女優・大島優子はビンボーキャラがよく似合う! 20代後半を迎えた女の半端な生き辛さ『ロマンス』

<p> 大島優子はビンボーな役がよく似合う。ただビンボーくさいだけの女なら誰も振り向かないが、シビアな環境に身を置きながらも懸命に抗う姿に魅力を感じさせる。劇場版『闇金ウシジマくん』(12)ではパチンコ三昧の母親の借金を肩代わりするために出会いカフェに通う健気に歪んだ女の子、『紙の月』(14)ではいかにも明るい現代っ子のふりをしたお金と男にこすからい銀行の窓口係を好演した。AKB48時代にエースの座を競った前田敦子が今年公開された『さよなら歌舞伎町』と『イニシエーション・ラブ』でふわふわと浮ついた、お股のゆるいビッチキャラを演じていたのとは対称的に、生活感のあるキャラクターを得意としている。</p> <p> AKB時代に白石晃士監督の都市伝説をモチーフにしたホラー映画『テケテケ』(09)に主演していた大島優子だが、AKB卒業後初となる映画主演作がタナダユキ監督の『ロマンス』だ。小田急線を走るちょっとリッチな特急列車ロマンスカーのアテンダントとして、制服姿でテキパキと働く。生活感のある大島優子はタナダユキ作品にぴたりとハマる。タナダユキ監督はお金にうるさい女子を生き生きと描く。蒼井優がブレイクした『百万円と苦虫女』(08)はバイト先を転々としながら100万円貯めることに異様な情熱を燃やす女の子のロードムービーだった。『赤い文化住宅の初子』(07)は集合住宅で兄と2人きりで暮らす女子中学生のビンボーサバイバル物語だった。タナダユキ作品のヒロインたちは、お金が喉から手が出るほど欲しいのにお金のことを憎んでいる、そんな相反する感情を抱えて生きてきた。タナダユキ監督にとって『百万円──』以来となるオリジナル作『ロマンス』では、お金の代わりに家族がキーワードとなっている。</p>

コメントは停止中です。

サブコンテンツ

このページの先頭へ