ファンに押された“豚”の烙印…現実を受け入れられずに20代後半になった地下アイドルの悲しい覚悟
【オタクに"なるほど"面白い!オタクニュース・ポータル「おたぽる」より】
――地下アイドルの“深海”で隙間産業を営む姫乃たまが、ちょっと“耳の痛〜い”業界事情をレポートします。ご無沙汰しております! 久々の連載更新です。
楽屋を出ようとした瞬間、「あいつ、もう豚だろ」という男性の声がフロアから聞こえて、彼女の足はすくみました。
「自分のことではない」と考えながらも、心にさざ波が立つのを抑えられませんでした。ライブハウスの壊れかけたドアノブから手を離して、そっと耳をそばだてていると、その男性の話し相手である若手アイドルの、反応に困ったような声が聞こえてきました。
「えっと……私はいまも彼女は可愛いと思いますけど……」
歯切れの悪い返事が続きます。嫌な予感は的中したようです。
彼女はフロアからの声を自分の体で遮るように、楽屋のドアの前で立ち尽くしたまま、ほかのアイドルに聞かれないことを祈りました。この体はまだ、豚と呼ばれるほど崩れていないと、彼女は思います。彼女は、それなりに可愛かったおかげで、美容のために努力をしてきませんでしたが、さすがに“豚”はないだろうと思い、憤然としていました。