小泉今日子とSMAP中居正広の相似性について

 2月4日、50歳の誕生日を迎えた小泉今日子。これを記念して、雑誌「MEKURU」(ギャンビットパブリッシング)が、小泉今日子総力特集を組んだ。売れ行き好調で、amazonの「本」カテゴリー売れ筋ランキングでは1位を獲得している。

 数年前まで鎌倉に住んでいたが、現在は東京都内のマンションで一人暮らしを送る小泉の自宅でグラビアを撮りおろし、彼女に関係する27名が「わたしの中の小泉今日子」を語りまくっている。リビングだけでなく、書斎や寝室、洗面所でも撮られた素顔の小泉は眉毛がとても薄く、おそらく限りなくすっぴんに近い顔をさらしている。クレジットにスタイリストもヘアメイクも掲載されておらず、インタビューを読むとセルフメイク、セルフスタイリングで撮影に臨んだことが明らかにされている。「家にいる風のナチュラルメイクをするのも気持ち悪い」から、何も化粧をしないで挑んだそうだ。すごい。

 1983年生まれの私が物心ついたとき、小泉今日子はすでに大人で、歌手で女優だった。初めて彼女を知ったのは95年10~12月放送の月9ドラマ『まだ恋は始まらない』(フジテレビ系)で、彼女をものすごく可愛らしい女優だと認識したのは99年放送の主演ドラマ『恋愛結婚の法則』(同)だった。どちらも、主題歌も素晴らしかった。当時高校生だった私は、町の図書館で彼女のCDアルバムを何枚か借りてMDに録音して聴いた。96年~05年にかけて放送されていた、現在と過去のCDランキングを交互に紹介する音楽番組『速報!歌の大辞テン』(日本テレビ系)で耳にして素敵だと思っていた昔の楽曲もそうやって覚えた。03年のアルバム『厚木I.C.』は購入した。名作だった。08年『Nice Middle』リリース時に赤坂ブリッツで行われたTOKYO NO.1 SOUL SETとのライブに行って生キョンキョンを見たことは忘れられない。と、私はこの程度には、小泉今日子ファンである。

 だから今回の『MEKURU』も当然買って読んだわけだが、27名の証言する「小泉今日子」を読むうちに、もうひとり、芸能界の第一線を走り続けるある男性の顔がちらついて、ついには小泉今日子の小さな顔に重なって離れなくなってしまった。SMAPの中居正広(43)である。

 共通点は同じ神奈川県出身のアイドルというだけではもちろんない。新しいアイドルのありかたを切り拓いた。旅行嫌い。酒が強い。愛煙家。ヤンキー気質といわれる。群れない。パーティーに行きたがらない。スーパーアイドルになっても地元の友人や家族との交流を重要視し実行し続ける。たとえば小泉は、20歳から「誕生日は必ずひとりで過ごす」と決めているが、中居も誕生日を盛大に祝われることを好まず、長年続けているラジオでもその過ごし方を明かしたことはない。本木雅弘の証言によれば、小泉は「いつだったかのクリスマス」に、あちこちからパーティーの誘いを受けていたにもかかわらず、「多くの誘いを選びきれなかったのか、派手な場に出ていくのが自分的ではないと思ったのか」、マンションの管理人であるおじさんと2人で飲んでいたのだという。

 本木いわく、『芸能人水泳大会』の収録にあたって、タレントたちはホテルに前乗りし宴会をしていたが、小泉は宴会に加わらず、ダンプ松本と話していたという。「小泉さんは『私はダンプちゃんとお話ししてる~』と宴には加わらなかった。(中略)小泉さんは、芸能ノリで居場所はなさそうなのを察して、翌日リラックスして楽しめるようにと気遣って一緒にいたんですよ、きっと」と本木は話している。

 群れることを嫌いながらも、面倒見はよいという点も共通している。小泉はドラマで共演した能年玲奈にママと慕われるほどプライベートまで含めて親身になり、観月ありさや米倉涼子もかわいがっているという。現在はE-girlsの「教育係」を務める作詞家の小竹正人は、25年以上にわたって小泉と親友で、30代前半に手痛い失恋をし、ひとりきりでいられなくなって小泉の自宅に三カ月も居候していたと明かす。

 一方の中居も、後輩グループKis-My-Ft2の「後ろにいる4人」だった舞祭組をプロデュースし、積極的に推す。また、冠番組を多数持つ中居の後押しでブレイク・再ブレイクを果たしたタレントは数多い。陣内智則や柔道家の篠原信一、最近では20年来の付き合いがあるヒロミが「中居の助言で」復活したと明かしている。一時期の中居は“タレント再生工場”とも呼ばれた。先日、違法薬物を所持し逮捕された清原和博容疑者についても、中居は復活させるべく尽力していた。また、中居といえばこんな話もある。出演番組のADが、ディレクターから理不尽に叱りつけられていたら、そのADに声をかけて少し仲良くしてみる。するとディレクターは次からそのADを「中居さんが目をかけている子だから」といじめなくなる、というのだ。

 プロデュース能力に長けている点でも一致が見られる。小泉はアイドルとしての自分や作品を俯瞰で見ることが出来、自己プロデュース能力が非常に高い女性だと、『MEKURU』の証言者27人誰もが太鼓判を押す。“芸能界のドン”と呼ばれて恐れられるバーニングプロダクション社長の周防郁雄氏は、「プロデューサー的な感覚をもともと持っているし、センスもあるから、自己プロデュースみたいなことができるんだと思う。アイデアマンでもあるしね」「安心して見ていられるタレントなんだよ」と絶賛。『あまちゃん』の脚本を書いた宮藤官九郎は、NHK紅白歌合戦に『あまちゃん』出演者たちが出る場面の打ち合わせで小泉が考えたアイデアを、本番でそのまま使ったといい、「『あまちゃん』を半年間観ていた人が喜ぶのはこの形だ、ということがわかってたんでしょうね」。

 翻って中居。彼はかねがね、「木村(拓哉)がカッコよければSMAPはそれでいい」と考えていることで知られる。5人でいるとき自身は一歩引いたポジションに立ち、木村を最大限に輝かせられるように振舞う。歌割も、「木村が一番カッコよく見えるよう」割り振るのだという。もちろん木村もそれをわかっていて、もっとも魅力的に見えるように立ち振舞うそうである。

 こうしてあげていくとキリがなさそうだが、中居正広も50歳の節目を迎えるころ、このような総力特集が組まれるのではないか。しかし小泉今日子よりももっと秘密主義で、その奥行きを探りにくい中居正広であるから、受けることはないかもしれないが……。
(ヒポポ照子)

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