「1日野菜を350g、30品目は必要」と必死に食事づくりに励む、妻の悶々

 山田ノジル氏による元マクロビ自然派主婦へのインタビューを興味深く読んだ。そういえば以前紹介したことがあったが、小町にもこの手の相談がチラホラ寄せられる。昨年にもこんな相談があった。

再婚した夫が言うことを聞いてくれません(涙)

 トピ主(40代前半・女性)は3年前に8歳年下の夫と再婚した。子供はいない。全夫のDVが原因で離婚したのだという。今の夫は全くDVとは無縁の温厚な性格で、トピ主によくしてくれている。しかし「許せないところがあります」というのだ。それは「食事について私の言うことを聞かないことです」。

「私は『1日野菜を350g、30品目は必要』を守り、野菜の生ジュース、玄米、サプリ、健康食品と、健康に気をつけています。最近は栄養学、マクロビ、健康食品会社のセミナーにも参加し、ヨガや呼吸法、瞑想も勉強中です。

そんな私の料理を3年間食べていたのに、最近夫が『自分の体が欲しがるものを食べたい』と言います。『今日は白いご飯に新鮮な焼き魚、豆腐だけの味噌汁が食べたい』とか。私が作る料理は品数が多く、胃が悪い夫は気持ち悪くなるそうです。夫はたくさん具が入ってるおかずは苦手で、サラダならレタスとトマトだけとか、具は2品まで。健康食品やサプリ、玄米も生ジュースも嫌だと言います」

 なるほどなるほど、食の好みが合わないのかもしれない。山岡士郎(美味しんぼ)も新婚当初、栗田さんが作った“本物の豆腐とシャッキリ鳴門わかめの味噌汁”に「俺は、みそ汁の実は1種類だけの方が好きだ。実をいくつも入れると、味がにごる」と文句を垂れたことがあったっけ。

「そして『君は頭で考え過ぎだ。栄養学より、僕は自分の体が本当に食べたがってるものを食べたい。野菜は食べない日があっても一週間でトータルして食べてたら良いじゃないか』などと言うのです。他のことは何も文句は言わないのに。

これでは全然野菜が足らないし30品目にはとても届きません。渋々夫のリクエスト通りにしてますが、不健康で早死にしそうでイライラします。よくインスタで家庭料理の写真を見ると、4~5品は作ってる人が多く、具もいっばい、野菜豊富、栄養満点。ますます焦りを感じます。こんなに健康を考えており、正しいことをしてるのに悲しいです」

 トピ主は最近では夫と再婚したのを後悔しているという。「前の夫はDVでしたが、野菜や健康食品は食べてくれました。DVぐらい我慢して離婚するんじゃなかったです」とすら言い出している。どうしたら夫がトピ主のいう通りにしてくれるのか、という相談だ。

 あぁ~重い! 同居人や家族が「1日野菜を350g、30品目は必要」とか意識して過ごし始めたら恐怖である。具がいっぱいのおかずも、ラタトゥイユなんかだと嬉しいが、疲れた日には焼肉や唐揚げをガッツリ食べたいモードになることもある。夫は、毎日『自分自身に食事づくりの厳格なルールを課している』妻に息苦しさを感じているのかもしれない。

 しかもトピ主、「よくインスタで~」というからには、自己満足の域を超えて他人と張り合う気持ちでやっているのだろう。おまけに「正しいことをしてるのに」ときた。

 コメントは強めの批判が多く、なんだかこれを眺めると釣り臭さも感じてくる。だがこの連載は釣りかどうかを判定するものではない。読み進めよう。

改ページ

「1985年の厚生省の食生活指針で1日30品目とうたわれましたが、2000年の指針では、現代の食生活には見合わない(摂取過多になる)ということで、削除されましたよ?トピ主さん、健康にこだわっている割には時代遅れすぎる」

「食べたいものを食べられず、食べたくないものを押し付けられる…旦那様から見たら食育DVだと感じてるかもしれませんね」

「自分がいつもいつも必ず正しい。と言う考えは捨てなさい。あなたのやっていることは、大豆アレルギーをもっている人に、体にいいのに食べなさい!! と言っていることと全く同じです。グーで殴られることだけがDVと思ってるのですか? 浅はかすぎます、そして頑固、可愛くない女は、実質お払い箱ですよ。家事手伝いで役に立つわ、ってことはあれどもね」

 なんだかコメント欄の怒りがすごすぎて、こっちの怒りがスーッと醒めてくるほどである。小町の価値観というのはなかなか興味深い。妻は夫を上手く転がして義実家とも円満にやるべし、専業主婦であればなおさらである、というような、現代でいうと割と古風な価値観が強い場所なのだが、食事づくりに努力するという「妻としての頑張り」はこんなふうに批判する。

