【女と男の隔たり】元カレが忘れられない女:前編

 このカバンのブランドってなんだっけ。そう思ったとき、女の頬に涙が流れた。古い造りを誤魔化すようにリフォームされた、安いラブホテルの一室。壁はペンキが上塗りされてキレイになっているけれど、床や風呂にはまだ古さが残っている。まるでセックスをするためだけに整えられた部屋。その部屋の中で、女は泣いている。

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