正統派美少女にして異端児・戸田真琴 女優業だけでなく、文筆家・映画監督と活躍の場はどんどん広がっている。いったい誰のことか。それはAV女優の戸田真琴だ。 デビューは2016年6月。当時SODが新レーベルとして力を入れた「青春時代」からリリースされた『「私、Hがしてみたいんです」 戸田真琴 19歳 処女 SOD専属AVデビュー』だった。 当初は所属事務所(当時)の女優陣によるアイドルグループである原宿☆バンビーナにも所属していたりと、ビジュアルはもちろんことイメージはアイドルそのもの。だが、そのころからセクシー女優としても他と一線を画していた。 なにしろ、彼女の処女喪失はデビュー作だったのだ。 演出上の設定ではなくリアルにそうだったのである。当初はユーザーも設定のひとつとして受け止めていた面もあったが、次第にそれが真実であることを確信する人が増え、一気に注目度が上がった。 ファン層の広がりと共に活躍の場も広がっていった。 2017年には東京スポーツ主催の「あの娘で抜きたい裏通りWebグランプリ2016」で新人賞と作品賞をダブル受賞。同年には講談社「ミスiD2018」も受賞している。さらに翌年には「DMMアダルトアワード2018話題賞」、「第30回ピンク映画大賞新人女優賞」、「スカパー!アダルト放送大賞2019女優賞」など栄冠は数知れない。 彼女に注がれる熱い視線が温度を増すと共に同時に誰もが思ったことがある。それは、彼女はなぜAVで処女喪失という衝撃的なデビューを選択したのだろうか――という素朴ながらも直接聞くにはためらいそうな疑問だ。 そんなファン心理を察してか、彼女の思考は彼女自身の手によって表現されることとなった。 2019年12月に竹書房から刊行された『あなたの孤独は美しい』。 2020年にKADOKAWAから刊行された 『人を心から愛したことがないのだと気づいてしまっても』。 この2冊の著作によって、彼女がいかにしてセクシー女優の道を選び、なにを目指そうとしているかは明らかになった。 正直、本サイトを運営するサイゾーもそうだがセクシー女優の著書を刊行する出版社は多い。しかし、出版元が大手の一角となるKADOKAWAとなると、ちょっと格が違う。それだけ商品としても売れるし、売れる本を書くだけの文才の持ち主であることがわかる。 なにより、彼女の才能が本物だと感じるのは、売り出し中の文化人にありがちな前のめりな雰囲気が微塵もないことだ。 エッセイを公開しているnoteの彼女のページを(https://note.com/toda_makoto)見てみると自己紹介は、 性的好奇心を刺激する目的の映像作品に出演する傍ら、文章を書いています と簡潔な文章にまとめられている。いちいち受賞歴を誇ったり、出演作などの業績を羅列したりはしない。なによりメディアで紹介される時でも文章に拘わる部分は「文筆家」と表現されている。これはけっこう重要なポイントだ。 なにしろ、文化人思考の人というのは、数冊本を出しただけでも肩書きを「作家」なんかにして、自分を高く売ろうとしがちである。だがあえて一歩引いた「文筆家」という肩書きを用いているところに、自然体でまだまだ先を目指そうとする情熱が垣間見える。 彼女はナチュラルに自分の興味のある分野に挑戦をしている――。というシンプルな考えの持ち主なのかもしれない。作りものではないリアルで生々しいところこそ彼女の魅力に思える。 このことは出演するAVにも共通している。AVである以上、見せるセックスであるから自然のままではない。だが、彼女のセックスには流れ通りに台本をこなすだけではない独特の要素があり、それがエキセントリックな興奮を誘う。 また、興味の趣くままに活躍の場を広げているためか、映像制作にも携わっていることも興味深い。 2019年に「監督処女 戸田真琴実験映画集プロジェクト」として予算200万円を募った際にはわずか2時間で目標を達成。最終的には600万円の資金を得て作られた初監督作『永遠が通り過ぎていく』は、MOOSIC LAB 2019特別招待作品として劇場公開された。 公開されたのも都内では「ユジク阿佐ヶ谷」や「アップリンク吉祥寺」などの先鋭的な作品を上映することで知られる劇場ばかりだった。 この鮮烈な監督デビューは戸田が単にセクシー女優の手慰みとして様々なジャンルに手を出しているわけではないことを世間に広く知らしめることになったといえるだろう。 そして、2021年。この激動の時代の中で、 変わらずAVにも出演し、文章も書く戸田の活躍は止まらない。 今年4月には少女写真家の飯田エリカと共に新プロジェクト『I’m a Lover, not a Fighter.』を始動させている。これは、「男性の目線を意識して作られる『グラビア写真』」のあり方を再定義すること、「誰にも見つけられないあなたを愛する」をテーマにnoteとInstagramを中心に写真作品を掲載するという試み。 単に写真を公開するだけではなく、すべての写真はフィルムを用いて決められた枚数で1枚1枚大事にする。写真はセレクトせずにすべて公開。この大胆さには恐れ入る。まさにこれまでのグラビアや写真集の定義からすると驚きの仕掛けだ。 思いもよらないことを涼しい顔でやってのける戸田真琴。ビジュアル的には「可愛い女の子」という表現が似合うが、その内には可愛いというより「熱い何か」がたぎっている。正統派美少女にして異端児、そして情熱的なパイオニアでもある彼女。無垢なままAVデビューした戸田真琴は、そのデビュー時から卒業と新たな世界への挑戦を繰り返しているのかもしれない。 ※戸田真琴さんの撮り下ろし生写真入り特製BOX『箱入り娘』が、28日(金)21時よりオークションハウス【Girl in the Box】で販売開始! 詳しくは ↓ の記事でご確認ください。
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