レギュラー9本で限界? マツコ・デラックス「8億の経済効果」にすがるテレビの罪
マツコ・デラックス(42)の体調不良が心配されている。8月18日発売の「女性自身」(光文社)が、『マツコ・デラックス レギュラー9本の多忙さに「もう限界!!」過食も復活の“声なき悲鳴”』なる記事を掲載したのだ。
記事タイトルの通り、 現在9本もレギュラー番組を抱えているマツコ。『月曜から夜更かし』(日本テレビ系)、『マツコの知らない世界』(TBS系)、『マツコ&有吉の怒り新党』(テレビ朝日系)などなど……週5日もお茶の間を独占しているという状況だけでもすごいのに、いずれの番組も高視聴率を記録しているというのだから恐れ入る。日本テレビ系列とテレビ朝日系列が2本ずつに、TBS1本、フジが3本、そして2005年から出演し続けているTOKYO MXでの『5時に夢中!』。さらに雑誌連載も抱えており、文筆業の依頼も絶えない。
テレビ画面を通して見る限り、マツコはブレイク当時と変わらず、歯に衣きせぬ物言いで自由に楽しそうにのびのびと各番組に出演しているように思えるのだが……。筆者は最近のマツコを見て「これだけの番組にメインで出続けていると、自分の全部を出し尽くした感に襲われないのかな? 体力的にもキツイだろうし」と大きなお世話ながら心配になってしまったことがあるのだがこれはただの杞憂では終わらなさそうだ。
「女性自身」の記事によると最近のマツコは「多忙からか精神的にかなりつらそうで、スタッフとの会話も少なくなり、休憩中は無心でお弁当をドカ食いしている」(芸能関係者)そうなのである。一時期20キロのダイエットに成功していたのにもかかわらず、最近は多忙からの過食でリバウンド、オフの日はほとんど外に出ず“ひきこもり状態”になっているとも。テレビ局関係者が「あまりの憔悴ぶりに、周囲も声をかけられない」と証言する。
マツコは以前、『月曜から夜更かし』で「人生を、新宿区、渋谷区、港区、中央区の都内4区だけで生活している」と公言していたほどだから、普段からアクティブにあちらこちら飛び回るということがないタイプではあろうが、引きこもりとなるとまた話は別だろう。なぜならマツコには約2年間も自宅に引きこもった過去があるからである。同誌でも、マツコが20代後半の頃、働きすぎから精神的に追い詰められ会社を辞職、その後実家に引きこもってしまった経緯が記されている。さらに、近頃では古くからの友人や知人とも距離を置いているようだ、と囁かれているそうである。
特番に出ずっぱりなだけならまだしも、自身がメインを務めるレギュラー番組をここまで多く抱えてしまっては、体力的にも、精神的にも、疲弊するのは当然である。しかし以前、『5時に夢中!』で、「最近の若者の多くは、出世したり会社を伸ばしたりして収入を増やすよりも、好きな趣味を楽しんで暮らしたいという考え」だとする記事が紹介された時に、マツコは「死に物狂いの時期が3年、4年5年あるだけで、その後の人生が大きく変わる。どんなにきつくても寝る暇を惜しんで働く時期が3~5年あるのはすごい大事」と説いていた。マツコの仕事観では、「今は無理をしてでも頑張る時期」なのかもしれない。
しかしあまりに過剰なオーバーワークはどう考えても体にも心にも毒である。
今ではマツコが番組内で口にして「おいしい」と発言すれば、その商品は飛ぶように売れ、経済効果は8億円にのぼるとも言われている。一種の社会現象ともなっている昨今のマツコフィーバー。だからといって、マツコ頼みのテレビ編成がこうも多くの局で目立つと、視聴者もうんざりするものだ。近頃はドラマ、バラエティ関わらずに視聴率がふるわず、奇しくもマツコ自身も番組内で「斜陽産業」と呼んだテレビ業界だが、特定のタレント頼みでしか生き残る方法を思いつかないようではあまりに情けなくはないだろうか?
マツコ・デラックスという高い価値を持つタレントに頼りすぎることなく、テレビは自ら再生の方法を模索すべきだろう。マツコ自身も先述のような仕事観から察するに、「頑張りどき」の終わりを決めているはずだ。働き過ぎで体を壊すほど、彼女は馬鹿ではないだろう。
(エリザベス松本)