狂気の時代へ逆戻り!? ドロボー女が“人民裁判スタイル”で晒し刑に
公衆の面前で晒し者にされている女性の窃盗容疑者
文化大革命期、数多くの政治家や知識人を抹殺した「人民裁判」が、まさかの復活だ。今月15日、中国四川省南充市で、まさに人民裁判が行われたと、現地のメディアが伝えている。
それによると、40歳の女が団地の地下駐車場から電動バイクを盗み出そうとしたところを警備員に見つかり、警察に通報された。すぐに警察官が現場に駆けつけ、女を逮捕して連れ去ったのだが、その際、女の首には「私は泥棒です」と書かれた札がかけられていたという。
いったい誰がこの札を女にかけたのかはわかっていないが、写真を見ると、警察官が女を連行するときも札がかけられたままになっている。
あまりの屈辱からか、地面に倒れ込んで苦悶の表情を浮かべる
これについて、中国法曹界の専門家は「裁判せずに人を裁くことは決して許されることではなく、当事者が抗弁する権利を奪っている。人権および司法への冒涜だ」と話している。
一方で、ネット民からは「さすがに、やりすぎだ」という声が上がっているものの、今回の行為への称賛も意外に多いようだ。
「この程度の犯罪じゃ、刑罰はたいしたことないだろ?」
「こういう泥棒が裁判を受けて有罪になっても、しばらくしたらまた戻ってきて盗むだけ。晒し者にすれば二度とやらない」
「泥棒なんて、物を盗んだ時点で、人権なんか放棄している」
「法曹界の専門家は、世の中のこと何もわかってないからな」
文革期の人民裁判でも、有罪とされた人たちに「反革命分子」などと書かれた札を首にかけて晒し者にし、精神的苦痛を与えるという懲罰が頻繁に行われていた。そんな行為がいまだに行われているところを見ると、中国人の法意識というものは、当時と何も変わっていないのかもしれない。
(文=佐久間賢三)