【浅田 舞】「フィギュアで味わった挫折があるからこそ!」暗黒期を乗り越え心の底から笑えた本当の理由

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――安藤美姫や織田信成など、人気選手の登場で国民的スポーツとなったフィギュアスケート。その中でも一際メディアが熱い視線を送った選手といえば、浅田真央だ。そんな彼女を妹に持ち、同じく氷上で競う良きライバルという境遇を経て、現在は天真爛漫なキャラクターで芸能活動に勤しむ浅田舞。彼女が目指すゴールとは?

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(写真/永峰拓也)

 今や“浅田真央の姉”という説明は不要なほど、活躍の場を広げている浅田舞。7歳から始めたフィギュアスケートに一度区切りを付けた09年以降は、その知識を活かしたスポーツ番組への出演をはじめ、タレントとしての芸能活動も積極的に取り組んでいる。最近では、「週刊プレイボーイ」(集英社)の〈グラビアジャパン・アワード2015〉において、もっとも売れたデジタル写真集1位を獲得するなど、その活動は順風満帆だ。「フィギュアで味わった挫折があるからこそ、今のひとつひとつの仕事が楽しい」と語った彼女が選んだ第二の人生について聞いた。

──これまでにたくさんの取材を受けてきたと思いますが、妹・浅田真央さんと比較されることが多かったのでしょうか?

浅田 舞(以下、浅田) 「妹さんとは仲が良いんですか?」と聞かれることは多かったです。高校時代はそういう質問をされるのが本当に嫌で、自分ががんばっているのに、メディアは妹のことしか聞いてこない。たとえ一緒に試合に出ても、「真央ちゃんががんばってるから、お姉ちゃんもがんばらないと」とか、何度も言われてきました。「なぜ私のことではなく、妹のこと?」と思ったときもありましたが、あまりの多さに慣れました(笑)。でも今は、お互いが別の道でがんばっているときだと思っています。高校の頃と比べたら……今は何が起きても大丈夫ですから。それこそ当時は、今より体重が20キロ落ちたり、ある時は食べすぎて今より15キロ以上太ったり……もう、自分が自分じゃないみたいな感じでした。

──それが『しくじり先生』(テレビ朝日)などで話されていた夜遊びやクラブ通い。

浅田 はい、グレていた時代です。ただ、完全にグレることもできない中途半端な感じで、やっぱりフィギュアのこともあったので、大きく逸脱することはなかったです。両親にも心配をかけたし、母親からは「自分に子どもができて母親になったとき、どれだけ親が心配していたかわかる」って言われました(笑)。

──現役を離れて芸能界に入る前は、どのような状況だったのでしょうか?

浅田 フィギュアスケートは、もういいかなという気持ちでした。でも、今後何をしていいのかもわからない。学校で学ぶよりフィギュア優先だったので、世間一般的なことも何も知らない状態でした。現役から離れたのは20代前半だったので、周囲の友人はみんな就職しちゃっていて。

 今から3年くらい前ですかね、ずっと疎遠になっていた2つ年上で介護士をやっている女性と、偶然SNSで再会したんです。当時の私はひきこもりがちだったんですが、その女性はすごくアクティブな方で、いろいろな場所へ連れ出してくれました。そんな時に、東海テレビから「女性だけが走るフルマラソンに出場しないか?」というオファーをいただいたんです。私は絶対に無理だと思っていたんですが、その女性から「舞ちゃんに、もう一度がんばる気持ちを味わってもらいたい」と言われて、一緒に走ることにしました。結果、完走できて、それがきっかけで東海テレビのスポーツキャスターのお仕事をいただけて。さらに地元・名古屋でスポーツ関係の仕事も入るようになり、昨年末からはバラエティやグラビアのオファーもいただきました。

──そういった活動に関して、日本スケート連盟から発言規制などの圧力を受けることはないのでしょうか?

浅田 まったくありません。むしろ、グラビア撮影に関しては、「きれいに撮ってもらえるの?」と心配されたくらいで(笑)、何も知らない私がタレントさんみたいに活動し始めたので、騙されてしまうんじゃないかと心配してくれていたようですね。

──他スポーツになると、仕事によっては協会や連盟から圧力があるとも聞きます。

浅田 シンクロや水泳は厳しいと聞いたことはありますが、日本スケート連盟は自由ですね。連盟のスタッフは、過去のやさぐれていた私を知っているので、笑顔で芸能活動をしている姿を見て、「道が見つかってよかったね」と好意的な見方でした。

──芸能活動について、真央さんに何か言われたりしますか?

浅田 (真央は)テレビを見ないんですよね。朝4時には起床して、遅くとも21時には寝ている生活を送っているので。週に一度は2人でカフェに行って食事をしたり、買い物へ行ったりするんですが、その時に旅番組で行った場所や、テレビでお会いした方の話をしても、「そうなんだあ」と言うだけで、あまり興味がないみたい(笑)。

──現在は芸能活動がメインですが、第二の人生に目標は掲げている?

浅田 初めて経験する仕事ばかりで、目まぐるしく日々が過ぎています。現役から退いたあと、夢もなく焦っていた時期もありましたけど、今はありがたい状況です。なので、無理をして目標を掲げなくてもいいのかなって。実は、芸能界にもそこまで執着していないんです。将来的には、結婚をして子どもを生み、一軒家に住みたいという夢はありますけどね。それと、一度は生活圏から一切のフィギュア関連のものを処分したんですけど、最近は自分の中でフィギュア熱が再燃してるんです。子どもを対象にしたスケート教室を開いたり、アイスショウに出演して、真央と『アナと雪の女王』を踊ったり。あんなにフィギュアから離れたかったのに、人って変われるんだなって。今後も仕事は無理せず、フィギュアとも良い関係を築いていきたいです。

(文/石井紘人)

浅田 舞(あさだ・まい)
1988年、愛知県生まれ。フィギュアスケート選手として数々の功績を残し、09年からはスポーツキャスターやモデル、タレントとして活動。妹は、同じくフィギュアスケート選手で、今年現役続行を表明した浅田真央。http://mai-asada.jp

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