傲慢バカ息子に暴力教師、『真田丸』の怪演も光る高嶋政伸の覚醒
NHKの大河ドラマ『真田丸』が話題だ。舞台は戦国時代。東に北条、南に徳川、北に上杉と強豪に囲まれる中、長野の武将である真田家が孤軍奮闘する。三谷幸喜脚本により、誰もが知る戦国武将たちが、アクの強いキャラクターとして描き出されている。
極めつきなのが、北条氏政役を演じる高嶋政伸(49)だろう。氏政は当時関東一帯をおさめていた後北条氏の四代目当主である。のちに、豊臣秀吉の小田原征伐に破れる。北条家滅亡をまねいた無能の人物として歴史上の評価は低い。
「ドラマにおいても高嶋演ずる北条氏政は、二枚舌と裏切りで真田家をほんろうする悪役として描かれています。悪だくみの際の高笑いや、相手を睨みつける三白眼などはまさに“怪演”というべきものでしょう」(芸能関係者)
役者としての高嶋政伸といえば「姉さん事件です」でおなじみの『HOTEL』 シリーズ(TBS系)の赤川一平役など、生真面目な青年という印象が強い。だが、ここ数年は、違った姿も見せている。11年から放送されている『DOCTORS 最強の名医』シリーズでは(テレビ朝日系)傲慢で幼稚な大病院の“バカ息子”を演じて視聴者に強烈な印象を与え、15年公開の映画『暗室教室』では暴力的な自衛官教師という悪役を演じている。
この間、彼に何があったのかといえば、11年~12年にかけての離婚騒動が思い浮かぶ。ネット上で流出した音声では、酔っ払った高嶋が「死んじまえ」「生きてる価値もねえ」と美元に暴言を吐くさまが記録されている。さわやかな高嶋政伸像とのギャップが話題となった。
「離婚騒動は、本人も“表現者として貴重な経験だった”と述べていますし、役者として吹っ切れるきっかけとなったと言えるでしょう。一時、離婚のストレスにより激太りしていましたが、19キロの減量を果たし、その姿は15年放送の『DOCTORS 3~最強の名医~』(テレビ朝日系)では、フラフープによりダイエットに成功、という設定で生かされています。役作りにかける情熱がうかがえます」(前出・同)
いつまでも高嶋家のお坊ちゃんのイメージが抜けなかった彼も今年で50歳。今後、さらに性格俳優として磨きがかかることは間違いなさそうだ。
(文=平田宏利)