付き合ってもう長い彼女が“いい女”に思える瞬間。城定監督の『悦楽交差点』『舐める女』が一般上映

<p> ピンク映画の主人公は、ほとんどの場合が名もない市井の人々だ。IT系のやり手社長が人気女子アナと結ばれ、めでたくゴールインするような物語はまず描かれることがない。時代の流れにぽつんと取り残された男と女がひっそりと肌と肌を重ね、しばしお互いの孤独感を埋め合う―そんな内容が圧倒的に多い。武蔵野美術大学を卒業後、助監督を経て、ピンク映画『味見したい人妻たち』(03)で監督デビューを果たした城定秀夫監督は、オリジナルビデオ作品『デコトラ・ギャル奈美』『エロいい話』などのヒットシリーズで知られる映像職人。低予算のビデオ作品やピンク映画を量産し続け、『いっツー The Movie 』(14)劇場公開時にインタビューした際「監督作はだいたい80本くらい」(本人もよく把握してない)とのことだったので、監督作はもう100本前後になるはず。これだけ多作でありながら、城定作品には裏切られることがない。男女間のやるせない心情の機微が鮮やかに描かれ、また人生のままならなさにのたうち回る主人公に温かい視線が注がれている。</p>

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