綾野剛×白石和彌の実録犯罪エンターテイメント!!『日本で一番悪い奴ら』とはいったい誰なのか?

<p> 拳銃の密輸、覚醒剤の売買、暴力団との裏取引き、情婦とのキメセク……。綾野剛主演の実録映画『日本で一番悪い奴ら』の主人公は様々な犯罪に手を染める。これだけ聞くと、この映画の主人公は裏社会の人間だと思うだろう。だが、彼はれっきとしたした公務員だった。北海道警の刑事であり、上司の命令に従って銃を裏社会から入手した上で、自分たちの手でその銃を度々押収。さらにその銃を購入する資金を稼ぐために、覚醒剤を横流しした。警察による組織ぐるみの犯罪行為を真っ正面から描いた本作は、今年最も注目すべき問題作である。</p> <p> 本作の主人公である悪徳刑事・諸星のモデルとなっているのは、2002年に発覚した“稲葉事件”の稲葉圭昭。北海道警の現役警部が覚醒剤所持と銃刀法違反で逮捕されたこの事件は、日本中の警察組織を震撼させた。警察内部の組織的腐敗はインディペンデント映画『ポチの告白』(05)でも糾弾されたが、綾野剛を主演に起用した本作は9年間の刑期中に稲葉が執筆した『恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白』(講談社)を原作にし、実在の警察官たちが捜査実績を残すために事件の捏造、やらせ逮捕、泳がせ捜査などの違法行為まみれになっていく過程を克明に描いている。茨城上申書殺人事件を題材にした『凶悪』(13)で一躍名を挙げた白石和彌監督の演出も冴え、『凶悪』以上に振り切った実録犯罪エンターテイメントに仕上がっている。</p>

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