「05本」の記事一覧(5 / 14ページ)

ないものにされる“高齢者の性欲”に向き合う女性たち『昼、介護職。夜、デリヘル嬢。』

<p> 本書『昼、介護職。夜、デリヘル嬢』(ブックマン社)は、介護職で働きながら夜は風俗嬢として働く女性に、著者の家田荘子が取材したルポだ。</p>

<p> 現在、国内の介護職員は、約171万人。要介護者の総数に対して、36万人以上不足しているとされている。その理由として、重労働に対して低賃金であることが言及されているが、それだけではない。なんと、高齢者からのセクハラがあるというのだ。介護業界では“ないもの”とされる高齢者の“性欲”。本書では、それらと真摯に向き合う女性介護職員が多数登場する。<br />
<br />
 動けないはずの右手が女性職員の股間めがけて動いたり、声の出せない高齢者が筆談で卑猥な言葉を投げかけてくることがある。自分が性の対象と見られたことにショックを受けて、仕事を辞めてしまう職員があとを絶たない。<br />
</p>

“昭和の味”が滅亡の危機!? 北尾トロ&下関マグロらが探る『町中華とはなんだ』

<p>“町中華”という言葉をご存じだろうか? 主に個人経営の中華料理店のことで、中華と名乗りながらも、カツ丼やらカレーも食べることができ、店内には昭和のレトロな雰囲気が漂っている。さらに、おいしさはさほど重要ではなく、数百円でおなかがいっぱいになる、といったら、なんとなく伝わるだろうか。</p>

<p> でも、そういえば、最近見かけなくなった?<br />
</p>

芦田愛菜も顔負け! 芸能界をあざとく生きる天才子役マンガ 『このゆびとまれ』

<p>「天才子役」。このワードを聞いてすぐにイメージするタレントといえば、芦田愛菜ちゃん、加藤清史郎くんあたりでしょうか。かつては、日本テレビ系『家なき子』で一世を風靡した安達祐実、NHK朝ドラ『おしん』の小林綾子も、天才子役と呼ばれていましたね。</p>

<p> そんな天賦の才能を持った子役たちが魑魅魍魎はびこる芸能界で生き延びるには、大人顔負けのプロ根性や、世渡り上手さも必須です。当然、天使のような表の顔に対し、裏では性格が最悪だった……なんていうウワサも常につきまといます。今回ご紹介するのは、そんな天才子役にスポットを当てたマンガ『このゆびとまれ』です。</p>

「3人に1人がイスラム教徒」の時代をどう生きる?『となりのイスラム』

tonarinoisuramu.jpg
『となりのイスラム』(ミシマ社)

「イスラム教徒なんて、テロを起こすんだから出ていけ!」

 昨年11月のフランス・パリ同時多発テロ事件以降、ヨーロッパでは日常的にこのような声が上がっている。まるで、イスラム教徒全員がテロリストかのような扱いだ。しかし、そのイスラム教徒の数は、いまや世界に約15億人以上。しかも年々増え続け、まもなく3人に1人がイスラム教徒になる時代がやってくるといわれている。

『となりのイスラム』(ミシマ社)は、圧倒的にイスラム教徒の数が多いんだから、この先、彼らと関わらずに生きていくなんてムリ。仲良くやっていく方法を考えましょうよ、と提案する1冊だ。日本人にとって、イスラム教はかなりなじみが薄い。そのため、“イスラム”と名の付いているイスラム国(IS)と、善良で優しいイスラム教徒がごっちゃになって、「なんだかコワイ存在」と思っている人が本当に多い。だからこそ、イスラム教徒とはどういう人たちなのかを知り、なぜISが生まれたのか、そして戦争やテロを起こさないために私たちができることを考えるべく、この本は生まれた。

 著者は、現代イスラム地域研究専門の社会学博士である内藤正典氏。1981年から83年までシリアに留学し、91年にはトルコに家を持ち、現在に至るまで、ヨーロッパ各地でイスラム移民の声に耳を傾けてきた。「調査方法としては、まったく古臭いやり方」と語る内藤氏だが、彼らの生の声や様子がリアルに伝わってくる。

 内藤氏は、ヨーロッパの人々が自分たちの価値観に合わせないイスラム教徒に対し、“いじめ”まがいのことをする様子を目の当たりにしてきた。いつか暴力で反撃されるのでは、と心配していたが、それは街中のテロという最悪の形で実現した。言うまでもなく、罪のない市民を巻き込むテロを繰り返すISが悪であることは大前提だが、ヨーロッパ各地がなぜ標的にされるのか?

