祖母が孫に犯行を強要? 中国で子どもを利用したスリが流行中

監視カメラの様子

 中国で、スリの被害が頻発している。在中日本大使館も、邦人に対する注意喚起を行っているが、敵もさる者。現地在住歴の長い外国人や中国人ですら、思わぬ隙に財布やスマートフォンなどをすられてしまうことがある。

 そんな中、ネット上に、スリの瞬間を捉えた映像が流出した。なんとそこには、老女とその孫と思われる男児の連携プレーによって、巧みに他人のスマホを盗む瞬間が映されていたのだ。

「南方網」(3月10日付)によると、これは四川省綿竹市内の商業施設にあるゲームセンターに設置された監視カメラが捉えた映像だという。

 バスケットボールのシューティングゲームで遊んでいる少年の背後に、手をつないで近づく老女と男児。老女は周りの状況をうかがうような不審な仕草を見せている。その後、バスケットゲームに夢中になっている少年の死角に入ると、少年の足元に置かれたスマホを指さし、男児の背中を押す。

 そして次の瞬間、男児はスマホを拾い上げると、老女とともに人混みに消えていったのだった。依然、少年はバスケットゲームに夢中で、被害に気がつく様子もない。

 怪しまれにくい幼い子どもをスリの実行犯として利用する事件は、ほかにも起きている。昨年12月には「青年網」が、スリ集団が実行犯役の子どもたちを雇い入れていたと報じた。

 湖南省永州市で、子どもを含む3~4人グループでショッピングセンターを訪れ、家族を装いスリを働いていた集団が検挙された。永州市内のシッピングモールでは、この組織に属する7歳の女児が、買い物客の荷物からスマホを盗み出す映像が記録されていた。  

 警察の調べに対し、女児の両親は、「娘は一人っ子政策中に生まれてしまった2人目の子どもで、戸籍登録するわけにいかなかった。学校にも通わせられず、スリの技術を教え込み、組織に貸し出せば儲かると思った。1日120元(約1,900円)、1年5万元(約80万円)で貸し出していた」と供述している。

 犯罪を強要された子どもたちを責めるわけにはいかないが、彼らの行く末が気がかりである。
(文=青山大樹)

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