 トピ主レスでは「涙が止まりません」とのことで、前夫のせいでこうなった、と語り始めた。

「こうなったきっかけは、前の夫です。前の夫は小さい頃から偏食で甘やかされ、ジャンクフードなど好き放題食べ、結婚した時はすでに肥満体型でした。
何とか痩せるように食事に気をつけていましたが、結婚して間もなく糖尿になり、夫の母から、
『あなたのせいで病気になった』
と責められ、その頃から
『俺の母親を怒らせた』
とDVを振るわれるようになりました。
私はますます食事管理に気をつけるようになりましたが、ジャンクフード好きは治らず。彼が40になる前から気をつけなきゃと思ったようで、野菜や健康食品を食べるようになりました。でもDVは治らず、結果的に離婚に至りました。
その頃のトラウマがあるのか、『夫を健康にさせないとまたDVを振るわれる』という思考回路になってしまうようで、つい健康に厳しくなってしまうようです。だから今の夫のことを本当に思ってる訳ではないのです。DVの恐怖からなんです。なのに前の夫が良かったなんて、どうにかしてますね。本当に情けないです」

 そんなトピ主に夫は夜、プリンを買ってきてくれて「君が疲れてるみたいだったから、甘いものでも食べたら治るかと思って。僕も手伝うから、あまり無理して家のことやらないで適当に休みなよ」と声をかけてくれたのだという。

「食べたいものを食べたいのは、実は私かもしれません。ずっと健康優先で自分が食べたいものを食べてませんでした。玄米より、白いご飯が食べたい。辛い明太子や焼き肉が食べたい。栄養学のことを考えず、『おいしいね』と夫と笑いながら楽しくごはんが食べたい」

 さらに意を決して、夫にこのトピを見せたのだという。そして「前の夫のDVが後をひき、強迫的に健康食を考えるようになってしまったこと、胃が弱い事をよく考えず強制し、結果的に支配しようとし、思いやりに欠けていたこと。もし私と離婚したいなら正直に話してほしいと、全部打ち明け」た。すると夫は「バカだなあ。こんなことで離婚してたらきりがないよ。お互いの希望を譲りながら折り合いをつければいいじゃない?」と笑いながら言ってくれたそうだ。トピ主はこうした生活を辞める決心がついたらしい。

 しかし、最後にトピ主は、小町住人のコメントにキレ始めた。

「夫はただ、私と楽しくご飯が食べたいそうです。質素でいいからおいしいねと笑いながら。楽しく食べること、私が忘れていたことです。それは皆さんのご意見にも書かれていたことで、おかげで大事なことを思い出させてもらえました。栄養不足よりストレスが一番悪いことも。

ただ、ご意見の中には聞くに耐えがたいものもありました。DVを受けたのもわかるとか、DVを引き起こしたのはあなただとか、人格を全否定するものもありました。まるでDVを振るうのは仕方ない、受ける方にも責任があるのだ、みたいな。そう書いた方々はDV被害者をそんな目で見てらっしゃるのでしょうか。DVはどんな理由があっても許される事ではないのに。

確かについDV夫と離婚しなければ良かったと書いてしまいました。本気でそう思った訳ではなく混乱していたのです。それぐらいDVのトラウマの恐怖に怯えギリギリまで追い詰められていました。救いを求めてこの場に投稿したのですが、人格否定や加害者扱いまでされて心が痛みました。そう書いた方々は匿名掲示板だから好き放題言っても良いと、心無い事を平気で言うのですか? 私が目の前にいても同じ事を言えますか?」

 そして「これ以上心無い意見には耐えられません。私は支配的な部分をはじめ欠陥が多い未熟な人間で、まだまだ修業中です。でも一生懸命に生きている自分がいとおしいし、人格否定されるいわれはありません。これ以上自分の心を傷つけたくないのでトピを閉じさせていただきます」と突然トピが閉じられてしまった。夫に対してだけでなく、小町での対応も、なんだか重い。被害者意識が強すぎて疲れてしまった。

 そもそもトピを立てた際は「夫が言うことを聞かない」と立腹していて「DVぐらい我慢すればよかった」とまで言い、その後唐突に「前の夫のDVのせいで食を気にするようになった」と言い始め、それを夫に伝え理解を得る。しかし小町で強い言葉を浴びせられたことについては立腹し「心無い事を平気で言うのですか?」などとすごむ。でもトピ主の相談も夫に対して心無い感じがしたし「DVぐらい我慢すればよかった」発言こそ、DVで苦しむ人たちを傷つける「心無い」発言なのではないかと感じた。いつも原因を外に求め何かを批判しているような印象を受けたのでこれからまた夫の関係がこじれないよう祈るばかりである。

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