くるり岸田繁も反安保法制発言! 「戦争できる法案は戦争法案」「侵略戦争こそが非であり加担は下衆」…強い言葉の裏にある思いとは

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くるり公式サイトより

【本と雑誌のニュースサイトリテラより】

 学者だけでなく、大学生に高校生、主婦、お年寄りと、数多くの市民から反対の声があがっている安保法制。そうした動きに共振するように、ミュージシャンたちも安保法制に言及。ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文やソウル・フラワー・ユニオンの中川敬、アナログフィッシュの佐々木健太郎、そしてあの長渕剛までもが「NO!」の意思表示を行っている。

 そんななかでも、かなり突っこんだ発言を行っているのが、くるりの岸田繁だ。

 岸田は、強行採決された15日に〈圧政やな〉とTwitterに投稿すると、つづけてこうつぶやいた。

〈長い時間掛けてでも、武器も持ち他所を侵略する側に自分はおらんようになりたいと強く思う〉

 集団的自衛権の行使は、れっきとした他国への侵略だ──。岸田のこの発言には多くの賛同の声が寄せられたが、一方で、〈素手で闘えんやろ。あんたばか?竹やりでたたかうの?〉という武力行使に抵抗のない人や、〈あくまでも日本人の安全に危害が及ぶ時だけ自衛します〉という安倍首相の説明をそのまま額面通り信じる人からの意見も少なくなかった。

 しかし、岸田は反論するように、このように投稿した。

〈侵略戦争こそが非であり、加担は下衆だと胸を張って言おう。ニコ動での首相からのアホアホ例え話聞いて、あれは歴史に残る国民への侮辱だと思いますた〉

 そう。安倍首相は、日本の周辺で武力衝突が起こって「女性や乳児」を乗せたアメリカの輸送艦が攻撃の恐れがあったらどうするんだ、とことあるごとに危機を煽るが、アメリカ政府は"日本人なんか乗せるつもりないよ"とすでに言っている。安倍首相のたとえ話がアホなことはもちろん、想定している事態だってそもそもおかしいのだ。だいたい、武力行使の新3要件なんて、政府の判断でどうとでもなってしまう。権力の勝手なジャッジで他国に出向いて人を殺すことができる、だからこの法案は"戦争法案"と呼ばれているのだ。竹やりでだって人を傷つけたくない。その思いから、岸田は〈侵略戦争こそが非であり、加担は下衆〉と言葉を発したのだろう。

 じつは岸田はこれまでも安保法制についてTwitterで言及してきた。7月6日には〈一応、もしものための危機管理用に、LINEの首相官邸のやつ登録してんねんけど、支持率下がったとたん綺麗ごととか、なでしこの話題とか出してくるのがもうなんかどよーんとしてお前らは商売かって腹立つので外して自分で危機管理することにする。てか、安保法案おかしいし。おやすみ〉と投稿。しかし、このときも反論が寄せられたため、こうダメ押ししている。

〈戦争法案とか言うな言うてる人らもおるみたいやけど、戦争できる法案は戦争法案でしょーが。うっとおしい。寝られへんやんけ。今度こそおやすみ。もう寝ます〉

 戦争ができるようになる法案を戦争法案と呼んで何がおかしい。ネット上では「政治問題にミュージシャン風情が口を出すな」などという声があがることも多々あるが、岸田は迎合せず、けっしてその姿勢を曲げてこなかった。安保法制だけではない。原発問題に関心をもち、地元・京都府の京丹後市で住民へ満足に説明もないまま米軍専用のレーダー基地建設計画が進んでいることにも、〈私たちは反対の立場ですが、問題自体があまりにも知られていないことをなんとかしたいです〉と情報を発信。問題を広める役割を果たした。

 だが、岸田は他方で複雑な思いも抱えているらしい。たとえば、「note」で公開している「岸田日記Ⅱ」の先月6月20日の日記では、こんなふうに心情を吐露している。

〈音楽家が政治的発言するとロクなことないと心の半分以上思っている(そーいうミュージシャンがいることはとてもいいことだと思う)から、個人的にはあまりこーいう場所では最近敢えてしないようにしている。
 それにしても、最近はよろしくないからちょっと政治のお話しする。
 日本の(他はアメリカや東アジア含め俺はよく知らん)国政の、俺ら一般市民がTVや新聞、ネットのニュースなんかで目に見える部分だけ観ていると、かなりおかしなことになっている。愚痴のように飲み会なんかでは政治の話題になったりすることが増えた。そんな話したくないのに〉

 そんな話したくないのに。この思いは、多くの人がいま感じていることだと思う。夏休みだしいろんなところへ遊びに行きたい。友だちや同僚とは他愛もない話をして楽しく飲みたい。でも、「日本はどうなるんだろう」という考えが頭をもたげる。だから、大勢の人たちは自分の時間を割いてデモに足を運ぶ。自分のことで精一杯なのに、人を殺すような国になってほしくないという不安が、政治の話を「したくないのに」させているのだ。

 そんな状況のなかで、"政治の話をするのはロクなことがない"と思っている岸田が、あえて言葉を口にすることには大きな意味がある。間違っていることにははっきり「NO」と拒否する。そういう流れが生成されることが、あるべき民主主義のかたちだからだ。

 岸田は、前述した15日のツイートで、〈日本はもう、アメリカ型の発展はやめた方がいい。向いてへん〉とも述べている。ここで思い出されるのは、くるりの「さよならアメリカ」(アルバム『言葉にならない、笑顔をみせてくれよ』収録)という曲だ。《ろくでなしアメリカの 手のひらで泳ぎ疲れたよ》という歌い出しからはじまるこの歌は、《何もない焼け野原》《俺らの夜明けは まだかな》と、戦後アメリカから独立できていない日本を歌っているようにも思える。

 この楽曲について、岸田は『佐野元春のザ・ソングライターズ』(NHK教育)に出演した際、こう話していた。

「たぶん『たちあがれ日本』の人たちより、立ち上がれ日本、って、ぼく思ってる。ちょっと危険発言なんですけど。へんな政治的な意味じゃなくて」

 立ち上がれ、もうだれも殺したり殺されたりしない国にするために。岸田の思いに、そう呼応する言葉が生まれていくことを信じたい。
(水井多賀子)

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