開院前からの計画的犯行か? 障害者や認知症患者を奴隷扱いする「ブラック病院」にメス
入院患者の様子
韓国・仁川(インチョン)にある精神科病院でとんでもない不祥事が発覚し、物議を醸している。なんと、病院の諸経費を節約するため、認知症や精神障害を持った患者に、病院の雑務を強要していたというのだ。
逮捕されたのは、同病院の院長(45)と事務長(55)。この病院は、2015年11月に市から開院許可を得たが、院長らは開院にあたっての必須条件である産業廃棄物処理委託契約書やクリーニング業務委託契約書を偽造して保健所に提出。判断能力に問題がある長期療養患者に、ほかの入院患者の服の洗濯やおむつ交換などをさせていた。
当然、韓国の精神保健法では、治療やリハビリ目的以外の、患者の労働は禁止されている。しかし、院長らはそうした規約を完全に無視。患者たちに手錠をかけたり、暴力で支配下に置き、奴隷のように使っていたのだ。
腐敗していたのはトップだけではなかった。この病院に勤める療養保護士(日本でいうヘルパー)(49)も、実に悪質だ。彼は言うことを聞かない患者を殴りつけるだけでなく、女性患者にキスを強要するなど、やりたい放題だったという。
この病院の悪事が発覚したのは、退院した患者から「療養保護士が患者を手錠で拘束して暴行を加えたり、食事を与えられていない患者がいる」と警察に通報があったことがきっかけだった。全患者への聞き取り調査の結果、1月23日に前出の3人を精神保健法違反の容疑で逮捕。療養保護士には、さらに強制わいせつ容疑も加えられた。
あまりにも非道な病院に、韓国ネット民も「なぜ、こんなクズどもの名前や病院名を公表しないんだ?」「こいつらのせいで、保護士のイメージが悪くなる」「むしろ主犯3人を精神科病院へ放り込め!!」などと怒りを爆発させている。
くしくも、事件が明るみになる3日前の20日、障害者の意思を無視して労働を強要した場合、7年以下の懲役または7,000万ウォン(約700万円)の罰金を科すという内容が導入された「障害者福祉法改正案」が国会本会議を通過している。それも踏まえて、院長たちにどれほど重い刑罰が下されるのかに注目したい。
(文=S-KOREA)
●参考記事
・健康な人が“強制入院”させられる!? 韓国で精神病院の患者数が増加するワケ
(http://s-korea.jp/archives/4188?zo)
・患者を170日間も不法監禁した国立精神病院の院長…その違法性はどこに?
(http://s-korea.jp/archives/6125?zo)