何度でも蘇る小島よしお、「ひよこクラブ」で先生就任。『キッズコーディネーショントレーナー』になっていた

 一時期爆発的に名が売れるが、その後鳴かず飛ばずな状態に陥り、テレビでめっきり姿を見なくなる――それが一発屋と呼ばれる芸人たちだ。テツandトモ、髭男爵、ムーディ勝山、にしおかすみこ、スギちゃん……売れた時代がすさまじかっただけにその後の引き潮状態がなおさら痛々しく見えるのだろう。

 昨今ではこの一発屋というカテゴリーがネタにされ番組が作られる事も多くなってきたうえ、今年の夏には『第1回 一発屋オールスターズ選抜総選挙 2015』がルミネtheよしもとで開催され、先に挙げた髭男爵が王者の座に輝いた。

 とはいえ、一発屋もその後、ただ辛酸を舐めている訳ではない。たとえば2003年に一世を風靡した一発ギャグ、“ゲッツ”でお馴染みのダンディ坂野(48)は、他に芸がないと自覚しているため、持ちネタは現在も“ゲッツ”のみだが、それゆえイメージがブレないためか、昨年もCM出演を果たしており、息の長い一発屋として一目置かれている。『なんでだろぉ~』で子供たちから爆発的な人気を博したテツandトモも、地道な営業仕事で高収入であることがたびたび報じられる。このように一発屋と称されてもその後も生き抜いている芸人は存在するのだ。テレビ出演がなくなっただけで、地方のテーマパークや結婚イベント等で行う“営業”仕事はコンスタントにあるケースが実は多いのかもしれない。

 そんな“一発屋芸人”にカテゴライズされるひとり、小島よしお(34)が、新たな活動を始めた。11月号の「ひよこクラブ」(ベネッセ)に、『キッズコーディネーショントレーナー』の先生として登場しているのである。

 『小島よしお先生が伝授!! 運動神経がよくなる室内遊び』という特集がそれだ。リードには「運動神経をよくするには、赤ちゃん時代に何をすればいいの?そんな疑問を持つママたちへ、お笑い芸人であり『キッズコーディネーショントレーナー』の資格を持つ小島よしおさんが秘訣をレクチャー!」とある。いつのまにかそんな資格を取得していたのである。さて、どんな資格なのか。

 全米エクササイズ&スポーツトレーニング協会のサイト内説明によれば、「子どもの運動能力を伸ばすスペシャリスト」「ヒトとしての発育発達や幼児・児童の心理を理解することで、子どもたちの運動能力向上に加え、考える力や社会性、コミュニケーション能力の向上も図れるようなコーチングやレッスンプランまで学ぶ事ができます」と、資格内容が紹介されている。16時間かけて10章の講義を受ければ取得できる資格のようで、受講料は63,000円だ(同協会の会員は59,000円)。幼稚園スタッフや保育士が受講することが多いらしい。トレーナーに従ってコーディネーショントレーニングを習った子供は、単なる運動能力向上だけでなくプラスαも見込めるというのだから、これは幼児教育に熱心なお母さんが飛びつきそうである。

 「ひよこクラブ」の記事には、小島が『おっぱっぴー』時代から履きこなしているブーメランパンツ姿の写真が随所に配置され「ママ・パパのかかわり方を教えるぞ~!!」と吹き出しがついていたりする。0~5カ月、6~11カ月、1才~1才6カ月、と、子供の月齢に応じたエクササイズを数多く紹介していてなかなか情報量が多い。たとえば0~5カ月では、うつぶせにした赤ちゃんに対して後ろから名前を呼びキョロキョロさせる……というエクササイズ。6~11カ月ではパパとママがヨガのダウンドッグのようなポーズでトンネルを作り、子供をくぐらせる……など。それぞれ「頭の後ろの筋肉がしっかりしてくる」「トンネルを出たときの達成感と安心感は調整心を刺激」など効果も明記されている。

 一発屋の悪あがきと見る向きもあるだろうが、思えば小島の「おっぱっぴー」は一時期、子供を中心に人気を博していた(というか一発屋芸人と呼ばれる芸人らのギャグは子供にウケることが多い)。ネタを変えないダンディ坂野と同様、ブレないブーメランパンツ姿は安定感すら感じさせる。子供とその親向けのエクササイズ指南は、持ち前の身体能力と、子供に好かれるキャラ特性を活かしたまさに天職と言えるのではないか。しかも小島は早稲田大学教育学部国語国文学科卒業で、小学校の教員を目指していたという(教員採用試験で不合格)。子供たちに何かを教えることは、彼自身の充実感にもつながっているのかもしれない。同じパンツ一丁芸人として、現在は「とにかく明るい安村」が大人気となっているが、安村の場合はたとえブームが去っても、こうした幼児教育分野には手を出さなそうである。そう考えると、小島よしおは結構、多才だ。

(ブログウォッチャー京子)

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