開幕戦から好調スタートの横浜FM、賛否を呼んだ「マリノス改革」は正しかった?
横浜F・マリノス公式サイトより
横浜F・マリノスが絶好調だ。
開幕戦で昨季年間勝ち点1位の浦和レッズを3-2と下すと、続くコンサドーレ札幌戦も3-0で快勝した。シーズン前にサッカーメディアやファンから酷評されていたのがウソのような活躍ぶりである。
今シーズン前、マリノスでは「フロントvsベテラン選手+サポーター」の内輪モメが起きていた。
発端は、マリノスが抱える本質的な問題だ。設立以来、慢性的な赤字体質で、広告料を名目とした親会社(日産自動車)による赤字補填が行われてきた。だが、2008年のリーマンショックで日産本体の経営が悪化すると、翌年から日産はマリノスに対する赤字補填を停止する。そんなマリノスを尻目に、Jリーグは12年からクラブの財務健全化を義務付けたクラブライセンス制度を導入。窮地に追い込まれ、14年7月にシティ・フットボール・グループ(CFG)に約20%の株を売却することになった。
ここから、マリノス改革は加速する。
CFGがフロントに入ると、経営のスリム化を図るため、年間6億円もの賃料を払っていたマリノスタウンを解体。また昨シーズン後にベテラン陣との契約も見直したことで、中村俊輔(ジュビロ磐田に移籍)をはじめとするベテラン陣から不満の声が上がり、その声にサポーターも連動した。
一方、「マリノスのベテラン切りは仕方ない」と見るスポーツライターもいた(参考記事)。
「齋藤学のようなこれからの選手の年俸をダウンさせたならば別ですが、昨季、マリノスが契約を更新しなかった選手は、ある程度の限界値が見えている。費用対効果で考えれば、未来ある若手を起用するほうが賢明です。そもそも、リーグは10年シーズン以降、欧州同様に契約満了の6カ月前から、すべてのチームと交渉ができるようになった。過去の2000年前後の冷徹なベテラン切りとは話が違う。フロントや監督に不満があるなら、移籍するのがプロフェッショナルでは?」(サッカーライター)
リオ五輪候補に富樫敬真、日本代表候補に喜田拓也といった若手を輩出したモンバエルツ監督だが、今シーズンはさらに若手起用を加速させ、平均年齢25歳前後の選手をスターティングメンバーとしてピッチに送り出し、躍動させている。39歳の中澤佑二が出場した上での平均年齢25歳であり、実質、Jリーグで最も若いチームといえる。
もちろん、マリノスの未来が本当に明るいかは、まだ見えてこない。若いチームには波があるし、モンバエルツ監督の選手交代やシステムチェンジなどの手腕が問われるのも、各チームがマリノスを警戒し始めてからだ。今はまだ、そのフェーズは迎えていない。
それでも赤字を解消し、現段階でそれなりのチームを作ったことは評価できる。昨季、マリノスを大バッシングしていたメディアやコアサポーターと呼ばれた人々は、いったい何を思うだろうか?
(文=TV Journal編集部)