「羽生結弦、婚約」報道は何だったのか…いち女性を人間不信に陥らせた「中絶しました?」取材の厚顔無恥

 今年1月、「女性セブン」(小学館)が、フィギュアスケーターの羽生結弦(21)の恋と結婚について記事を掲載した。「羽生は高校時代の同級生であるA子さん(21)と昨年の春から交際をスタート」し、昨夏には結婚を意識、「厳しいことで有名な羽生の母親も交際を認めている。ふたりは平昌五輪以降に結婚するのではないか」というものであったが、その後、羽生自身が会見を開きこの恋愛・結婚報道について「火のないところに煙は立たないというけど、本当に火もないところ。(A子さんは)高校の同級生なんですけど、その方にも迷惑をかけたし、ファンのみなさんにも本当に申し訳なく思っています」と報道を全面的に否定している。

 同記事ではフィギュア関係者やふたりの知人が匿名で羽生とA子さんの親密さを証言。記者の取材を受けたA子さんはさばさばとした様子で質問に答えてはいるが、やはり、結婚を意識した恋愛ではなく単なる友達ではないのか、と思わせるような内容だった。A子さんは確かに、羽生と東北高等学校の同級生で、メールのやりとりなどはあると認めているが、しかしそれ以上の親密関係を伺わせる決定的な証拠がない。

 この報道に憤っているのが、ほかならぬA子さんの父親だ。2月16日発売の「週刊女性」(主婦と生活社)に掲載されたA子さん父のインタビューによると、件の記事が掲載されたせいで、A子さんはすっかり人間不信に陥ってしまったのだという。

 いわく、「女性セブン」の記者が宮城の実家に帰省中のA子さんを訪問したのは去年の12月30日のこと。A子さんを見るやいなや「羽生さんの子供を妊娠・中絶したんですよね」と切り出したのだという。驚くA子さんに、最後には「つきあってるっていうことにしてもらったら、(雑誌にとって)ありがたいんですよね」と話したのだという。A子さんは交際を否定したにもかかわらず(妊娠・中絶についても否定)、結局その記事は「婚約者」ということで掲載された。記事では写真にモザイクがかかり、本名も隠されていたが、やはり誰でもインターネットで情報を発信できるこの時代、一部ネット上で実名が晒され、彼女の通う大学に「A子さんいますか?」という電話がかかってくる事態に発展。現在A子さんはひとり暮らしの部屋のインターホンが鳴ることさえ怖く宅配便にも出られないため、仲の良い友人に泊まってもらうなど、非常に困った状況らしい。父親は「女性セブン」の編集部に記事の訂正を申し入れたが、「その他にも情報があるんですよ」とまるで脅しとも言えるような文句を浴びせられたと吐露している。それゆえ今回「週刊女性」を通して記事を否定するという方法をとったようだ。

 突然、見ず知らずの人間から「あなた、妊娠中絶しましたね」と無遠慮にも程がある質問を突きつけられ、あげくにネットで実名がさらされたとなると、誰だって通常の精神状態でなくなるだろう。金メダリストと親しいというだけで、プライベートに土足で踏み込まれたうえ、日常生活に支障を来たすような嫌がらせにあったとすれば、A子さんが気の毒でならない。なにより友人として羽生がもっとも心を痛めているだろう。まして羽生は現在シーズン中である。18日からの四大陸選手権には出場しないが、3月末には世界選手権がひらかれる。世界で闘う彼のメンタルに影響を及ぼすようなことはしないでほしい、そうA子さんも明言していたはず。「女性セブン」側が「その他にも(交際の)情報がある」と強気に出るということは、確かに何かしらの“情報”が存在しているのかもしれないが、だとしてもこのように彼らを追い込んで良い理由にはならない。そもそも当事者であるふたりが全面否定している以上、もうこれ以上深追いする必要もないのではないだろうか。

(エリザベス松本)

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