澁谷果歩【処女膜再生プロジェクト/day‐11】ノーセックスの2020年を振り返る

澁谷果歩の処女膜再生プロジェクト/day‐11  ご無沙汰しております。コロナ禍で生活が大きく変化したせいで、2020年はあっという間に過ぎちゃいましたね。私も「処女膜再生プロジェクト」と謳ってみたものの、不要不急で外出や人と会わないのが当然になってしまったから、異性と知り合って恋愛するなんて無くて当然。エッチをしないという行動に対する意外性が減ってしまい、筆も遅くなりました…と言い訳させてください。そしてサイゾーさんから書籍を出版したのでそちらでも忙しく…と宣伝させてください! <澁谷果歩ちゃんの新著はコチラ> AVについて女子が知っておくべきすべてのこと    ただ、コラムテーマを考えていた当初は美容クリニックに訪れて女性器を若返らせるプチ整形(レーザー照射やヒアルロン酸注入で外陰部をふっくらさせたり、ナカをきつくしたり)など体験型レポートもやりたいと意気込んでいたため、今後はリモートでも情報を提供できる「エロ漫画レビュー」やら「精力クッキング」などを新企画としてやっていけたらなと思っています。いかがでしょうか?  その前に「1年間セックスから離れてみる」という現コラムを振り返ってみると、これが性的に鬱憤が溜まってストレスを感じるどころか、驚くほど心が楽になりました。つきものが落ちたようです。  そもそも「AV女優になってからプライベートで言い寄ってくる男性は全てマグロ」というフラストレーションが高まって、またAV業界でプレイに対する好奇心が満たされて「もう色々と経験したから十分だわ〜」となったのが理由ですが、「次のエッチは、ちゃんと恋に落ちて好きな人としたいな…」と願ってはいても、「誰かいないかしら? 早く出会いたい!」と焦る気持ちは1ミリもありません。2年目もドンと来い!  この余裕はひとえに、もうAV業界で働いていないし、自粛生活で遊びの誘いを断り続けていて、周りに「彼氏いるの?」「最近どうなの?」とカジュアルに恋愛事情を聞かれる機会が消えたからです。現役女優の頃は、むしろそんなトークが誰とでも適度に盛り上がれる鉄板でしたし、一般的にも趣味や仕事が被らない相手とは基本そういうものだと思います。  AVの出演者は、雑談中に業務的な話はしません。スタッフさんも必ずしも内情に詳しい人ばかりじゃないので滅多に仕事の話題は振りません。もし私が「実は辞めたいと思ってるんです…」なんて深刻な相談をした日には、事務所との板挟みになって非常に面倒な思いをするでしょうから、彼らの立場からすれば聞きたくもないはず。  以前、「澁谷さんって、メイクさん指名しないんですね。ベテランになるほど多いですよ、『仲良くて何でも話せる』って女の子が安心するみたい」と言われたことがありますが、特にヘアメイクさんはプライベートなトークもできる話し相手として頼られている部分があります。  確かに、私は朝が弱くてメイク中は少しでも休憩しようと無言が多かったのですが、これはこれで不機嫌に見えるらしく、気を使って話題を振ろうとしてくれるスタッフさんばかり。他の女優さんと共演する機会があると、「めっちゃ盛り上がって喋ってるな〜」と驚くことばかりでした。カメラの前じゃないのにそんなエネルギー使えるなんて素直に凄いと感心していたけれど、これはむしろ女優にとって大事なリラックスタイムだったんです。  カメラの前やSNSでは「エッチなお姉さん」としてプロフェッショナルに振る舞うセクシー女優からすれば、恋愛トークは唯―「普通の女の子」でいられる時間。ただ、私はそんな時にも「せっかく聞いてもらったんだから面白い話をしなきゃ」なんて思ってしまいがちで、皆に聞いてもらう“ネタ探し”のために異性と出会わないと…、とプレッシャーになっていました。  そのせいで、当時は柄にもなく夜遊びに積極的だったんでしょうね。お酒飲めない上に朝方まで外にいるとすぐ疲れてしまい、かなり無理したしっぺ返しが今の引きこもり生活に繋がっているのかも…。  今はそんな個人的なことを不躾に聞いてくる人もいないし、打ち合わせや撮影以外で人と会わないので、趣味に没頭できる毎日が幸せです。誰かと会って飲んだり出掛けたりは、ビジネス付き合いを良くしたいというしたたかな意図で行くことはあっても、私にとって独りの時間を削ってまでしたいことじゃありませんでした。  そういえば以前、母が料理教室に通うと言った時に私も習いたくて一緒に申し込んでもらったのですが、いざ二人で出席すると「親子でなんて仲良しね。素敵」と羨ましがってくれるマダム達がいる一方、「娘さんお若いけど、ご結婚はまだ? お母さんは早くして欲しいわよね」と“THE・余計なこと”言ってくる人が多くて辟易してしまい、1年分のレシピを集めてから辞めました。  40代以上の生活が豊かな主婦層をターゲットにした雑誌にレシピ特集を載せるような先生の授業だったこともあり、私以外は全員が既婚でリッチそうなママばかりの状況で、「いや私は結婚に興味持てなくて、ひおりで生き抜くのが理想です」なんて空気読めない発言はできないし、かといって自分とは違う価値観を他人に押し付けられたままなのも煩わしい。  料理だけ学びたかった…と残念だけれど、学生生活だって勉強だけしたくてもできないもの。どこかのコミュニティに属す限り、自分を抑えなきゃいけないことって必ず直面しますよね。人といると笑顔も増えるけど、その中に苦笑いを含んじゃうこともある。  アダルトビデオの世界を楽しく潜入取材して書籍も完成しましたが、しばらくはまだまだ独りの日々を堪能したいです。2020年はノーセックスで最後まで突っ走るぞ! これからも我が道をゆく私の人生コラムを楽しんでもらえるよう頑張ります。 (文=澁谷果歩) 【澁谷果歩】 東京都出身。 青山学院大学卒業後、スポーツ新聞社を経て2014年にアリスJAPANの専属女優としてデビュー。AV引退後はイベント出演や執筆活動に精を出している。最新デジタル写真集『REBORN KAHO SHIBUYA』発売中! 新著『AVについて女子が知っておくべきすべてのこと』はAV業界でも話題。公式Twitter⇒@Shibukaho

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