T.O.Pの大麻吸引事件が決定打に? 韓国で芸能兵制度に続き、義務警察制度が廃止へ
韓国警察庁が2023年度までに「義務警察制度」を完全に廃止する方針を明らかにし、物議を醸している。特に注目されているのは、多くの芸能人が服務している警察広報団や警察楽団を最優先で廃止するという内容だ。
義務警察とは、警察の組織に身を置くことでそれが兵役となる、軍代替制度のこと。義務警察は2カ月ごとに3泊4日の定期外泊が与えられるなど、一般兵に比べ、日常的に社会と接する機会が多いため、近年は義務警察で兵役に就く芸能人が増えている。例えば東方神起のチャンミンやSUPER JUNIORのシウォンなどがそうだ。
義務警察官の主な任務は、交通整理、防犯パトロール、集会・デモの管理などだが、その中に彼ら芸能人が動員されることはない。彼らが配置されているのは、別名“ホルラギ演劇団”と呼ばれるソウル市警察庁広報団だ。デモや集会ではなく学校や地域コミュニティに足を運び、公演活動などを通じて犯罪防止や安全対策などの啓発活動を実施するのが主な任務で、いわば“ソウル警察の顔”のような存在といえるだろう。
このように義務警察は事実上、芸能人の受け皿になっているが、それだけに義務警察制度廃止のニュースは韓国芸能界に大きな波紋を呼んでいる。
韓国警察庁は、なぜ制度廃止に踏み切ったのだろうか?
文在寅大統領が掲げた「公務員81万人の増員」の公約に沿って、義務警察官を減らして警察公務員を増やすのが狙いだとの見方もあるが、それにしても警察広報団と警察楽団が最優先で削減されるという計画は、明らかに芸能人を標的にしたものに見える。それは逆に言えば、義務警察に服務する芸能人に制度廃止の要因があるということだろう。
実際、以前から義務警察は芸能人の「兵役特恵」だと厳しい批判を受けていたし、特に今年2月から義務警察で服務していたBIGBANGのT.O.Pが大麻吸引事件を起こして有罪判決を受けたことは大きなきっかけになったはずだ。
というのも、もともと韓国には「芸能兵制度」というものがあったのだが、これも芸能人の不祥事によって2013年に廃止されているのだ。「芸能兵」とは、軍部の広報やイベントを率先して行う部隊のことで、実戦部隊への配属は免除されていた。こちらも義務警察同様、芸能人への「優遇」という批判があったが、制度廃止の決定打となったのは芸能兵が起こしたスキャンダルだった。
13年6月にSBSの報道番組『現場21』が芸能兵の服務実態について報じたのだが、そこには当時、芸能兵として服務していた歌手のSE7EN(セブン)、ヒップホップグループMighty Mouthのサンチュが慰問公演の後に私服で街に繰り出して飲酒する姿があった。そればかりか映像には、彼らがその後、風俗店に入る様子まで捉えられていたのだった。
この放送は大きな波紋を呼び、国防長官の直接的な指示で芸能兵に対する監査が実施され、最終的に制度自体の廃止が決定されたのだった。
こうした前例と同様の文脈で、今回の義務警察制度廃止も決まったと見ることができるだろう。果たして、これからも、芸能人の特恵とスキャンダルは続くのだろうか?
(文=S-KOREA)
●参考記事
・あのK-POPアイドルも務めている!! 大規模デモと対峙せねばならない義務警察の「悲劇」
http://s-korea.jp/archives/11735?zo
・東方神起チャンミンやSJのシウォンらが務める“義務警察”という名の兵役
http://s-korea.jp/archives/4554?zo