 それは、「西欧的な進歩主義は唯一無二の正しい道」だと思い込んでいるからではないか、と内藤氏は指摘する。西欧の人々は、イスラム教徒たちが『コーラン』に基づき、1日5回の礼拝を行い、豚肉やアルコールを禁止していることは時代錯誤で「遅れている」とみなしがちだ。スカーフは女性の自由を妨げるものであり、イスラム教徒のシンボルだと言って、フランス、ドイツ、オランダ、ベルギーでは、公共の場で禁止されている。しかし、実はイスラム教徒の女性は、スカーフをかぶるかどうかは選択することができ、多くの女性が「恥ずかしいからかぶっている」ということを理解していない。

 日本人も、どこか西欧に憧れを抱き、「発展していくことが正しい」という価値観にのみ込まれている節がある。しかし、“発展するために”毎日働き詰めで、どこか殺伐として、結婚や子どもを持つことが困難な社会は、本当に発展しているといえるのだろうか? それって、なんだか疲弊していないだろうか? 冒頭にも書いたが、イスラム教徒は増えている。決まりごとだらけで、大変なだけの宗教ならば、誰も好んで入りたがらない。数が増えているには、理由があるのではないか――。

 かつて私は、トルコやエジプト、ヨルダン、イランなどのイスラム圏をひとりで旅した。ヨーロッパは、どこかピリッとした空気に包まれているが、イスラム圏に入ると、途端にのんびりとした空気が流れる。おもてなしの精神が強い彼らは、どこまでも親切で、優しくしてくれるので、ホッとしたことを覚えている。

 混乱前のエジプトの首都・カイロで、新聞記者の夫と、会社の事務員として働く妻の夫婦に出会った。日本では新聞記者というと、昼夜問わず忙しそうだが、彼は夕方4時頃に仕事を終え、私をレストランに連れて行ってくれた。

 食事をしている時、奥さんから「どうして日本の女性は、子どもを産んだら仕事を辞めるの?」と、不思議そうに質問された。イスラム世界では、すべての者は平等であり、弱者を守る文化がある。そのため、女性や子どもを守ることを前提に社会が回っているので、小さな子どもがいるからといって、何かができなくなる、という発想がよく理解できないのだ。

 イスラム世界がスバラシイ! とゴリ押しするつもりはまったくない。しかし、彼らに学ぶことも多い。偏見からは何も生まれない。浅草などの観光地を訪れれば、イスラム教徒があっちにもこっちにもいる時代が、もうやって来ている。4年後には東京五輪も控えている。まずはこの本を読んで、彼らのことを知ることから、始めてみてはどうだろうか?
(文=上浦未来)

●ないとう・まさのり
1956年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科科学史・科学哲学分科卒業。社会学博士。専門は多文化共生論、現代イスラム地域研究。一橋大学教授を経て、現在、同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授。著書に『イスラム――癒しの知恵』(集英社新書)、『イスラム戦争 中東崩壊と欧米の敗北』(集英社新書)、『ヨーロッパとイスラーム』(岩波新書)、『トルコ 中東情勢のカギをにぎる国』(集英社)など多数。

ヤクザもツラいよ!? 任侠の世界に押し寄せる“ゆとり世代”と、おかしな兄貴たち『ヤクザライフ』

<p> 警察当局の取り締まりが厳しくなり、ヤクザの“シノギ”がなくなったことで構成員の数は軒並み減っている。当局の努力の賜物だが、一方のヤクザはどうなのだろう? ヤクザといえど家族や恋人だっているだろうし、何よりドラマでみかける毎月の上納金や事あるごとに必要になる“カネ”。彼らはどんな生活を送っているのだろうか?<br />
<br />
 本書『ヤクザライフ』(双葉社)は、長い間ヤクザと密接に関わり取材を続ける上野友行の一冊だ。ひとえにヤクザといっても、さまざまな形で不特定多数の人間が関わっている。若い衆を多く抱える兄貴や、その若い衆と親分との間に挟まれる中間管理職的ポジションで日夜苦悩する中堅のヤクザ。さらには、入社した企業がたまたま組のフロント企業だったせいで、劣悪な環境下で働く30代の男。また、ヤクザ映画になくてはならない“愛人”だが、本書でも“ヤクザ専門の愛人”として数々のヤクザを渡り歩く女や極妻まで登場。まさに“2010年代の任侠の世界”を網羅している。<br />
</p>

「いんばいになるか、死をえらぶか、といわれたら、死ぬんだった」“からゆきさん”として体を売った少女たち

<p> 中村淳彦の『日本の風俗嬢』(新潮新書)、坂爪真吾の『性風俗のいびつな現場』(ちくま新書)、そして鈴木大介の『最貧困女子』(幻冬舎新書)など、性産業を描いた書籍は近年、新書を中心に好調な売れ行きを見せている。現代の格差社会を背景にした売春を描いたこれらの書籍には、「エロ」だけでは語れない女性たちの姿がつづられている。</p>

<p> 作家・詩人である森崎和江の『からゆきさん 異国に売られた少女たち』は、今から40年前の1976年に刊行された書籍であり、今年8月に朝日文庫より復刊された。本書を一読すれば、この海を渡って売春を行った「からゆきさん」たちの境遇が、驚くほど現代に似ていることがわかるだろう。</p>

国内約223万人! メディアが報じない外国人“奴隷労働”の実態『ルポ ニッポン絶望工場』

zetubo0818
『ルポ ニッポン絶望工場』(講談社)

『ルポ ニッポン絶望工場』(講談社)は、日本にやってきた外国人留学生たちが陥る“奴隷労働”の実態に迫ったルポだ。24時間営業のコンビニ、早朝の新聞配達、工場内での単純作業など、日本人が好んでやらなくなった仕事に従事する彼らは、日本に対して何を思うのだろうか?

