「05本」の記事一覧

印刷しすぎて!? 村上春樹の『騎士団長殺し』バカ売れでも“大赤字”の怪現象

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『騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編』(新潮社)

 今年の上半期、出版業界で大きな話題を集めたのが、村上春樹の最新作『騎士団長殺し』(新潮社)だ。発売時には大きな話題となり、ベストセラーランキングでも上位に入っている同作だが、業界内での評価は違うようだ。

『騎士団長殺し』は、村上春樹にとって『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文藝春秋)以来4年ぶりの長編小説。発行元の新潮社は、初版で異例となる100万部を刷ると、発売前にさらに30万部の増刷をかけ、計130万部を用意した。これについて、書店関係者は語る。

「これだけ大量に刷るというのは、もちろん『売れる』という自信があったからでしょうが、背景には近年の書籍の売上傾向もあると思います。ここ最近、出版界ではごくごく少数の本が爆発的に売れる状況が完全に定着しており、一度勢いがつくと、いつまででも売れ続けます。村上春樹レベルになると、新作が出るだけでニュースになりますので、ロケットスタートを狙ったのでしょう。売る側の書店としても、『村上春樹の新作が○万部到達!』というのがニュースになれば、普段はあまり書店に立ち寄らないような人が来店してくれることが期待できます。『売れているから読んでみよう』という人が必ずいますから」

 こうした販売戦略が実り、大手出版取次・日販(日本出版販売)が発表した2017年上半期ベストセラーランキングで、『騎士団長殺し』は総合2位、文芸書ランキングでは1位にランクインした。しかし、業界内ではあるウワサがささやかれているという。大手出版社社員が語る。

「上半期ランキング1位の『九十歳。何がめでたい』(佐藤愛子著/小学館)が累計90万部ですから、2位の『騎士団長殺し』は、それ以下。しかも『九十歳。何がめでたい』は昨年8月発売なので、さらに割り引かなくてはいけません。『騎士団長殺し』は、我々が伝え聞いたところでは60~70万部しか売れていないようです。ほかの業界の方には、『本なんて紙とインクだけでしょ』『本なんて腐らないんだから』などと言われますが、印刷・製本には莫大な費用がかかりますし、売れ残った何十万部の本をストックしておくのはこれまた費用がかかりますし、税金の問題もあるので、返本は程なく断裁に回されることになります。ハードカバー本の断裁にも当然莫大な費用がかかりますので、“本当に”130万部刷ったのだとすれば、断裁率は5割近く。これでは出版社は大赤字だと思います」

 コンスタントに数十万部を売り上げる作家など、日本には片手で数えるほどしか存在しないが、それでも判断を見誤ると赤字とは……。出版業界とは、なんとも因果な商売のようだ。

5日間の出張のはずが……ジャパニーズサラリーマンの悲哀を描く『僕らはみんな生きている』

<p> GWという絶好の海外旅行シーズンを前に、旅行業界に激震が走りました。そう、格安旅行会社「てるみくらぶ」の経営破綻です。特に衝撃なのは、現在海外に渡航中の旅行者が自力で帰ってこなければいけないという、文字通りの片道切符状態。これはさすがに前代未聞でしょう。</p>

<p> ところで、行ったが最後、お国に帰れないワンウェイチケットなマンガといえば『僕らはみんな生きている』。ほんの5日間の海外出張だったはずが、テロに巻き込まれ、マラリアに感染し、パスポートを盗まれ……など、あらゆる災厄が降りかかり、帰国不可能になってしまった悲惨なジャパニーズサラリーマンの物語です。</p>

『ドラがたり』が読み解く「社会のインフラ」となったドラえもんと、“のび太系男子”の功罪

<p> 誰もが子どもの頃に一度は通り、そして大人になっても愛する心をどこかに持っている──それが『ドラえもん』だ。『ドラえもん』は、ダメなのび太とそれを助けるドラえもんの友情物語であり、2014年の映画『STAND BY MEドラえもん』のような泣けるコンテンツであり、そして現在新作映画『のび太の南極カチコチ大冒険』が公開中であるように、今の子どもたちにも愛される、世代を超えた名作</p>

子どもたちを救うはずが、ますます不幸にさせる? “限界寸前”児童相談所の実情とは――

<p>「児童相談所」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか?</p>

<p> 虐待を受けた子どもたちの相談や、養育困難な家庭への対応、そして非行や虐待によって家庭にいられなくなってしまった子どもたちを一時的に保護するといったことを行っている児童相談所の仕事は、社会からはなかなか見えにくくなっている。だが、その世界に一歩足を踏み入れると、そこには驚くべき現実が広がっていた。米・不動産ファンド「モルガン・スタンレー・キャピタル」出身で、NPO法人「Living in Peace」を設立し、子どもたちの支援を行っている慎泰俊による著書『ルポ 児童相談所 一時保護所から考える子ども支援』(ちくま新書)から、その実態を見てみよう。</p>

<p> 本書を一読して驚かされるのは、児童相談所における子どもたちの扱いだ。虐待、貧困、非行などによって、家庭での養育が困難となった子どもたちが一時的に預けられる「一時保護所」では、一昔前まで体罰が当たり前だった。現在では体罰こそ減ったものの、「外出禁止が徹底され、学校にも行くことができない」「脱走防止のために、窓を開くこともできない」「私物はおろか、服も持ち込めない」「男女のトラブルを避けるため、きょうだいであっても会話ができない」「連絡先交換を防ぐため、紙の使用も管理されている」など、すべてが「トラブル防止」の名のもとに、徹底的に管理されている。在所経験のある人々は、この施設について口々に「あそこは地獄だ。思い出したくもない」「刑務所のような場所」と表現。さらに、一部の保護所では、トラブルを起こした子どもに対しては「個別対応」という名目で、4畳の個室での隔離生活を強いる。まるで、独居房のようだ。</p>

