地上最強の幻覚剤を求めてジャングルクルーズ! カルト映画になること必至の難作『彷徨える河』
<p> 口当たりのよいスナック菓子的な映画ばかりに接していると、簡単には咀嚼できない作品かもしれない。異なる時代に実在した2人の探検家の旅行記をベースに、コロンビアの新鋭シーロ・ゲーラ監督が撮った『彷徨える河』は非常にカルト色の強い作品だ。例えるなら、日本屈指のカルト漫画家・諸星大二郎の『マッドメン』の世界観を、フランシス・F・コッポラ監督の『地獄の黙示録』(79)的なドラマツルギーで描いたらこうなったと言うべきか。ジャングルという緑色の闇に魅了された男たちはカヌーに乗って、長い長い河を遡行していく。その旅の途中で、彼らは異なる文明の衝突、歪んだ形で広まる宗教、そして強力な幻覚作用をもたらす伝説の薬草と遭遇することになる。映画館にいながら異界の闇に触れたような、心のざわめきが止まらない。</p>