自分で作れるB級グルメ! 気が短い今治人のソウルフード「今治焼豚玉子飯」

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自分で作れるB級グルメ!

 100円ショップで売っている商品から3品を厳選し、それだけを材料とした料理に挑戦してみようという企画の第15回。

 もはや一時的なブームを通り越して、日本におけるひとつの年中行事みたいな存在にまで成長した、B級グルメの祭典「B-1グランプリ」。第9回となる2014年は福島県郡山で行われ、十和田バラ焼きが優勝をしたそうだ。

 もともと町おこしの意味合いが強いB級グルメは、現地に足を運んで食べてこそのものだと思うのだが、最近は協賛企業が作った公式商品とやらが、スーパーやコンビニにも多数並んでいる。なんだその利権ビジネスは。そういうのがありなら、非公式として自宅で作るのも当然ありだろうということで、ひとつ作ってみることにした。

 このコーナーでは100円ショップで買える3品を使って作るという制約があるので、どれもなかなか再現することは難しそうだが、3位に輝いた今治焼豚玉子飯なら作れそうだ。

 その名前通り、材料は卵、ご飯、焼き豚だけである。さっそく卵が売っている100円ショップの100円ローソンで材料を買うと、レジで「ご飯は温めますか?」と確認された。卵と一緒に買ったから、卵かけご飯にしてすぐ食べると思われたのだろうか。

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今度、コンビニの前で卵かけご飯を食べてやろうかな
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焼き豚も一応100円で売っていた。焼き豚というか、プレスハムの焼き豚味

 今治焼豚玉子飯というのを、残念ながら一度も食べたことがないので、どんな味なのかがちょっとわからなかったのだが、今治焼豚玉子飯世界普及委員会のサイトに「家でも簡単!プロの味の作り方講座」(http://i-ytm.com/contents/tukurikata/)というのが掲載されていたので、こちらを参考にさせていただこう。

 まずは、味の決め手となるタレ作りから。今治焼豚玉子飯というのはどうやら甘辛い系の味らしいので、しょう油、みりん、酒に砂糖を気持ち多めに加え、そこにニンニクとショウガをたっぷり捻り入れて、軽く煮詰める。もうこの香りだけでご飯食べられそうだ。

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作るのが面倒なら、焼き鳥のタレなどでもいいそうですよ

 さて、メインの具である焼き豚だが、手作りの厚みがあるものならそのままで十分だろうが、5切れ入って100円の焼き豚ではさすがに味が弱そうなので、作ったタレと軽く煮て味を染み込ませることにした。

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これで少しは焼き豚っぽくなったかな

 続いては、黄身が半熟状態の目玉焼きを作るのだが、ちょうどいい小型のフライパンを何も考えずにタレ作りで使ってしまったため、皿にタレとチャーシューをよけておいて、わざわざ洗うのも面倒なので、そのまま油を多めに入れて卵を落としてみた。

 きっとフライパンにちょっと残ったタレやニンニクが、目玉焼きに香ばしさをプラスしてくれることだろう。油を多めにして、蓋をしないで焼くのがコツらしい。

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目玉焼きを作っている写真は撮り忘れました

 レトルトご飯はレンジでチンして丼へ。

 なかなかカロリーの高そうなメニューだったので、自分に対するせめてものいたわりとして、ご飯は麦ごはんをセレクトしてある。

 最近、気が付くと痛風や糖尿について検索している自分がいるからだ。

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大麦35パーセントだから、きっとヘルシー!

 よそった丼麦飯に、全部の焼き豚とたっぷりのタレを乗せる。

 どうしても焼き豚のハムっぽさは否めないが、これだけでも十分うまそうである。焼き豚じゃなくて、ハムカツで作っても面白いかもね。

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これでもううまそうだ

 もうすでにチャーシュー丼として立派に完成しているのだが、ここに目玉焼きを乗せてこその今治焼豚玉子飯。そして、さらに上からタレを掛ける。

 これが、B-1グランプリで第3位に輝いた今治焼豚玉子飯か。半熟に仕上げた目玉焼きの黄身がとろけて、甘辛いタレの染みた焼き豚に絡み、さぞかしご飯をうまく食べさせてくれることだろう。

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自宅で孤独のグルメごっこ

 ドカッとたっぷり口に運んで食べてみると、まさに想像通りの味なのだが、それがいいのだ。

 想像通りというか、期待通り。野菜ゼロの丼だけが醸し出せる背徳の旨味がここにはある。

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見た目通り、うまーい!

 素晴らしい。でも半分ほど食べてから、塩とこしょうを振るのを忘れていたことに気が付いた。塩分は足りているような気がしたのでこしょうだけたっぷりかけてみると、さらに味が引き締まって完成度アップ。1平方センチあたりに5粒の粒こしょうがベストだろう。牛丼には紅ショウガ、カレーには福神漬け、そして今治焼豚玉子飯にはこしょうが必須のようだ。

 それにしてもご飯と焼き豚と目玉焼きという組み合わせ、このどの辺が今治なのだろうか? B級グルメというよりは、中華料理屋のまかないみたいな料理である。気になったのでその歴史を調べてみたら、今治市内にあった中華料理店のまかない料理として生まれたものらしい。そのままだ。そして料理が早く提供されないと怒り出すという、気が短い今治人の気質に合ったソウルフードらしい。

 ならばB級グルメというよりも、C級グルメなのかもしれない。早くできるメニュー、至急グルメ(C級グルメ)である。
(文=玉置豊)

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