ネットでSOS発信していた女子大生が過労死……中国でもブラックバイトが横行中!
長時間労働の末に亡くなった女子大生(網易より)
100時間以上の残業を強いて社員を過労死に追い込んだり、アルバイトに理不尽な罰金を科すなど、このところ日本で問題となっている過酷なブラック労働が、お隣中国でも深刻だ。
「観察者網」(2月10日付)によると、河北省で女子大生が過労の末、アルバイト先で大量吐血。命を落とすという事件が発生した。
事件が公になったきっかけは、中国版Twitter「微博」に投稿された、あるツイートだった。
「私の妹が亡くなりました。河北大学の3年生でした。少しでも家計の足しになればと、冬休みに天津市内の会社でアルバイトをしていました。そこでは1日15時間以上の勤務を強いられていました。1月30日午後12時頃、妹は着替えるために作業場から更衣室へ行った後、突然口を押さえてトイレに向かうと吐血し、倒れてしまいました」
このツイートはネット上で拡散され、メディアも次々と報道。天津市の地元公安局が死因について捜査に乗り出す事態へと発展した。
死亡した女子大生が死の直前まで更新していた微博にも、SOSの発信とも取れる悲痛な叫びが記されていた。
《1月15日:今日は15時間ずっと働き続けている。頭痛がする》
《1月24日:春節なのに、私は実家に帰れない……》
最後の更新から6日後、女子大生は亡くなった。司法解剖が行われなかったため、詳しい死因については明らかになっていないが、メディアは長時間労働による極度の疲労とストレスで胃潰瘍を引き起こし、吐血の末、死亡した可能性を指摘している。
広東省地方紙の社会部記者は、中国でブラックバイトが横行している現状について話す。
「労働争議の頻発や労働法の運用厳格化の流れの中、企業には正社員の雇用を控え、雇用契約を結ばないアルバイトに代替させるという動きがある。そんな中、仕送りで田舎の親族を支える貧困層の若者や苦学生などが、過重労働に押しつぶされるケースが増えてきている」
正規労働者の権利を守るための争議や法律が、非正規労働者を蝕んでいるとしたら、皮肉な話である。
(文=青山大樹)