悪質な客からアルバイト店員を守れ! 店主が斬新なアイデアで対抗「目には目を……」

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「人様の大切な子ども」というメッセージ入りの制服

 韓国の飲食店では最近、アルバイト店員を守るための、さまざまな工夫が見受けられる。

 例えば、「人様の大切な子ども」というメッセージが背中に書かれたアルバイトの制服が、はやっているというのだ。これは、「あなたの子どもが大切であるように、私も私の両親にとって大切な子どもですよ」と、客にアピールするためのものだ。

 また、ソウルのとあるカフェには「タメ口で注文すると、タメ口で対応します」という注意書きが登場。例えば、客がタメ口で「コーヒーひとつ」と注文すれば、アルバイトも客と同じくタメ口で「3,000ウォン(約270円)」などと対応するそうだ。ほかにも客に対し「アイスかホットか、きちんと伝えること」「店員からの挨拶に応じること」「タバコの火を消すこと」など、注文時のマナーが細かく案内されている。

 日本人の感覚からすると、韓国の接客サービスのレベルは低い。しかし、それを上回るのが、客のマナーの悪さだ。

 今年1月に韓国のアルバイト求人サイト「アルバモン」が発表した調査によると、アルバイト経験者が選ぶ“最悪の客”第1位は、「店内にゴミを放置して去っていく客」。第2位は「レジで、お金やクレジットカードをポイッと投げつける客」、第3位は「絶え間なくせかす客」だった。

 ほかにも、アルバイトに向かって「スピードが遅い」「早くしろ!」と怒鳴ったりする客なども多いようだ。

 前出の「人様の大切な子ども」制服を導入した飲食店の店長は、「いい年した客が、20代のバイトを奴隷のように扱うのを見て、胸が痛かった」と、その経緯を話している。

 実際に、とあるデパートでは昨年、男性アルバイトによる駐車案内が気に入らなかった母娘が、彼にビンタを食らわせ、2時間近くひざまずかせた事件があった。また今年7月には、無理な要求でアルバイトを困らせた50代の女性が、挙げ句、花瓶を投げつけたことも。

 こうしたストレスを日常的に受けるためか、若者の間では「最低賃金=最低労働」という認識も広がっている。アルバイトで最低賃金をしかもらえない以上、最低限の労働力・サービスを提供すればそれでいい、ということだ。ちなみに、韓国の最低賃金は自給6,030ウォン(約540円)。2017年には、なんとか7.3%上乗せされた6,470ウォン(約580円)になる予定だ。

「客は王様」「客はいつも正しい」という認識から、「店員も客もお互い尊重し合おう」という雰囲気に変わりつつある韓国。そうなれば、サービスの質も向上するだろうか?

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