 著者の出井康博は、新潮社のウェブメディア「フォーサイト」での連載をきっかけに、外国人労働者への取材を始める。今現在、日本で一番多いのはベトナムからの留学生だという。

 ベトナムでは、現在空前の日本ブームだ。さまざまな面で融通が利くので、多くが留学生として日本に入るが、文字通り勉強し大学に進学する者と、出稼ぎのために来日する2種類の留学生がいる。そんな彼らに現地で「カイシャ」と呼ばれるブローカーたちが留学を斡旋。ブローカーたちは紹介料として、ベトナムの一般的な家庭の7年分の収入に相当する150万円ほどを請求し、家族は泣く泣く先祖代々の農地を質に入れるなどして、費用を工面する。“留学の斡旋”とは形だけで、実際は日本語学校と現地のブローカーがグルになった悪徳ビジネスと化している。

 晴れて日本にやってきた留学生たち。日本語の習得に勤しみながら卒業後は大手企業の戦力として活躍する……そんな夢を閉ざす現実が待っている。留学生の多くは日本にやってきた時点で、負債を抱えているからだ。さらに、母国からの仕送りもなく、借金の返済や月々の家賃、食費に学費など生活に関わる一切を稼がなくてはならない。

 しかし、政府は留学生に対して“週28時間以内”の労働しか許可しておらず、日に働ける時間は約4時間。ブローカーから「日本に行けば月20~30万円稼げる」と騙された留学生の中には、違法就労をする者も多い。

 違法就労を行う彼らの労働環境は、最悪だ。働き口を2カ所掛け持ちし、“週28時間”を超える“週50時間”働く者も。職場も人手が足りないこともあり、違法就労に目をつぶる。留学生の間で情報が共有され、同じ境遇の者が集まり、日本語の能力が全く伸びないという悪循環が出来上がってしまう。

 ほかにも、給料のピンハネはもちろんだが、精神的に追い込まれることが多いという。現地では、優秀な人材として海外へ留学した彼らが、自分より能力の劣る日本人に“外国人だから”という短絡的な理由で侮蔑を受けるのが日常的だそうだ。憧れを持ってやってきた外国の若者は、“奴隷労働”の中で反日感情を募らせていく。

 15年9月、埼玉県・熊谷市で日系ペルー人による、小学生を含む6人が殺害される事件が起きた。出井は、またこのような凄惨な事件が必ず起こると断言する。なぜなら、この犯人もまた“奴隷労働”の犠牲者だったのだから。

気が狂っている……! B級ヒーロー“犬溶接マン”とゴッサム・シティの変態的な仲間たち『HITMAN』

<p> アメリカンコミックス原作の映画がヒットを連発している昨今、『バットマンvsスーパーマン』をはじめ、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』、『デッドプール』(すべて2016年公開)などのアメコミファンが見たかった大作や、知る人ぞ知るマイナー作の実写化が相次いでいる。</p>

<p> アメコミの双璧マーベルコミックとDCコミックが中心となり、今後数年先までさまざまな作品を実写化すると発表しているが、ここでは何があっても“実写化不可能”なアメコミヒーローを紹介したいと思う。</p>

格闘マンガ以上にバイオレンス! 豪胆すぎる梶原一騎の人生劇場『男の星座』

<p> マンガの世界では、マンガ家自身の半生をテーマにした「マンガ家マンガ」というジャンルがあります。その中で、最高峰かつバイブル的な存在といえば、藤子不二雄A先生による『まんが道』でしょう。この作品を読んで、マンガ家を志した方も多いのではないかと思います。 </p>

<p> ところで、皆さんは梶原一騎という人物をご存じでしょうか? 『空手バカ一代』『巨人の星』『タイガーマスク』『あしたのジョー』『プロレススーパースター列伝』などなど、日本を代表するスポ根マンガの原作者であり、「劇画王」とまでいわれている人物ですが、マンガ作家でありながら、そんじょそこらの格闘マンガの主人公よりも遥かに破天荒な人生を送ったことでも有名です。<br />
</p>

格闘マンガ以上にバイオレンス! 豪胆すぎる梶原一騎の人生劇場『男の星座』

<p> マンガの世界では、マンガ家自身の半生をテーマにした「マンガ家マンガ」というジャンルがあります。その中で、最高峰かつバイブル的な存在といえば、藤子不二雄A先生による『まんが道』でしょう。この作品を読んで、マンガ家を志した方も多いのではないかと思います。 </p>

<p> ところで、皆さんは梶原一騎という人物をご存じでしょうか? 『空手バカ一代』『巨人の星』『タイガーマスク』『あしたのジョー』『プロレススーパースター列伝』などなど、日本を代表するスポ根マンガの原作者であり、「劇画王」とまでいわれている人物ですが、マンガ作家でありながら、そんじょそこらの格闘マンガの主人公よりも遥かに破天荒な人生を送ったことでも有名です。<br />
</p>

サブコンテンツ

このページの先頭へ