プロ野球日本シリーズ “地味カード”なのに……まさかの高視聴率連発で幕

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北海道日本ハムファイターズ公式サイトより

 プロ野球日本シリーズは、北海道日本ハムファイターズが4勝2敗で、広島東洋カープを下し、10年ぶり3度目の日本一に輝いた。

 正直カード的に地味ということで、本拠地の札幌、広島地区は別として、放送するテレビ局側で不安視されていたのが関東地区での視聴率だ。“巨人抜き”の日本シリーズでは、関東地区で数字が取れないのが定説となっているからだ。

 現実として、福岡ソフトバンクホークス対東京ヤクルトスワローズの一戦となった昨年の視聴率は、第1戦=9.3%(ビデオリサーチ調べ、特記なきもの以外は関東地区/以下同)、第2戦=7.3%、第3戦=9.4%、第4戦=12.5%、第5戦=12.3%と低調。

 ソフトバンク対阪神タイガースのカードだった2014年も、第1戦=11.8%、第2戦=10.2%、第3戦=8.3%、第4戦=8.4%、第5戦=10.3%と低視聴率続きだった。

 今年は黒田博樹投手(広島)の引退登板、人気者の大谷翔平投手(日本ハム)の出場効果があったようで、大谷が先発した第1戦(TBS系)は18.5%の高視聴率をマーク。第2戦(フジテレビ系)は13.8%と落としたが、黒田が先発した第3戦(テレビ朝日系)は17.5%まで上げた。その後も、第4戦(TBS系)は15.9%、第5戦(テレビ朝日系)は17.4%と好調をキープ。2勝2敗で日本ハムが日本一に王手をかけ臨んだ第6戦(日本テレビ系)は、黒田の登板も、大谷の出場もなかったにもかかわらず、25.1%まで跳ね上がった。地元の広島地区では、53.8%、53.8%、59.6%、48.6%、44.4%、54.9%。札幌地区では、40.4%、33.2%、37.7%、35.1%、34.8%、50.8%と、共に驚異的な視聴率を記録した。

 日本シリーズの関東地区での視聴率が20%の大台を超えたのは、13年の東北楽天ゴールデンイーグルス対読売ジャイアンツ戦以来、3年ぶり。この年は、翌年1月にMLBのニューヨーク・ヤンキースに移籍した田中将大投手(楽天)が大車輪の活躍を見せ、22.5%、20.3%、16.3%、20.3%、23.6%、28.4%、27.8%と高い視聴率を残していた。

「近年では巨人の公式戦視聴率が2ケタにすら乗らない状況ですが、決して野球人気そのものが下降したわけではないでしょう。野球中継自体が、BS、CS中心になったため、熱心なファンはそちらにスライドしただけです。今回の日本シリーズは引退する黒田のラスト登板や、大谷の出場という見どころがあり、どの試合も接戦となったことが、視聴者の関心を集めたものと思われます。第6戦の25.1%は快挙というしかないですが、『フィギュアグランプリシリーズ2016 カナダ大会』(テレビ朝日系)以外に強力な裏番組がなかった点も功を奏したものと思われます。ただ、今年は特殊な例で、来年以降は例年通り、巨人抜きの日本シリーズは視聴率的には苦戦を強いられることが予想されます」(テレビライター)

 大いに盛り上がった今年の日本シリーズ。中継したテレビ局にとっては、黒田、大谷さまさまといったところだろう。
(文=田中七男)

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