ディズニー映画に隠されたメッセージを徹底解明! 見方がガラリと変わる『暗黒ディズニー入門』

<p>「ディズニー」という言葉ほど、人によって連想されるものが違う言葉はないだろう。印象も、知識の量も大きく異なるはず。『暗黒ディズニー入門』(コア新書)では、そんなさまざまなイメージを持つディズニーの正体の解明を試みる。</p>

<p> 著者である高橋ヨシキ氏は、ディズニー好きを自負しており、本書はニュースサイト「ブッチニュース」で連載されていた「高橋ヨシキのディズニー大好き!」をまとめ、一部加筆した一冊。まえがきで著者は、ディズニーによって「魔術への信頼」という影響を受けたとしている。サブカルチャーを主な主戦場とする著者の源流が、ここにあるようだ。<br />
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前田日明は、本当にただの「ヘタクソ」だったか……ベテランプロレス記者が読み解く『1984年のUWF』

<p> 文藝春秋より刊行された単行本『1984年のUWF』が、かつてUWFのファンだった人を中心に話題を呼んでいるという。</p>

<p> 著者はスポーツ雑誌「Number」(文藝春秋)の元編集者で、フリーライター転向後、『1976年のアントニオ猪木』(同)、『1985年のクラッシュ・ギャルズ』(同)、『1993年の女子プロレス』(双葉社)、『1964年のジャイアント馬場』(同)などを執筆した柳澤健氏。</p>

<p>『1984年のUWF』は、序章=北海道の少年(中井祐樹)、第1章=リアルワン(カール・ゴッチ)、第2章=佐山聡、第3章=タイガーマスク、第4章=ユニバーサル、第5章=無限大記念日、第6章=シューティング、第7章=訣別、第8章=新・格闘王、第9章=新生UWF、第10章=分裂、終章=バーリ・トゥードから構成され、全411ページとかなりのボリュームだ。</p>

パンクすぎ! 伝説のハガキ職人の挫折の日々と、妄信し続けた“才能”の終着点とは――

<p>「1日2000本のボケを考える」というノルマを自分に課すというクレイジーな生活を送り、『着信御礼!ケータイ大喜利』(NHK総合)でレジェンドの称号を獲得。</p>

<p> その後も、『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)、『伊集院光 深夜の馬鹿力』(TBSラジオ)など、数々のラジオ番組や雑誌の投稿コーナーで常連となっていたハガキ職人・ツチヤタカユキ。</p>

<p> やがて、常連だったラジオ番組の芸人に誘われ、構成作家見習いとして上京。しかし「人間関係不得意」ということで、その道もあきらめ、地元に帰ってしまったことなどが番組で語られていたが、最近ではめっきりそんな話も出なくなって、ツチヤの行方を気にしていたリスナーも多いのではないだろうか。<br />
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高級コールガールが非エコ野郎を抹殺! エコロジー仕置人マンガ『エ恋スト』

『エ恋スト』(日本文芸社)  皆さんは普段、どんなエコ活動してますか? スーパーへ買い物に行くときはエコバッグを持参し、外食をするときはマイ箸を持ち歩き、夏になればエアコンの温度を…

銀幕を彩る古今東西の女優へ、等身大の愛を語る『パツキン一筋50年 パツキンとカラダを目当てに映画を見続けた男』

<p> 私が初めて秋本鉄次さんの映画批評を読んだのは、1979年の春、「キネマ旬報」誌に掲載された角川春樹プロデュース&村川透監督による東映映画『白昼の死角』評だった。</p>

<p> 当時は日本映画界が2本立プログラムピクチュアから1本立大作路線へとめまぐるしく変貌していった時期で、映画マスコミはそれらの作品群を「贅肉のつきまくった大作」と頭ごなしに批判しまくっていたが、このとき秋本さんは「そんな贅肉なんて、バリバリ食ってやる!」といったエネルギッシュな気概で当時の風潮を一蹴し、その上で『白昼の死角』を贅肉の少ない映画として評価されていた。<br />
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『仁義なき戦い』のモデルの“元ヤクザ”美能幸三は、本当は映画化を望んでいなかった?

<p> 1973年に公開され、社会現象を巻き起こした日本映画の金字塔『仁義なき戦い』シリーズ。近年でも、菅原文太(2014年没)や松方弘樹(17年没)の訃報を伝えるニュースにおいて、今から40年以上も前の同シリーズが彼らの代表作として繰り返し紹介されたのは記憶に新しい。だが、公開から長い年月が経つにつれて、このシリーズが戦後の広島県で実際に起きた暴力団同士の抗争をモデルにしていることを知らない世代も増えている。</p>

<p> 本書<a href=”http://amzn.to/2nhtU74″target=”_blank”><u>『仁義なき戦いの“真実” 美能幸三 遺した言葉』(鈴木義昭/サイゾー)</u></a>は、後に広島抗争と呼ばれた抗争劇の真相を、その中心人物となった元暴力団員・美能幸三の手記とインタビューで解き明かす一冊。美能は10年に83歳でこの世を去ったが、著者は生前の彼のもとを何度も訪ねて聞き取りを重ねていたという。<br />
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