日本のテレビと決別した窪塚洋介がハリウッド映画界で引っ張りだこになっている

 1月17日に映画『沈黙-サイレンス-』のジャパンプレミアが都内で行われ、監督のマーティン・スコセッシや共演者と共に登壇した俳優の窪塚洋介が、圧巻のスピーチを披露した。

 窪塚は念願だったスコセッシ作品に出演できた感激を表し、ジャパンプレミア当日を「役者人生の最良の日」と表現。さらに周囲に向けて、スコセッシが同作の制作のために長年にわたり何度も日本に足を運んだことや、原作者の遠藤周作を含め多くの日本人に敬意を払っていることを熱弁。さらに窪塚に対するスコセッシの態度についても「どこの馬の骨とも知れない俺に、毎日どれほど敬意を払ってくれたか」と力強く感謝を述べた。撮影中は厳しい環境で演技をしなければならないことも多かったようだが、それを窪塚は「幸せな時間だった」と語っている。

 この窪塚のスピーチにはスコセッシも感謝の言葉を述べたそうで、ネット上でも「やっぱり窪塚兄さん熱い男だわ」「どこまでカッコいいんだよこの人は!」「窪塚のスピーチに映画見る前から感動」「一言一言が胸に響く! すげぇわこの人」と絶賛の声が続出している。中には「テレビに出ないのがもったいない」とい残念がる声もあるが、窪塚は確かにテレビ出演をしないと明言している。

 テレビドラマは2003年放送の『池袋ウエストゲートパーク スペシャル話「スープ」』(TBS系)を最後に出演しておらず、テレビ自体2004年の『告白、窪塚洋介〜そして旅は続く〜』(同)以降、一切登場しない。そのことについて、映画『沈黙-サイレンス-』公開に先駆けたシネマトゥデイのインタビューで窪塚はテレビ自体への不信感を募らせた時期に「ある現場でよりその不信感が強くなる出来事があって、俺の居場所はここじゃないなって思ったんです」「20代前半のどこかのタイミングで、もういいかなって思ったんです。今後もやるつもりはないですね」と明かしている。また、プロインタビュアーの吉田豪が1月5日放送のラジオ番組『たまむすび』(TBSラジオ)に出演し、窪塚洋介にインタビューした際の裏話を語ったのだが、それはより具体的だった。

 いわく、あるドラマの有名ディレクターが撮影中にモニターをろくに見ず、競馬新聞を読んでいた現場を見ていたのがきっかけだという。助監督に「OKですか?」と聞かれ、ろくに把握していないものにOKを出すという姿にショックを受け、そこにいたらダメになると感じてテレビから遠ざかったようだ。窪塚の演技力はテレビドラマの世界でも評価が高くファンは多かったが、ずるずる栄光にしがみつかず、キッパリと決別。もちろん2004年といえば、自宅マンションの9階から飛び降りるという大事件の年でもあった。これによりテレビ側も彼と距離を置いた、という側面はあっただろう。奇跡的な回復を遂げた後、環境イベント「アースデイ東京」で大麻は有益だと訴え、ワイドショーで取り上げられたことも、問題視された。

 そんなタブーとも思える話題について、窪塚は自らジョークにしていたと吉田は語っている。例えば、ハリウッドに進出してもニューヨークに移住などをしない窪塚に「浮かれないタイプ」かと吉田が質問した際には、窪塚が「以前浮かれてて高いところから落っこちたから」と鋭い落下ギャグを披露したとか。

 さらに窪塚は自身が忘れっぽいことを語ったのちに、「べつにクスリをやってるとかじゃないです」とドラッグジョークを飛ばしたという。こういったギャグを自分から入れてくるおおらかさを吉田は「シャレっ気が凄い」「とにかく超カッコいい」「(インタビューが)終わった後に『かっけー!』って言いたくなる」と褒めた。大勢の芸能人、そして奇人変人をインタビューしてきた吉田豪にここまで感激させるのは、やはり窪塚の魅力がなせるわざだろう。

 テレビから離れレゲエ歌手卍-LINEとしてのライブ活動を中心に据えている窪塚だが、『沈黙-サイレンス-』での好演が主要スタッフたちから認められ、すでにハリウッド作品第二弾スローン・ウーレン監督『Rita Hayworth with a Hand Grenade(仮訳邦題:リタ・ヘイワースと手榴弾)』の出演も決定。さらに第三弾としてハリウッド作品での主演も決定しているという。本格的に海外での役者人生がリスタートしそうだ。

(ボンゾ)

コメントは停止中です。

サブコンテンツ

このページの先頭へ