からがら逃げ出したヒロイン」を装い、ドヤ顔で帰還するエイミー。ニックはエイミーの狂言であることを知っていたが、世論は完全にエイミーの味方。証拠もないのでそれを明かせない。いっぽうのエイミーは嬉々として、かつ着々と「全米が羨む幸せな夫婦」を演じる算段を整えて、物語は終わる。

 なぜエイミーは、ニックとの間に本物の愛がないと知っていながら、幸せな夫婦をロールプレイしたかったのか? 

庵野秀明はジブリの後継者になれない?写真資料は数千枚以上!押井守監督的アニメ写真論

【「月刊サイゾー」立ち読みサイト「サイゾーpremium」より】

――政府も後押しするほど、多彩な表現でさまざまな作品が作られ続けている日本のアニメ。その中で、現実世界に近いくらい写実的なアニメーションというジャンルを切り開いたのは、押井守といえるだろう。この度、実写映画を手がけた押井氏は、写真というメディアをどうとらえ、使ってきたのか? アニメーションと写真の関係性について聞いた。

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押井守氏。

 好きな写真家について尋ねると、押井守はアンリ・カルティエ=ブレッソン(2004年に没したフランスの写真家)の名を挙げた。禁欲的にデザインされた画面の中に、一瞬の時間が切り取られたその絵は、彼が生み出す映画にも通じる。押井氏はアニメーションの世界にレイアウトという概念を持ち込んだ先駆者だ。それまで作画や動画のリズムを優先して生み出されてきたアニメに実写映画のようなレンズを持ち込み、キャラクター主体のアニメから世界観を主体にした新たな表現を獲得した。そんな押井氏と写真との親和性は極めて高い。彼の創作の出発点には、常に写真があるという。

押井 アニメでも実写でも、僕の場合、まず写真集から出発する。資料として購入するのはほとんどが風景の写真集。いろいろな風景写真を眺めながら、その作品における”世界を見つめる目線”をつかむのが映画を作る初期段階での一番重要な作業なんだよ。最初に写真集でおおまかなイメージをつかんでおいて、その後カメラマンを同伴して実際にロケハンに回り、山のようにスチール写真を撮る。『機動警察パトレイバー2 the Movie』(93年)を作ったときにこの方法論を確立して以来、これは変わらない。

――なぜ、そんな方法を?

押井 まず、”現実の風景の中でアニメを作る”ということは決めていた。その意識は『天使のたまご』(85年)や『迷宮物件』(87年)を作っていた頃からすでに芽生えていたけど、明確に意識したのは『機動警察パトレイバー 』(89年)から。ただ、『パト1』を始めた頃はまだ準備不足で予算もなかったので、東京の風景を写した写真集をいっぱい探してきて、それを眺めながら考えるしかなかった。『パト2』では最初からそこに自覚的だったので、ロケハンでスチール写真を膨大に撮った。

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