「悪徳整形医の手口が知りたい!」Dr.高須幹弥が、“やりすぎ整形顔”を生む舞台ウラ暴露

【第5回】「高須幹弥センセイ、どうして“やりすぎ整形顔”は生まれるの?」
芸能人でも一般人でも、あきらかに「やりすぎでしょ」っていう“整形顔”の人をたまに見かけるけれど、アレって本人はおかしいって気づかないものなの? お金儲けのために「やりすぎ」とわかっていながら勧めちゃう悪徳医師もいると聞くけど……。美容外科「高須クリニック」名古屋院・院長の高須幹弥先生、美容整形業界のそのあたり、詳しく教えて!

■本人は「喜んでいる」
 美容整形には、主にバランスが悪いものを整える手術と、自己満足のために形を変える手術の2通りがあるのですが、後者の場合は度を越せば不自然になります。小鼻縮小で鼻の穴がコンセントの差込口みたいに細くなっていたり、ヒアルロン酸で唇がオバQのようにパンパンに膨らんでいるのは、あきらかに“やりすぎ”。でも、やりすぎの人は醜形恐怖症で、整形依存になっていることが多いので、本人は仕上がりに喜んでいる場合がほとんどなんです。“キレイになる”よりも“形を変える”ことに幸せを感じているから、必要ない手術でもどんどんやらないと気が済まないんですよ。あとヒアルロン酸を使った整形では、術後の顔に見慣れたことで、まだ十分に効果が出ているのに「元の顔に戻ってしまった」と錯覚して、注入を繰り返す人もいます。どちらにしても自分の顔を客観的に見られなくなっている状態で、美的感覚がマヒしていることが多いです。

 良心的な医師であれば、カウンセリングの段階で止めますが、金儲け主義のクリニックだと患者の言うままに施術してしまうので、本人は気づかないうちにやりすぎの整形顔になってしまうんですね。ただ、そういう人は全体の1割くらいですよ。

 逆によくみかけるのが、鼻に安いヒアルロン酸を注入して、不自然なほど大きく広がってしまっている人。お金をあまり持っていない若い子に多いです。ヒアルロン酸にはいくつか種類があって、本来鼻を高くするときに使うものは硬くて高額なんです。でも、価格を抑えて集客しようとするクリニックなんかは、原価の安い柔らかなヒアルロン酸を使うので、注入した場所で横に広がってしまうんです。中には粒子の荒い豊胸用を鼻に使っているところもあるそうですよ。ヒアルロン酸の種類まで患者さんにはわかりませんからね。

■悪徳医師のぼったくり術でやりすぎ顔に?
 安価な施術を謳っているクリニックでは、カウンセリングで高額な手術に誘導するパターンもあります。僕が聞いた話では、二重瞼の手術を希望したところ「目頭切開も一緒にやらないと二重手術はできない」といわれて、両方の施術を受けたというもの。でも手術が終わってみると、目頭はわからないくらい少し切っただけ。それなのに、施術料は二重手術だけの金額より3倍くらい高くなっていたそうです。ちなみに、目頭切開をしなくても二重瞼の手術はできますからね。

 ほかにも、本当は違うのに、眼瞼下垂と診断されて高い方の手術を勧められたり、「鼻だけを高くすると不自然だから、ゴアテックス(眉間を出す手術)もした方がいい」といわれて、結果外国人のような鼻にされたりした人もいました。言われるがまま施術して、仕上がりに後悔して僕の所へ直しに来る患者さんもたくさんいます。

 あとは、カウンセリングを受けた日に施術すれば、キャンペーン料金や半額になると言われてその場で結論を急かされたり、「美容クラーク」といわれるカウンセリング専門の人が希望以外の部位の手術を言葉巧みに勧めてきたりとかもあるようです。

■優良医師とのカウンセリングが大事
 たとえ周りから見てやりすぎに思えるレベルでも、患者さん自身が希望して満足しているのならいいと思うのですが、希望と違えばそれは失敗です。ちゃんとしたクリニックなら、やりすぎと感じたときにはきちんとお伝えするし、どんな手術でも納得いくまでしっかりカウンセリングをします。決心がつかない場合は持ち帰って考えてもらう時間も作ります。少なくとも、僕のところでは必ずそのようにしています。

 キレイになりたい気持ちにつけ込んでお金を搾り取ろうとしたり、その日のうちに契約させようとするところは要注意。特に気の弱そうな子は、後々文句を言ってくることもないだろうと思われてぼったくられる危険性が高いので、気をつけてくださいね。

高須幹弥(たかす・みきや)
美容外科「高須クリニック」名古屋院・院長。オールマイティーに美容外科治療を担当し、全国から患者が集まる。美容整形について真摯につづられたブログが好評。
・公式ブログ

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